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第一アロマの捉え方

2026年03月

(写真)第一アロマの発生源である、色々なワイン用ぶどう品種

2回前の連載でも述べましたが、ワインの香りは3つのグループに分けられます。第一アロマ、第二アロマ、第三アロマです。それぞれ「第一=原料ぶどう由来」「第二=発酵由来」「第三=時間経過由来」となっている事でもわかる通り、一番最初に確認すべき香りは第一アロマという事になります。ぶどうに由来する香りという事ですので、主に第一アロマとして捉えていくのは「果実」「花」「植物(ハーブや木など)」「スパイス」と言った植物に関連する香りが中心となります。以下に、それぞれのポイントを見ていきましょう。

目次
  1. 果実の香り
  2. 花、ハーブ、野菜、スパイスなどの香り

果実の香り

上)色とりどりの果物たち
<果実の香り>
まず最初に探しにいく香りは果実の香りです。ワインはぶどうを原料とする果実酒ですが(日本の酒税法ではワインは果実を原料とした醸造酒なので、りんごや桃やいちごなど、ぶどう以外の果実を原料としてもワインとなりますが、一般的にはぶどう以外の原料からつくられた果実酒はフルーツワインと呼ばれ、ただのワインはぶどうを原料という認識が強いです。ワイン法がしっかりある国の多くで、ワインはぶどうを原料とすると明記されています)、前回も書いた通り、一部の例外を除いてぶどうそのものの香りはせず、その他の果実を連想させる香りがします。それらの果実をグループ分けしていく事で、原料のぶどうの特性を捉える事が出来ます。代表的なグループは以下となります。
(1)柑橘系
レモンやオレンジなどが代表的。多くの場合、しっかりとした酸味がイメージされます。緑(ライムやグリーンレモン)、黄色(レモンやグレープフルーツ)、オレンジ(みかんやオレンジ、ルビーグレープフルーツ)などの色に分類されます。白ワインに出る事が多いグループですが、ロゼワインやオレンジワインでも普通に見られ、稀に赤ワインでもオレンジなどの香りが出るものもあります。
(2)りんご系
りんごや洋梨など。白ワインのベースとなる香りの一つです。緑(青りんご、追熟前の洋梨)、黄色(ゴールデンデリシャス、洋梨、マルメロ、花梨)、赤(紅玉りんご)などの色に分類されます。
(3)核果実(ストーンフルーツ)系
果実の中心に一つだけ大きな種子を持つ果実類の総称。桃、杏、プラム、チェリー、梅など。緑(青梅)、白(白桃)、黄色(黄桃、黄色プラム(ミラベル)、ネクタリン、完熟梅)、オレンジ(杏)、赤(さくらんぼ、プラム)、紫(プルーン)、黒(ブラックチェリー)など、多彩な色素を持つグループで、赤・白・ロゼ・オレンジと全ての色タイプのワインと関連します。
(4)ベリー系
いちご、ラズベリー、カシス、ブルーベリー、グースベリーなど。赤や青、黒などの色素を持つものが多く、赤ワインやロゼワインのベースとなる香りグループです。赤(いちご、ラズベリー、レッドカラント(グロゼイユ))、青~紫(ブルーベリー、桑の実、アサイー)、黒(カシス、ブラックベリー)などが殆どですが、例外的に緑(グースベリー)、白(ホワイトマルベリー)など白ワインで出て来るベリー系の香りもあります。
(5)トロピカルフルーツ系
多彩な色素や外観を持つ、亜熱帯から熱帯の果実の総称です。一般的に、香りのインパクトが強く、強い日照量を持った産地のワインに出やすい傾向があります。メロン、パイナップル、マンゴー、パッションフルーツ、ライチなど。白(ライチやランブータン)、緑(キウイフルーツ、メロン)、黄色(マンゴー、パイナップル)、オレンジ(パッションフルーツ、赤肉メロン、食用ほおずき)、ピンク(グァバ)など、広い範囲をカバーします。
(6)その他
上記に分類されないものとして、マスカット(ぶどうそのもの)、いちじく、柿、ザクロ、西瓜などが挙げられます。

また、果実の香りをチェックする時には、その果実の状態もイメージする事で、より的確にワインの状態を把握する事が出来ます。最初は難しいかも知れませんが、意識して考える様にすると自然と身について行きます。状態は以下のような言葉で表現する事が多いです。
(1)フレッシュな(生の)…イキイキとした生の状態です。「もぎたての」などと表現する場合も。
(2)皮をむいた…りんごなどに良く使われます。少し果肉が茶色っぽくなったイメージです。
(3)火を入れた(煮詰めた)…水分が飛び、生の果実の風味を残しながら濃縮されたイメージです。
(4)干した(ドライフルーツの)…(3)と似ていますが、ドライフルーツならではのスパイスやカラメルなどの風味が出て来ます。
(5)リキュール…砂糖とアルコールが加わった状態なので、最も濃密なイメージです。

花、ハーブ、野菜、スパイスなどの香り

上)いろいろな花やハーブなど
<花、草木、ハーブ、野菜などの香り>
果実の次に見て行きたい要素が、花、草木、ハーブ、野菜などの植物系の香りです。ワインはぶどうという植物由来のお酒なので、これらの要素も基本的にどのワインにも含まれています。ただ、一部のぶどう品種の中には強くこれらの要素を持つものがあり、その品種から出来るワインの風味を特徴付けています。例えば、花の香りはアロマティック系と呼ばれるリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエ、ピノ・ノワールなどのぶどう品種で顕著に出ますし、ハーブや野菜などの香りは2-イソブチル-3-メトキシピラジン(IBMP)という成分を多く含む、カベルネやソーヴィニヨン・ブランなどの品種から生まれるワインで良く感じられます。また、地中海沿岸のワインからタイムやローズマリー、ラベンダーなどの香りが混ざった、ガリッグと呼ばれる香りが出る事や、チリやカリフォルニアのワインからユーカリの香りが出る事が知られています。こちらは周囲に自生するこれらの植物の精油が風で流されてぶどうに付着し、果皮から吸収されてワインにした際に放出されるという説が有力で、本来の意味での第一アロマではないのかも知れませんが、ぶどうから出て来ているアロマなので便宜上第一アロマに分類されています。

<スパイスの香り>
一部のぶどう品種には、胡椒やリコリスなどのスパイスを連想させる成分が含まれています。黒ぶどうのシラーがスパイシーなぶどう品種として特に有名ですが、実際は大なり小なり多くのぶどう品種のワインからもスパイシーさを感じる事が出来ます。

という事で第一アロマにどの様なものがあるか覚えて頂いたでしょうか。ご紹介した順番に探していく癖をつけておくと、花の香り取り忘れた!とかスパイスの感じってあったっけ?みたいに後から再確認にいくという事にならないので、香りを取りに行く時は、まず果実⇒植物⇒スパイスという順番で探しにいくという事を覚えておいて下さい!

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