チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

夏野菜と2種チーズの電子レンジ ケークサレ

第105回 2025年08月

夏野菜と2種チーズの電子レンジ ケークサレ

チーズの味わい

ワインのお供として鉄板のケークサレ。会社にオーブンが無かったので、電子レンジで出来るお手軽レシピで。フワモチの食感で、これはこれでアリと思いました!

準備するもの
ホットケーキミックス150g、卵1個、ヨーグルト100g、トマト、ズッキーニ、パプリカなど夏野菜適量、オリーブオイル大さじ1、カッテージチーズ50g、ゴーダチーズ50g、塩、黒胡椒各適宜
(1)野菜、ゴーダチーズを細かなキューブ状にカットする
(2)ボウルに卵を溶き、ヨーグルト、ホットケーキミックスの順に加えて生地をつくる。好みで塩・胡椒で味を調える。
(3)オリーブオイル、野菜、チーズを加えてさっくり混ぜる
(4)耐熱容器に入れ、600Wの電子レンジで4~5分加熱する。


よく合うワイン

お互いを認め合いながら主張しあう、相性の良い組み合わせ。

日本で最も売れているワインブランド※1、それがサントリー酸化防止剤無添加※2のおいしいワイン。です。こちらは気軽に飲める缶入りのスパークリングワインタイプ。これまでアルコール9%でしたが、この秋から「さらに飲みやすく」という事でアルコール7%となりました。
ケークサレと合わせると、チーズ(特にゴーダチーズ)の味わいがしっかりと膨らむ感じがありました。このワイン自体は赤の中ではかなり軽めではありますが、白ワインと比較すると、やはり重心は低めで、食べて飲んだと言う感じが出ます。チーズの脂肪分にタンニンが反応して口の中で味わいが広がる感じがそう思わせるのでしょうか。料理とワインの味わいの強さもほぼ同じ感じで、ある程度の距離を保ちつつも、お互いがお互いを認めながら主張しあう、心地よい相性となりました。
※1 インテージSRI+国内ワイン市場2024年1月~2024年12月 酸化防止剤無添加のおいしいワイン。ブランド計販売容量(全国SM/CVS/酒DS/ホームセンター/ドラッグストア/一般酒販店/業務用酒販店計)
※2 亜硫酸塩無添加

レゾルム ド カンブラス シャルドネ 2023 カステル

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 黄桃 アーモンド

それぞれの持つ要素が同じ方向を向く。とても馴染んだ組み合わせ

レゾルム ド カンブラスはフランス最大級のワイン会社カステル社の看板ワインの一つ。サステナブルなぶどう栽培(テラ・ヴィティス認証取得)を行う南仏の畑から、フルーティなワインを生み出しています。ポイントは大手らしい安定感で、シャルドネを期待して、ど真ん中のその通りの味わいが来るところは流石としか言いようがありません。
ケークサレと合わせると、ワインの酸味と充実した果実味が引き出され、ギュッと味わいに凝縮感が出る感覚がありました。ホットケーキミックスに由来するほのかな甘さが、ワインの酸味を引き出してくれるようです。オーク由来のバニラの香りも、生地の甘い香りと同調しますし、2種類のチーズの風味も広がりを持って感じられるなど、料理とワインが同じ方向を向いている感じがあります。
夏の休日のランチにこの組み合わせを合わせれば、そのまま心地よい午後を過ごせそうな馴染んだ感じの組み合わせでした!

リープフラウミルヒ <マドンナ>2023 P.J.ファルケンベルク

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

白桃 はちみつ 蜜蝋

ワインが一人で輝きを増す、料理は黒子の組み合わせ

マドンナはドイツワインを代表する銘酒「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」の元祖です。ぶどう品種はミュラー・トゥルガウ、リースリング、ケルナー、シルヴァーナーのブレンド。もぎたての白桃を連想させるフルーティな甘い香りと、甘酸っぱくキュートな味わいが魅力です。
ケークサレと合わせると、ケークサレの味わいがワインに溶け込んでいく感じで、不思議とあまり感じなくなりました。一体感はあるのですが、前には出て来ません。それに対して、ワイン側は一気にイキイキとした白桃やりんごのコンポートなどの果実の香りを出してきて魅力を増す感じです。このワインは1リットルあたり約40gの糖分が残された(ぶどう由来の糖分が残っています)ほのかな甘口ですが、そのほんのりとした甘さがケークサレ生地の味わいと丁度ピッタリと合っている感じです。サレな感じとか、野菜とは殆ど反応していないみたいなので、このワインの場合は素直にホットケーキ&リコッタにすると最高に合うのかも知れません。

タヴェルネッロ オルガニコオ サンジョヴェーゼ 2023

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリージャム スミレの花 鉄

オルガニコの新しい側面を発見。気付きのある組み合わせ。

タヴェルネッロ オルガニコは、イタリアNo.1※1ワインであるタヴェルネッロシリーズのオーガニックライン。気付けば日本で最も売れているオーガニックワインのブランド※2となっていました。製造元であるカヴィロの凄さは徹底的なサステナブル。ぶどうの搾りかすからバイオマス燃料や肥料をつくり出し、1トンのぶどうから出る廃棄物がわずか6kgという環境先進ワイナリーです。
ケークサレと合わせると、ワインが持っていたけどワイン単体では顕れてこなかった要素が底の方から持ち上がって来る感じがありました。それはタールの様なドロリとした鉱物感や、ナツメグや黒胡椒などのスパイス類、そしてなめし革やビーフジャーキーを連想させる動物っぽさです。ケークサレはというと、トマトやパプリカと言った夏野菜が4つのワインの中では唯一しっかりと主張してくる感じでした。オルガニコはとてもコストパフォーマンスに優れたワインだと思いますが、まださらに深い部分があったんだなと気付きのある組み合わせでした!
※1 シンフォニーIRIグループ2020年12月報告データ(イタリアスーパーマーケット100平方メートル以上の規模における)
※2 SRI+24年1-12月オーガニックワインブランド容量実績維

チャレンジまとめ

ワイン側が四者四様の味わいの変化を出す、わりと珍しく興味深いマリアージュ体験となりました。無添加スパークとは礼儀正しくお互いを認める感じ、レゾルムのシャルドネとはまさに同調のマリアージュ、マドンナとは底支え、そしてオルガニコとは深堀り。ケークサレ側はそれほど変わらないのですが、ワインの色々な側面を見せてくれる楽しいお供だなと思いました。
注意点としてはパンケーキミックスに糖分が含まれますので、酸が強めでスッキリとしたタイプの極辛口のワインの場合は、ワインの酸味や渋味が際立つ可能性があるという事です。今回はレゾルム(わりとまろやかなタイプ)のみ極辛口で、その他の3つは少し糖分を含むタイプを選んでいますが、色々な反応を楽しめたのはそれもあるかも知れません。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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