チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

そら豆と新じゃがとフェタチーズの温かいサラダ

第104回 2025年05月

そら豆と新じゃがとフェタチーズの温かいサラダ

チーズの味わい

季節のそら豆と新じゃがいもを使った、簡単だけど深い味わいのあるサラダです。フェタチーズが塩分強めなので、塩は最後に調整程度で大丈夫です。

準備するもの
そら豆12粒(お好みで増やしてもOK)、新じゃがいも3個、フルーツトマト1個、フェタチーズ50g、オリーブオイル、塩、黒こしょう それぞれ適宜
(1)フェタチーズとフルーツトマトを一口サイズに切る。
(2)そら豆の半分を柔らかくなるまで茹で、フォークなどで潰してペースト状にする。
(3)残りのそら豆と新じゃがいもを柔らかくなるまでゆでる(電子レンジでも可)。そら豆は薄皮をむき、新じゃがいもは一口サイズに切る。
(4)温かいうちに全てを混ぜ、オリーブオイルで和える。塩、黒こしょうで味わいを整える。


よく合うワイン

フレシネ コルドン ロゼ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ラズベリー さくらんぼ はちみつ

見事な一体感と膨らんでいく味わい。幸せ感じる組み合わせ。

世界No.1※カヴァとして、150カ国以上で愛されている、スペイン生まれのスパークリングワインブランド、フレシネがこの春、味わいを根本から見直して新発売となりました。ロゼもこれまでは「セミセコ(やや甘口)」の味わいでしたが、世界の辛口嗜好に合わせた「エクストラ・ドライ(かなり辛口寄りのやや辛口)」に大きく味わいが変わり、名前も「コルドン ロゼ」となりました。フレッシュな赤果実が口いっぱいに広がる、エレガントな味わいです。
サラダと合わせると、口の中いっぱいに料理の味わいが広がる感じがありました。トマトの旨味と酸味、フェタチーズのフレッシュだけど幅のある香りと味わい、そら豆の香りと旨味、それらをまとめる新じゃがの甘さ。考えるとそれらの要素が次々に出て来るのですが、実際は一気に混然一体となってワインと混ざる感じです。フレシネ側も、単独では感じられなかったチェリーコンポートの様なコクのある果実感が見えて、でもそれらの要素がサラダとも一体化していく。そんな素晴らしい相性を見せてくれました。晴れたお休みの日のランチに、こんな組み合わせがあればとても幸せだなと言う組み合わせでした。
※※IWSR2023 スペインスパークリングワイン販売数量

メゾン アンジュエール エクストラ ドライ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

青リンゴ グレープフルーツ 白い花

初夏の空気感が伝わってくる、とても軽やかな組み合わせ

メゾン アンジュエールは2025年3月25日に発売になったばかりの新ブランドです。アンジュ(=天使)エール(=翼)が名前の由来で、ラベルにも天使が描かれた「天使のスパークリングワイン」。生産はフランスNo.1※1のワイン販売量を誇るカステルグループ。さらに、兄弟ブランドの「アンジュエール」は料飲店様専用の商品ですが、2008年の発売以来着実に売上を伸ばしており、現在では日本国内で10,000店※2を超えるお店でお取り扱い頂く大ベストセラーです。
サラダと合わせると、アンジュエールの柑橘や青りんごを連想させる爽やかな果実味が際立つように感じました。フレッシュな果実をほおばるような心地良い果実感です。そら豆の香りもそのフレッシュさと同調して清々しく、初夏の空気感が良く伝わってきます。新じゃがとフェタは全体の底を支える印象。とは言え、”新”じゃがですし、フェタも羊&山羊乳とは言えフレッシュチーズですから必要以上に重くはなりません。余韻に再び戻って来るそら豆の旨味も良く、この季節の風を感じるような、全体にとても軽やかな組み合わせでした。
※1 ※IWSR 2023 フランス産ワイン販売数量ベース
※2 ※アンジュエールブランド取り扱い店舗数推計(24年12月末時点)

コルンピオ ソーヴィニヨン・ブラン

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

レモン グレープフルーツ パッションフルーツ

香りの幅とボディが広がる、ワインが伸びる組み合わせ

コルンピオはスペイン語で「ブランコ」の事。ラベルにもあるブランコに乗った女性は、乗るだけで違う世界に連れて行ってくれるブランコのようなココロが弾む時間を提供したいと願うブランドのコンセプトを表現しています。そのテーマは「香り」。4種類それぞれにハッキリとわかる明確な香りを持っています。ソーヴィニヨン・ブランの香りはずばり「シトラス」。こころ晴れる爽やかな香りで、こころ弾むひと時をお過ごしください。
サラダと合わせると、コルンピオが持っていた熟した果実の力がグッと前に出て来る感じがありました。ワイン単体の香りからは引き締まったシトラス系の柑橘や、パッションフルーツ、そして柘植の芽を連想させる少し草っぽい要素を強く感じるのですが、料理と合わせる事で、それ以外の熟した黄桃やペリカンマンゴー、はちみつや黄色い花と言った雰囲気も醸し出してきます。このワインは香りだけではなくて、チリらしく実はきちんと果実のボディもあったんだなと気付かされる厚みのでる組み合わせでした。フェタの持つ酸味がいい感じで効いています。

タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソ 2022

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

スミレの花 ブラックチェリー 黒胡椒

スパイシーさが前に出る、そら豆が隠れてしまう組み合わせ。

太陽いっぱいのシチリア島産のオーガニックぶどうを使用。シチリアを代表するぶどうであるネロ・ダヴォラ種にシラーとメルロをブレンドした熟した甘い果実感と、適度なスパイシーさが魅力。オルガニコのサンジョヴェーゼよりも、ボリューム感や飲み応えを感じるタイプです。
サラダと合わせると、まろやかな果実味とスパイシーな黒胡椒の風味のコントラストが際立つように感じました。ワインが持っている要素が拡大されて見えてくると言えます。フェタの羊乳と山羊乳から来る、ある種の獣を思わせる香りと、シラーのスパイシーさとの相性の良さがとても良い感じです。新じゃがとフェタの甘さとコク、フルーツトマトの濃密な味わいも優しく受け止めてくれます。しかし、このサラダの肝と言えるそら豆があまり前に出てこないのが残念なので、少し点数は辛くしました。普通に美味しいのですが。

チャレンジまとめ

個人的に大好きなそら豆の美味しさをシンプルに活かした料理です。基本はオリーブオイルの旨味とフェタチーズの塩分だけで、そら豆の風味と旨味を活かすのがポイントです。このサラダ自体はわりとワインとの相性は良いので、濃厚すぎる赤ワイン以外はどんなワインとでも美味しく楽しめると思います。今回は特にスパークリングワインとの相性の良さが際立ちました。特に新しいフレシネのコルドン ロゼとの相性は素晴らしいの一言。是非皆様にお試し頂きたい一体感のある組み合わせでした。
最後に少し蛇足ですが、そら豆だけでなくスナップえんどうやグリーンピースなどの青豆類を入れると緑が鮮やかになり見た目は良くなりますが、甘さと青臭さが増えるので、ワインとの相性を考えるとそら豆だけでストレートに勝負するのが良いのではないかと個人的には思っています。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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