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  • 実験編「赤ワイン」

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凍ったワインっておいしく飲めるの??
~赤ワイン編~

2017年11月

前回、一度凍らせた白ワインの味わいを検証してみましたが、意外にもほとんど変化がないという結果になりました。当たり前のように味わいが落ちると思いこんでしまっていたので、かなり驚きました。。
ここで気になってきたのは赤ワイン。同じようにあまり変化がないのでしょうか?
冷やすこと自体があまり多くないイメージですが、どうなるのか?知見のためにも試しておきたいと思います。

(注)ワインを商品の容器のまま凍らせることは避けてください。液漏れや容器の破損の恐れがあり危険です。

目次
  1. とりあえずティスティング!
  2. 【ワイン1】フレッシュな果実味で軽めの赤ワイン:『酸化防止剤無添加のおいしいワイン(赤)』
  3. 【ワイン2】華やかな香りで軽めの赤ワイン:『ジョルジュ デュブッフ ボジョレー』
  4. 【ワイン3】力強い味わいの赤ワイン:『ロス ヴァスコス カベルネ・ソーヴィニヨン』

とりあえずティスティング!

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まずはワイン!次の3つのタイプについて、通常のワインと一度凍らせて解凍したワインで試してみました。
 
ワイン1.フレッシュな果実味で軽めの赤ワイン:
『酸化防止剤無添加のおいしいワイン(赤)』
 
ワイン2.華やかな香りで軽めの赤ワイン:
『ジョルジュ デュブッフ ボジョレー』
 
ワイン3.力強い味わいの赤ワイン:
『ロス ヴァスコス カベルネ・ソーヴィニヨン』
 
冷凍の方法は、上部の写真に写っているようなPET製の容器(-40℃~+70℃までの温度範囲で使用可能)に移し替えて冷凍庫で冷凍。液体が完全に凍ったことを確認後、冷蔵庫に移して解凍しました。
(注)ワインの冷凍を試す場合は、移し替える容器の使用温度範囲を必ず確認ください。
 
また、使用したグラスは小ぶりのテイスティング用のグラスです。
 
4人のメンバーで、「①通常:冷蔵庫で保管したワイン」と、「②冷凍:一度冷凍させたものを解凍したワイン」のそれぞれを同じ温度(15~20℃程度)で試飲、味わいの要素を最高5点で数値化しました。
 
さて、味わいや風味に違いが出るのでしょうか?
 
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
 商品の容器のままの冷凍保管は避けてください。

【ワイン1】フレッシュな果実味で軽めの赤ワイン:『酸化防止剤無添加のおいしいワイン(赤)』

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【冷凍すると】

見た目からして明確に変化。フレッシュさがなくなって重い飲み口に。

 

まず、外観でうす濁りが見られるように。また鮮やかなルビー色だったものが、少し褐変したような色調に。

香りについても、チャーミングな赤い果実のような香りだったものが、少し火を入れた果実のような単調な香りになって、ボリュームも弱く。

味わいについては、果実味が薄れて感じられて、味わいがぼやける感じ。また少しアルコール感を強く感じて、後口にえぐみが残る。

 

凍らせることで、香りと味わいがかなり弱々しい印象になって、明確においしくなくなった。外観に濁りが見えておいしそうではないし、後口に残るえぐみから重い飲み口に感じられる。

【ワイン2】華やかな香りで軽めの赤ワイン:『ジョルジュ デュブッフ ボジョレー』

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【冷凍すると】

見た目にも少し変化。フレッシュさがなくなって渋味が後口に残る。

 

まず、外観で鮮やかなルビー色だったものが、少し褐変して淡い色調に。

香りについては、もともとフレッシュな赤い果実や花のような香りだったものが、少し火を入れた果実単調な香りだけになって、ボリュームも弱く。

味わいについては、果実味が薄れたように感じられて、味わいがぼやける感じ。逆にもともとあまり感じなかった渋味が強く出てきて、口当たりもタンニンの粗さを感じてよくない。後口にも渋味が残る。

 

凍らせることで、香りと味わいが一回り弱い印象になって、明確においしくなくなった。外観にも鮮やかさがなくなってしまったし、変に渋味が浮いて感じられて、飲んだ後もえぐみが残って重い飲み口に。

【ワイン3】力強い味わいの赤ワイン:『ロス ヴァスコス カベルネ・ソーヴィニヨン』

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【冷凍すると】
見た目にも変化。果実味が薄れて渋味が後口に残る。

 

まず、外観で少し褐変した色調になってやや濁りがみられるように。

香りについては、もともと黒い果実やスミレの花のような香りが中心だったものが、果実の印象は控えめになって、杉や少し湿気た植物のような香りが前面に感じられるように。香りのボリュームは弱く。

味わいについては、果実味が薄れたように感じられて、味わいがぼやける感じ。逆に渋味を強く感じて、口当たりもタンニンがかなり粗く感じてよくない。

 

凍らせることで、香りと味わいが一回り弱い印象になって、明確においしくなくなった。外観にも鮮やかさがなくなってしまったし、飲んでいる間も飲んだ後も渋味が強く粗く感じられて、えぐみも口に残ってまとわりつく感じ。かなり重い飲み口に。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
結論としては、
★★赤ワインは一度凍ったものはおいしくない★★
★★特長が弱くなって、えぐみや渋味が強く出てくる感じ★★
 
という結果に。
白ワインでは、一度凍らせても違いがほとんどわからないレベルでしたが、赤ワインは見た目にも味わいにもはっきりと違いがわかりました。どのワインも共通して、果実味や酸味、香りが弱くなったように感じて、逆に渋味やえぐみが強調されて感じるようになりました。
赤ワインについては、凍らせたりワイン氷にするようなことは避けた方がよさそうです。
 
【赤ワインだけおいしくなくなっているのはどうして?】
白ワインは基本的にぶどうの果汁のみからつくられるのに対して、赤ワインはぶどうの果汁に加えて種や果皮も使われるために、含まれている成分が赤ワインの方がかなり多いです。また、原料時点の成分の多さだけでなく、製造過程の化学変化でさらに多様な成分が発生します。
冷凍によって白ワインも変化していると思いますが、もともとの成分が多くないため、赤ワインと比較すると変化の度合いが少ないんだと思います。
白ワインでも、前回の実験の「ワイン3」では、樽熟成していて含まれる成分が比較的多いためか、冷凍すると少しゴムのような化学的な香りが感じられるようになりました。
 
 
【この次】
寒い日が多くなってきて、身体が温まるホットな飲み物がほしい季節になってきました。そこで温めて飲むワイン『ホットワイン』のおいしい飲み方をご紹介します。
手ごろに簡単においしく楽しめるようなレシピを試したいと思いますので、乞うご期待!!
 

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