ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
毎月1つのテーマに絞って連載していきます。

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ワインの保存グッズによって
味わいは違うのか??

2015年10月

前回、前々回では、「ワインを開けてからの味わいの変化」を実験しました。そこで、今回は世の中に出回っている「ワイン保存グッズ」や「ワインの保存方法」の効果を実験していきます!!
保存グッズや保存方法でどれくらい味わいの変化を抑えられるのか!?

さて、結果やいかに!?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【ワイン1】~すっきりした味わいの白ワイン~
    ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
  4. 【ワイン2】~力強い赤ワイン~
    ロス ヴァスコス グランドレゼルブ

▼ さっそくやってみた!!

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まず、ワインは次の2種類で試してみました。
 
ワイン1.
すっきりした味わいの白ワイン:
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
 
ワイン2.
力強い味わいの赤ワイン:
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ
 
 
そして、実験する保存方法は次の3種類。
 
A.小瓶に移し替え:
飲み終わった後に、ワインのハーフボトルの空き瓶に移し替える。空気(酸素)のスペースをなくす。(別途、補充用に100mlの容器も用意しておき、これにも空気が入らないように移し替えておく。各日試飲後にこの容器からハーフボトルの瓶に補充。)
 
B.窒素スプレー:
ワインを飲み終わった後に、ワイン保存用窒素スプレーでワインが残ったボトルに窒素を注入。
 
C.真空ポンプ:
ワインを飲み終わった後に、ワイン保存用の真空栓と真空ポンプで空気(酸素)を吸い出す。
 
※保存グッズを使用しない場合も比較のため実施しました。
 
検証の仕方は、4人のメンバーで「開けた当日、1週間後、2週間後」に試飲して、味わいの要素を最高5点で数値化して比較しました。前回、前々回の実験で、1週間後まではほとんど変化がなかったので、1週間後以降の比較としています。
なお、前回、前々回と同様に、試飲した各日に100mlずつ減らしていきました。
また、すべて冷蔵庫保管で、保存グッズのC以外は、スクリューキャップのものはキャップを閉めて、コルクの栓のものはコルクを差しました。
 
さてさて、保存グッズの効果はいかに!?
 
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▼ ざっくりと結果まとめ!!

今回も実際に実験をやってみると、保存グッズによってワインの味わいの違いをかなり感じることができました!
 
さっそく今回の結論は、
★★ 小瓶に移し替えるのが一番効果的!★★
★★ 窒素スプレーも1週間後までは効果的!★★
ということに!
 
ちまたでよく見かける真空ポンプは、果実味は保てるものの、香りの要素をかなり弱めてしまう傾向が見られました。とても意外な結果でした。。
 
  • 【A.ワインのハーフボトルの空き瓶】
    ★2週間後でもおいしく飲める!★
    1週間後では窒素スプレーと接戦の結果になりましたが、2週間後にはどの要素も一番保たれていました。さらに、1週間後から2週間後の間はほとんど変化していませんでした。かなり優秀な保存方法のようです。
  • 【B.窒素スプレー】
    ★開けて1週間後まではおいしい★
    1週間後まではイキイキとして鮮度が高い印象で、各要素のバランスもとてもよく感じました。ただ、2週間後には香りの要素を中心に弱くなってしまったように感じました。
  • 【C.真空ポンプ】
    香りの要素が激減。。ただ、果実味に関してはけっこう効果あり。
    香りの要素では、何もしなかったものよりも良くない結果になってしまいました。。真空で空気を吸い出すことで、香りの成分も吸いだしてしまっているのかもしれません。。
    一方で、果実味に関しては、2週間後でもイキイキした新鮮な印象が感じられました。

 

ワインごとの変化の違いなど、詳しくは「検証結果をくわしく!」で。
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。
 

【ワイン1】~すっきりした味わいの白ワイン~
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

青草や柑橘、青いりんごのような爽快な香りと、キレの良い酸味が特長です。前回の実験で、ただ再栓して冷蔵庫保管するだけでは、1週間後を境にどの要素も一気に落ちてしまう結果でした。

 

【検証結果】

このワインの保存方法としては、「A.小瓶に移し替え」と「B.窒素スプレー」が良さそうな結果に。「C.真空ポンプ」は何もしないよりも落ちてしまう要素も。。

 

  • A.小瓶に移し替え
    味わいの変化はありつつも、かなり優秀な保存方法☆
    1週間後の試飲では、果実味にやや熟れた印象が出てきましたが、爽快なハーブの香りはまだまだ感じられて、開けたてとはまた違うおいしさを感じられました。そして驚いたことに、2週間後でもほとんど味わいの変化がありませんでした、優秀な保存方法のようです。
  • B.窒素スプレー
    1週間後では一番優秀☆!! 2週間の保存には向かないかも。
    1週間後の試飲では、フレッシュな青りんごやレモンの印象が感じられて、開けたてからほとんど変化していない印象でした。一番ワイン本来の味わいをキープ!
    ただ、2週間後には、香りの要素を中心に弱まってしまった印象。とはいえ、果実味や酸味の鮮度はまだまだキープ。
  • C.真空ポンプ
    香りの要素を弱めてしまう結果に。。果実味に関してはキープできる。
    1週間後に試飲してみてびっくり、香りの要素がかなり落ちてしまっていました。正直なところ、何もしないものの方が香りの要素は楽しむことができました。2週間後にはさらに弱く。。
    ただ一方で、果実味に関してはかなり優秀で、2週間後でもイキイキとした印象を感じることができました。

【ワイン2】~力強い赤ワイン~
ロス ヴァスコス グランドレゼルブ

【ワインの特長】  ブランドサイトはこちら 

濃密で熟したカシスなどの果実を思わせる香りが特徴のワインです。南国の太陽を浴びた豊かな果実味と、骨太のタンニンの力強い味わいです。前々回の実験では、ただ再栓して冷蔵庫保管するだけでは、2週間後を境にどの要素も一気に落ちてしまう結果でした。

 

【検証結果】

こちらのワインも保存方法としては、「A.小瓶に移し替え」と「B.窒素スプレー」が良さそうな結果に。やはり「C.真空ポンプ」は何もしないよりも落ちてしまう要素も。。

 

  • A.小瓶に移し替え
    このワインでは一番優秀☆2週間後でもおいしく飲める。
    1週間後の試飲では、少し熟成した印象が現れて、熟れたプラムやカシスリキュールのような香りを感じました。各要素は若干スマートになった印象ではあるけれど、ほとんど変化していない感じ。
    その後2週間後では、熟成した印象はそれほど進まずに、味わいはほとんど変化がありませんでした。やはり優秀な保存方法のようです。
  • B.窒素スプレー
    小瓶に負けるものの優秀な保存方法☆
    1週間後の試飲でも、開けたてのような新鮮な果実味を感じられました。その後2週間後には、やや小ぶりになったものの、まだまだ各要素キープしている印象でした。この保存方法の場合、あまり熟成感は加わってこない感じで、元々のワインの印象を保つという意味では一番優秀かも。
  • C.真空ポンプ
    このワインでも香りの要素を弱めてしまう結果に。。果実味はそこそこキープできる。
    1週間後に試飲してみると、香りの要素がけっこう落ちているのを感じました。ただ、白ワインよりはその影響が少なかったように感じました。果実味に関してはフレッシュな印象が保たれていました。 2週間後には香りの要素がガクンと落ちてしまった印象でした。。ただ、果実味に関してはかなり優秀で、2週間後でもイキイキとした印象を感じることができました。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
保存グッズによって味わいはかなり違うことがわかりました。
今回試した条件では、「A.小瓶に移し替え」と「B.窒素スプレー」が効果的な保存方法という結果になりました。「C.真空ポンプ」は効果を知った上で使った方がよさそうです。
 
 
【それぞれの保存方法の特徴は?なぜ変化の仕方が違うの?】
A.小瓶に移し替え:
2週間の保存でも問題なし。
はじめに移し替えるタイミングで酸化・揮発が起こって、少し熟成感が加わって各要素が若干弱まる。その後はその状態のままキープされるイメージ。
 
B.窒素スプレー:
1週間程度の保存には適している。
不活性な窒素ガスを注入することによって、酸化はかなり防げるけれど、香りの成分が揮発して弱くなることは避けられないイメージ。とくに白ワインでは香気成分の元々の量が多くないのか、影響が大きい。
 
C.真空ポンプ:
複雑な香りを持ったワインの保存には適していないかも。
真空ポンプで抜気する際に、空気(酸素)だけじゃなく香気成分まで吸いだして香りを弱めてしまうイメージ。繰り返し行うとより弱めてしまう。香りの要素以外は保てるので、カジュアルに飲むワインの保存には適しているかも。
 
 
【小瓶はワインボトルの瓶以外でもよいの?】
身近なペットボトルやステンレス製ボトルなどでも効果的なのか気になるところですね。これも実際に検証して、近々にまたご報告したいと思います!
 
 
【この次。】
第3回から今回まで、ワインを抜栓してからの保存方法による味わいの変化をいろいろと検証してきました。実際に試してみるとかなり違いを感じることができましたが、そもそも抜栓する前の管理方法による影響も気になるところ!
次回は、ワインの管理によって味わいは変わるのか?? を実際に試してみます!
今夏をずっと日当たりの良い場所で過ごしたワインも試飲します。。お楽しみに!
 

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