サステナビリティ

水資源

考え方・方針

水のサステナビリティ

水は人々の生命や生活を支える上で貴重な資源であり、サントリー食品インターナショナル株式会社(以下、「当社」といいます)の企業活動の源泉です。水は再生可能な資源であり、地球上からなくなることはありませんが、人間が利用できる淡水は地球に存在する水の約0.01%にすぎません。
一方で、人口の増加や気候変動などにより、世界規模での水資源問題が発生しています。2050年までに、世界で約50億人が深刻な水不足に見舞われるとの予測もあります。この世界的な水不足には多くの問題が絡んでおり、例えば、水は飲用や生活用水としてだけでなく、食料の生産にも多く使われています。私たちはグループ環境基本方針の最上位に「水のサステナビリティの実現」を掲げ、バリューチェーン全体を視野に入れて、自然界における水の健全な循環に貢献するためのさまざまな取り組みを進めています。

  • 世界気象機関(WMO)「The State of Climate Services 2021」

サントリーの「水理念」

サントリーのものづくりは水の恵みがなければできません。私たちは、水に生かされ、水を生かす企業なのです。だからこそ水の品質にこだわるだけでなく、貴重な資源としての水を守り、育み、大切に使う責務があります。私たちは水に対する敬意と感謝のもと、これからも世界中の人々の豊かな生活の実現に貢献する、新たな価値をもった商品を創り出していきます。

サントリーグループ『水理念』の概念図

サントリーグループ『水理念』の概念図

サントリーの『水理念』2017年1月策定

水はグループにとってもっとも重要な原料であり、かつ、貴重な共有資源です。環境基本方針の最上位に掲げる「水のサステナビリティの追及」に向けて、次の理念をグループ全体で共有し、ステークホルダーの期待に応えていきます。

  1. 水循環を知る

    使用する水の循環について科学的アプローチに従って流域を調べ、理解を深めます。

  2. 大切に使う

    水の3R(Reduce/Reuse/Recycle)活動を通じて節水に努め、浄化した水は自然に還し、環境インパクトを軽減します。

  3. 水源を守る

    サステナブルな未来を実現していくため、ステークホルダーと協力しながら使用する水の水源保全に努めます。

  4. 地域社会と共に取組む

    社会が豊かになるように、水課題の解決への貢献を通じて地域コミュニティを支援します。

The CEO Water Mandate

当社を含むサントリーグループは、水の持続可能性に関して企業の発展・実践・情報開示を支援する「国連グローバル・コンパクト」のイニシアチブであり、水資源問題のグローバルプラットフォームである「The CEO Water Mandate」に署名しています。

The CEO Water Mandateのロゴマーク

サントリーが日本で初めて取得した水の国際認証 Alliance for Water Stewardship(AWS)

当社を含むサントリーグループでは、2018年にサントリー天然水 奥大山ブナの森工場(鳥取県)にて日本で初めてとなるAWS国際認証を取得し、次いで2019年九州熊本工場(熊本県)、2021年サントリー天然水 南アルプス白州工場(山梨県)にて取得、2023年には九州熊本工場において認証レベルのなかで最高位である「Platinum」認証を取得しました。AWSは、世界自然保護基金(WWF)やThe Nature Conservancy(TNC)などのNGOと企業が共同で設立した、水のサステナビリティをグローバルに推進する機関です。世界中の工場を対象とした持続可能な水利用に関するAWS認証を開発し、水の保全やスチュワードシップの推進に取り組んでいます。
さらに、サントリーグループの水のサステナビリティの活動に共感したAWSと、2021年2月に連携協定を締結し日本における水管理の啓発やネットワーク構築などリーダーシップを担う企業として、また、日本で初めてメンバーシップ企業として、 ステークホルダーの参画促進、共有可能なツールの開発や啓発などを推進しています。

推進体制

サステナビリティ委員会

水、GHG、原料、容器・包装、健康、人権、生活文化のサステナビリティに関する7つのテーマに対して、取締役会の諮問委員会であるサステナビリティ委員会で、サステナビリティ経営推進のための戦略立案や取り組みの推進、進捗確認を行っています。

目標と進捗

サントリー食品インターナショナルの目標と実績

当社を含むサントリーグループは、サステナビリティ経営により明確な方向性を与えるため、「環境ビジョン2050」および「環境目標2030」を策定しています。世界が抱えるさまざまな課題にこれまで以上に真摯に向きあい、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けるべく、2021年4月に「環境目標2030」の温室効果ガス(GHG)削減目標を改定し、2021年12月には、水の目標を改定しました。

2030年
目標

  1. 【工場節水】
    自社工場※1の水使用量の原単位をグローバルで20%削減※2
    特に水ストレスの高い地域においては、水課題の実態を評価し、水総使用量の削減の必要性を検証。
  2. 【水源涵養】
    自社工場※1の半数以上で、水源涵養活動により使用する水の100%以上をそれぞれの水源に還元。特に水ストレスの高い地域においてはすべての工場で上記の取り組みを実施。
  3. 【原料生産】
    水ストレスの高い地域における水消費量の多い重要原料※3を特定し、その生産における水使用効率の改善をサプライヤーと協働で推進。
  4. 【水の啓発】
    水に関する啓発プログラムに加えて、安全な水の提供にも取り組み、合わせて100万人※4以上に展開。

2023年
実績

  1. 原単位15年比21%削減
  2. 全世界の自社工場全体での32%で水源涵養活動を実施
    水ストレスの高い地域にある工場においては、
    その33%で活動を実施
  3. Sedexを通した一次サプライヤーの水マネジメントに関する情報を把握
  4. 次世代環境教育「水育」などの
    水啓発プログラム:71万人
    安全な水の提供:36万人
    累計107万人に展開※5
  • ※1
    製品を製造するサントリー食品インターナショナルの工場
  • ※2
    2015年における事業領域を前提とした原単位での削減
  • ※3
    コーヒー等
  • ※4
    目標の100万人はサントリーグループの人数
  • ※5
    累計の107万人はサントリーグループの人数

水リスクの評価

水のサステナビリティの追求を「サントリーグループ環境基本方針」の重点課題に掲げているサントリーグループは、水科学研究所を2003年に設立し、水に関するさまざまな評価を継続的に行っています。当社では持続可能な事業活動を見据え、サントリーグループで実施する水に関するリスク評価を活用し、環境経営の推進にも役立てています。また、新規事業の展開に際しても、水リスク評価を勘案しています。
当社でも、自社工場が立地する国における水ストレス評価を実施しています。

サントリーグループ自社工場への水の供給リスク評価

1. サントリー食品インターナショナル自社工場が立地する国における水ストレス状況

特定の国における水リスクを全球レベルで共通に評価するツールとして、世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueduct Country Rankingの評価指標であるBaseline Water Stressを活用し、当社の自社工場が立地する国の水ストレス状況を確認しています。

Baseline Water Stress  
極めて高い
(Extremely high)

(High)
スペイン、タイ
中~高
(Medium-high)
アメリカ、ベトナム
低~中
(Low-medium)
日本、イギリス、フランス、マレーシア、台湾

(Low)
ニュージーランド
  • World Resources Instituteが公開したAqueduct 4.0のAqueduct Country RankingにおけるBaseline Water Stressの国別スコアをもとに作成。
2. サントリー食品インターナショナル自社工場が立地する流域における水の供給リスク評価

立地国での評価に加え、当社の自社工場が所在する流域において全拠点を対象に、水の供給リスクの評価を実施し、優先工場を選定して水リスク管理を進めています。以下にその評価プロセスとリスク管理の進捗を示します。

・1次評価—水ストレスの評価に基づく優先工場の絞り込み(スクリーニング)

1次評価は、2021年に参画したScience Based Targets(SBT)for Waterのパイロット検証プログラムでの知見を基に当社が開発した方法で行いました。
はじめに、飲料業界の特性にもとづいて水に関するマテリアリティ(重要課題)を把握しました。その結果、持続的な工場の操業に向けて最も重要な課題は、立地する流域における利用可能な水資源量であり、最も依存する生態系サービスは地下水と表層水であることが分かりました。
次に、水リスク管理に優先的に取り組む工場を絞り込むため、サントリーグループ自社工場が立地する全流域を対象に、利用可能な水資源量に関するリスクを評価しました。評価には、前述したAqueductに加え、世界自然保護基金(WWF)が開発したWater Risk Filterを参照し、その中から水の量的なリスクを評価できる4種類の指標を使用しました。これらの指標は、降水等による流域への水の供給量と、人口統計などから推定された流域内の水需要量の比率を基に、利用可能な水資源量を評価する指標となります。4つのうち3指標はWater Risk FilterのWater Depletionなど、現在の水ストレスを評価する指標を採用し、拠点ごとにスコアを平均化して「現在の水リスクスコア」としました。残りの1指標は、「将来の水リスクスコア」として、気候変動などのシナリオもとづいて2040年の利用可能な水資源量を予測するAqueductの2040 Water Stressを採用しました。いずれの指標も5段階でリスクスコアが示され、現在の水リスクスコア平均が「5:極めて高い」または「4:高い」の流域に立地する拠点を「水ストレスが極めて高い拠点」、将来の水リスクスコアが4以上の流域に立地する拠点を「水ストレスが高い拠点」と位置づけました。なお、AqueductとWater Risk Filterのバージョンはそれぞれ3.0、6.0によるものです。
サントリー食品インターナショナルの工場における2022年取水量の合計を100%とした場合、水ストレスが極めて高い拠点の取水量は3%、水ストレスが高い拠点の取水量は18%にあたり、2次評価では、これら21%の拠点を主な優先工場としてリスク低減の取り組みを進めています。

  • Science Based Targets Network が水のSBT設定に関する方法を検証するパイロットスタディ
  • Water Risk FilterのWater
    Depletion指標のリスク評価(5段階)

    Water Risk FilterのWater Depletion指標のリスク評価(5段階)

    出典:WWF(世界自然保護基金)の
    Water Risk Filterをもとに作成

  • Aqueductの2040 Water Stress
    BAUシナリオのリスク評価(5段階)

    Aqueductの2040 Water Stress BAUシナリオのリスク評価(5段階)

    出典:World Resources Institute(世界資源研究所)
    「アキダクト・プロジェクト」 をもとに作成

サントリー食品インターナショナルの工場のストレス評価グラフ
・2次評価—各拠点でのリスク低減の取り組みレベル評価

1次評価で絞り込まれた優先拠点を対象に、2次評価ではa. 水マネジメント(取水管理と節水管理)およびb. 地域との共生の観点で、各拠点のリスク低減の取り組みレベルを評価しました。なお、水資源の状況は各工場の立地する流域ごとに異なるため、リスク低減の取り組みは現地の実情にあわせた対応を行っています。

a. 水マネジメント(取水管理と節水管理)

水は地域や生態系と共有する貴重な資源であるため、工場の操業では責任ある適切な水マネジメントが求められます。
当社の工場の水源は大きく市水と自然水(表層水、地下水)の2つに分類されます。一般的に市水は地域のさまざまな利用者と共有されるため、その水源エリアは広範囲におよび、水源からの取水管理を行う主体は地域の水道局となります。気候変動への適応計画を含め、当社は水道局による給水管理の方針や計画にのっとり、適切な節水管理を進める必要があります。一方、工場が自然水(表層水、地下水)を利用している場合、取水の管理主体は工場内に取水口を持つ当社であり、気候変動などの環境変化への適応として、取水や節水管理の取り組みを主体的に進める必要があります。
以上の観点から、当社は取水管理と節水管理の取り組みレベルを拠点ごとに評価しました。評価項目は以下の二点です。

①取水管理

適切に取水管理されていることが証明できること(水を汲みすぎない)

  • 市水を利用している工場は、水道局が取水管理を行うため対象としない
《評価基準》
  • 取水が地域の河川や地下水の水位に著しい影響を与えていないことを証明できること。
  • そのために必要な取水データを全て収集できている。
必要な取水データを収集していない Red
必要な取水データのうち、一部収集できていない Yellow
必要なデータをすべて収集し、適切に取水管理を行っている Green
《評価結果》

拠点ごとに取水管理のレベルを可視化した結果の推移を下記の円グラフに示します。評価を基に、取り組みが不足している拠点に対して是正処置を行った結果、2022年12月時点で33%であった水マネジメント(取水)におけるサントリー食品インターナショナルのGreen評価の工場の割合は、2023年12月時点で100%となりました。

  • 拠点ごとに取水管理のレベルを可視化した円グラフ2022年12月
  • 拠点ごとに取水管理のレベルを可視化した円グラフ2023年12月
②節水管理

適切に節水管理されていることが証明できること(水を無駄に使わない)

《評価基準》
  • 水を効率的に使うための目標が設定されている。
  • 目標達成のための活動が進められている。
  • 目標が達成されている。
水原単位の中期目標が無い Red
水原単位の単年目標が無い、達成されていない Yellow
水原単位の単年目標が達成されている Green
《評価結果》

拠点ごとに節水管理のレベルを可視化した結果を下記の円グラフに示します。中期的な目標管理に加え、単年目標の達成に向けた節水管理を各拠点で進めた結果、サントリー食品インターナショナルのGreen評価となる工場の割合は2022年12月時点の69%から2023年12月時点で67%となりました。

  • 拠点ごとに節水管理のレベルを可視化した円グラフ2022年12月
  • 拠点ごとに節水管理のレベルを可視化した円グラフ2023年12月

今後も引き続き、同様のプロセスでリスク低減に向けた取り組みを実施していきます。

b. 地域との共生

水資源の使用者であるサントリーが、流域に多数存在するステークホルダーの一員であるという自覚を持ち、ステークホルダーと手を携えてその流域の水資源の保全に取り組み、流域社会の発展に寄与していくことを目指しています。
具体的には、環境目標2030に掲げる水源涵養活動のロードマップに沿って、工場の立地する流域の水課題を特定し、地域のステークホルダーと連携して、その課題解決に資する水源保護の取り組みを順次始めています。
以上の観点から、地域との共生の取り組みの進捗レベルを拠点ごとに評価しました。

《評価基準》
  • 水の持続性確保に向けた流域の課題を特定している。
  • 地域のステークホルダーと共に課題解決に資する取り組みを行っている。
「流域の水課題」を特定できていない Red
「流域の水課題」を特定できている Yellow
「流域の水課題」の解決に資する「地域との取り組み」ができている Green
《評価結果》

拠点ごとに地域との共生の取り組みの進捗を可視化した円グラフに示します。各拠点での地道な取り組みを進めた結果、サントリー食品インターナショナルのGreen評価の工場は2022年12月時点の31%から2023年12月時点で33%となりました。

  • 拠点ごとに地域との共生の取り組みの進捗を可視化した円グラフ2022年12月
  • 拠点ごとに地域との共生の取り組みの進捗を可視化した円グラフ2023年12月

取り組み

当社の主な事業は、水や農作物といった、自然の恵みに支えられています。「水と生きる」サントリーは、水を大切に使い、きれいにして自然に還すだけでなく、水を育む森を守るなど、自然界における水の健全な循環への貢献——すなわち「水のサステナビリティ」を事業活動における最も重要な課題と認識し取り組みを行っています。
具体的には生産拠点における排水管理、用水管理、取水管理、そして2030年環境目標に向けた節水活動、また、原料産地での再生農業を通した環境負荷の軽減や生産で使用した分の水を還元する水源涵養活動、水の大切さを子どもたちに伝える「水育(みずいく)」を通して、水や自然の恵みをもたらす地球環境を未来へ引き継いでいきます。

当社が考える水のサステナビリティと取り組み全体像

水資源

水使用量削減のための「水の3R」を徹底

当社の工場では、商品の原料としてだけでなく、製造設備の洗浄や冷却用に多くの水を使用します。限りある水資源を大切にするため、できる限り使う水を少なくする(Reduce)、繰り返し使う(Reuse)、処理をして再生利用する(Recycle)の「水の3R」を徹底し、2030年目標である「全世界の自社工場での水使用を原単位20%削減」の達成に向けて活動を強化しています。
工場の設備機器を選定する際も「水の3R」を徹底しています。 サントリープロダクツ 天然水南アルプス白州工場では、3Rの視点から多様な活動を展開しています。とりわけ、水のカスケード(多段階)利用といった高度な循環再利用により、水使用原単位で業界トップレベルを達成しています。

  • サントリープロダクツ(株)天然水 南アルプス白州工場

    サントリープロダクツ(株)
    天然水 南アルプス白州工場

  • 清浄レベルごとに回収した水を200トンのタンクに貯蔵し再利用

    清浄レベルごとに回収した水を
    200tのタンクに貯蔵し再利用

水のカスケード利用

製造工程で使用する水(地下水、河川・湖の水、雨水、上水、外部から供給されている水(再生水)を冷却水や洗浄水など5つのグレード(清浄度)に分類し、高いグレードが要求される用途から次のグレードでまかなえる用途へ段階的に再利用を図る技術です。

水のカスケード利用図

排水管理の徹底

当社では、排水をできる限り自然に近い状態で自然に還すため、法律と同等もしくはより厳しい自主基準値を設け、排水品質を徹底管理しています。工場からの排水は嫌気性排水処理設備などで浄化処理し、下水道や河川へ放流しています。その際、測定装置による常時監視と検査員による日々の水質点検などを実施しています。

  • 微生物(嫌気性菌)を用いて汚濁物質を分解する処理方法
24時間体制での排水管理

24時間体制での排水管理

水源涵養活動

当社では、自社工場の地域の水循環を科学的アプローチにそって理解し、その地域にあわせて水源涵養活動を地域社会の皆さまと協力しながら進めています。

サントリー「天然水の森」(水源涵養/生物多様性の再生)

当社では、水源涵養(かんよう)機能の向上と生物多様性の再生を目的とした活動である「天然水の森」を2003年に開始しました。現在では、16都府県23カ所、12,000haを超える規模まで拡大し、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養しています。活動を進めるにあたっては、さまざまな分野の第一線で活躍されている研究者と連携し、科学的な根拠に基づいて100年先をも見据えた継続的な活動を展開しています。

サントリー「天然水の森」(水源涵養/生物多様性の再生)
  • ※1
    100年間にわたり更新予定
  • ※2
    数十年にわたり更新予定
  • ※3
    京都府長岡京市では、「西山森林整備推進協議会」のメンバーとして、地域の方々と協働して森林保全活動にあたっています。この活動の面積は「天然水の森」の総面積に算入していません
  • ※4
    1つの展開地で複数の契約・協定期間がある場合は、そのうちの長い期間を表記しています

さまざまなステークホルダーとの水調査に関する協働

スペインのトレド工場では、2021年よりタホ川流域にあるグアハラス貯水池の水量・水質と生物多様性の向上のために「ガーディアンズ・デル・タホ(Guardians del Tajo)」というプロジェクトを進めています。現地のNGOや大学と協力して生態系および水文調査を進め、2023年11月にはトレド県のラヨス市議会と約2 ヘクタールの市有林の森林再生に関する協定を締結しました。この協定を通じた活動では、ラヨス川の右岸に隣接する土地の植林と緑化を2023年から2025年にかけて実施し、同地域の生物多様性の向上、土壌の固定と肥沃化による浸食プロセスの防止、拡散性汚染の低減、水の浸透能の改善、大気中のCO2の回収を目指しています。今後も引き続き、2030年に向けた水源涵養活動のロードマップに沿って、水源保全の取り組みを着実に進めていきます。
また、これらの活動を推進する地域では、水の大切さを啓発する次世代環境教育「水育」も併せて展開し、次世代を担う地域の子供たちを中心に水源を守る大切さを伝えていきます。

次世代環境教育「水育」

水や自然の恵みに支えられている当社を含むサントリーグループは、水を育む森を守る「天然水の森」活動をはじめ、美しい水を未来へとつなぐ環境活動を行っています。
2004年に開始した次世代環境教育「水育(みずいく)」もその活動のひとつです。
「水育」は子どもたちが自然のすばらしさを感じ、水や、水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引き継ぐために何ができるかを考える、次世代に向けた独自のプログラムです。

世界7ヵ国で「水育」を展開

次世代環境教育「水育(みずいく)」

日本

「水育」では、親子で自然体験を行う「森と水の学校」と、小学校で行う「出張授業」の2つを中心に活動しています。
「水育」は、文部科学省「青少年の体験活動推進企業表彰」で、2022年度審査員委員会優秀賞を受賞しています。

  • 後援:環境省、文部科学省など
森と水の学校

「森と水の学校」は、小学校3~6年生とその保護者を対象に「サントリー天然水」のふるさとで開かれる自然体験プログラムです。白州(山梨県)・北アルプス(長野)・奥大山(鳥取県)・阿蘇(熊本県)の広大な自然のなかで、「水の大切さ」や「水を育む森や自然の大切さ」を体感します。自宅から自然体験ができるリモート校も開催しています。なお、「森と水の学校」は環境教育に関わる地元で活躍する専門の講師と一緒にプログラムを実施しています。

  • 「森と水の学校」プログラムの様子
  • 「森と水の学校」プログラムの様子

水育「森と水の学校」

出張授業

小学校4・5年生を対象に、小学校を訪問して先生方と一緒に行う授業です。映像や対話を通して、自然の仕組みや大切さを学び、未来に水を引き継ぐために何ができるのかを考えます。オンライン授業も実施しており、日本全国の小学校で実施可能になりました。

  • 「出張授業」の様子
  • 「出張授業」の様子

水育「出張授業」

ベトナム

2015年3月以降、ベトナム版「水育」を実施しています。
国際的なNGOの協力のもとオリジナルの教材を開発し、2017年からはベトナム共産党中央委員会Young Pioneer Organization (CCYPO)と協力、さらに2022年からは教育訓練省とも連携し、水の大切さや衛生管理、水源保全の重要性などについて学習する授業を、小学校3~4年生の児童対象に行っています。また、授業を実施している主な小学校においてトイレや洗面所などの改修や設置を支援し、子どもたちの衛生環境の向上にも貢献しています。
この活動はSDGsターゲット6<安全な水とトイレを世界中に>の6.bへの貢献と位置づけています。
なお、2022年12月にサントリー ペプシコ・ベトナム・ビバレッジ社が教育訓練省と包括的な協力協定を締結し、3カ年の計画を立てて「水育」プログラムをベトナム全国に展開しています。

  • ベトナムでの「水育」
  • ベトナムでの「水育」

ベトナムでの「水育」

タイ

2019年7月からタイで「水育」を実施しています。
地元NGOの協力のもと、首都バンコク、ラヨーン県、サラブリー県で、小学校での水に関する啓発プロジェクトを展開しています。また、タイ北部のチェンマイ県や南部のナコーンナーヨック県では、小川の流れを緩やかにして土砂による浸食を防止し、地下水の浸透を助ける小型堰の設置や、小川に土が流出するとこを防ぐための植樹などの水源保全活動に取り組んでおり、今後も継続して実施していく予定です。

  • タイでの「水育」
  • タイでの「水育」

タイでの「水育」

フランス

2020年7月より、サントリー食品フランス社は、同社メジュー工場の近隣に位置する自然公園グラン・パーク・ミリベル・ジョナージュと連携して、小学生対象の水に関するワークショップのプログラムを開始しました。
水を育む森についてのレクチャーや、雨が森の土に浸透して地下水になる仕組みを理解する実験などを行っています。
グラン・パーク・ミリベル・ジョナージュとは、2017年より20年にわたる水資源保護活動のパートナーシップを締結しており、同公園内に広がる森林の保全活動をはじめ、工場近隣エリアの水と自然環境を守り、育む活動を、地域とともに推進しており、「水育」は本パートナーシップの一環として実施しています。

フランスでの水に関するワークショップ

フランスでの水に関するワークショップ

スペイン

2022年5月以降、スペインでも「水育」を実施しています。
地元の環境専門家の協力のもと、トレド県内の小学生(4~6年生)を対象に、トレド工場の水源エリアでの自然体験と、小学校での学習を組みあわせたプログラムを提供しています。水循環、責任ある水使用、水と生物多様性の関わりなど、水の大切さや水源保全の重要性について子どもたちに伝えています。

スペインでの「水育」

スペインでの「水育」

イギリス

2023年5月からイギリスで「水育」を開始しました。
地元の河川の環境を保全する慈善団体の協力のもと、小学生までの子どもとその家族を対象に、コルフォード工場の水源エリアにあたるセヴァーン川流域での自然体験プログラムを展開しています。水循環などの水に関する基礎知識、水と生物多様性の関係など、水の大切さや水源保全の重要性などについて学習する内容です。

イギリスでの「水育」

イギリスでの「水育」

ニュージーランド

2023年5月からニュージーランドでも「水育」を開始しました。
地元の河川の環境を保全するNPOの協力のもと、小学生を対象に学校での「出張授業」を展開しています。水循環などの水に関する基礎知識、海洋汚染を防ぐために上流河川をきれいにする取り組みなど、水の大切さや水源保全の重要性について学習する内容で、子どもたちに自然の仕組みや水の大切さを伝えています。

ニュージーランドでの「水育」

ニュージーランドでの「水育」

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