サステナビリティ

人権の尊重

サントリー食品インターナショナル(以下、当社といいいます)は、人権の尊重をグローバル企業としての責務であり、事業活動を行う上で不可欠なものとして考えています。「サントリー人権方針」の下、ビジネスに関わる全ての⼈の⼈権を尊重するために、従業員やサプライヤー、地域社会やNGOといったさまざまなステークホルダーと対話し、働きかけながら、従来の取り組みを⼀層強化しています。

考え方・方針

サントリーグループ⼈権⽅針

当社を含むサントリーグループは、社外の人権に関する有識者との対話を通じて特定した事業特有の重要課題を踏まえ、2019年に「サントリーグループ人権方針」を策定しました。人権方針に定められた重要課題への対応にあたっては、社外の有識者からのフィードバックを随時反映しながら活動推進を行っており、人権への負の影響が生じた際にステークホルダーが人権に対する懸念事項を通報できる仕組みとして苦情処理メカニズムを整えています。また、人権方針は、全ての役員および従業員に階層別研修やe-learning、社内イントラ等を通じて周知されています。
なお、また社内においては「企業倫理要綱}サプライヤーに対しては、サプライヤー向け説明会等を通じて同人権方針に関する理解を促すとともに、人権尊重に関する要請事項も含まれる「サントリーグループ・サプライヤーガイドライン」を配布し、同意の署名を求めています。

サントリーグループ⼈権⽅針

サントリーグループは、「⼈と⾃然と響きあい、豊かな⽣活⽂化を創造し、⼈間の⽣命の輝きをめざす」企業として、⼈々の豊かな⽣活を創造していくと同時に、社会や⾃然との共⽣、そして⼈間の⽣命が輝く社会の実現に貢献します。
サントリーグループは、事業を⾏う過程で、直接または間接的に⼈権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、ビジネスに関わる全ての⼈の⼈権を尊重するために、「サントリーグループ⼈権⽅針」(以下、本⽅針)をここに定め、⼈権尊重の取り組みを推進していきます。

  1. 基本的な考え⽅

    サントリーグループは、「⼈と⾃然と響きあい、豊かな⽣活⽂化を創造し、⼈間の⽣命の輝きをめざす」企業として、⼈々の豊かな⽣活を創造していくと同時に、社会や⾃然との共⽣、そして⼈間の⽣命が輝く社会の実現に貢献します。
    サントリーグループは、事業を⾏う過程で、直接または間接的に⼈権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、ビジネスに関わる全ての⼈の⼈権を尊重するために、「サントリーグループ⼈権⽅針」(以下、本⽅針)をここに定め、⼈権尊重の取り組みを推進していきます。

    • 国際連合(UN)「国際人権章典」
    • 経済協力開発機構(OECD)「多国籍企業行動指針」
    • 国際労働機関(ILO)「多国籍企業宣言」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」
  2. 適⽤範囲

    サントリーグループは、本⽅針を、サントリーグループのすべての役員と従業員に適⽤します。また、⾃社の製品・サービスに関係するすべての取引関係者に対しても、本⽅針の理解・遵守を求めます。

  3. ⼈権尊重の責任

    サントリーグループは、⾃らの事業活動に関わるすべての⼈の⼈権を侵害しないことに努め、また⾃らの事業活動において⼈権への負の影響が⽣じた場合は是正に向けて適切な対応をとることにより、⼈権尊重の責任を果たすサプライチェーンを築いていきます。

  4. 人権デュー・ディリジェンス・救済

    サントリーグループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、自らが社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その未然防止および軽減を図ります。また、自らの事業活動が、人権に対する負の影響を直接に引き起こしたことが明らかとなった場合、または取引関係等を通じた間接的な影響が明らかとなった場合には、国際基準に基づいた対話と適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。

  5. 情報開示

    サントリーグループは、自らの人権尊重の取り組みの進捗状況をウェブサイトなどで開示します。

  6. 対話・協議

    サントリーグループは、本方針を実行する過程において、独立した外部の専門家からの助言を受け、ステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。

  7. 教育・研修

    サントリーグループは、本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実行されるよう、すべての役員及び従業員に対して適切な教育・研修を行います。

  8. 責任者

    サントリーグループは、本方針の実行に責任を持つ担当役員を明確にし、実効性を担保します。

  9. 人権における重点テーマ

    サントリーグループは、働きがいのある企業グループの実現を目指し、ダイバーシティを尊重するとともに、サントリーグループ企業倫理綱領に定める以下の項目に基づいて人権遵守における重点テーマとして位置づけます。

  • 児童労働・強制労働

    あらゆる企業活動において、児童労働、強制労働その他不当な労働慣行を認めません。

  • 差別・ハラスメント

    個人の人権と人格を尊重し、人種、宗教、性別、性的指向、年齢、国籍、言語、障がい、社会的出身、財産、門地等を理由とするあらゆる差別およびハラスメントを排除して、公正な処遇がされる職場環境をつくります。人権侵害が発覚した場合には、当事者のプライバシーを守りつつ、再発防止を含め速やかに適切な対応をとります。

  • 結社の自由

    結社の自由と団体交渉に関する、従業員の基本的権利を尊重します。

  • 働きやすい職場環境

    心身ともに健康で、安全かつ安心していきいきと働くことができる職場環境を築くとともに、仕事と生活の調和の取れた働き方を推進します。

  • 風通しの良い職場風土

    多様な個性を持つ、すべての人が率直に意見や行動を示せるよう、互いの考え方や立場を尊重し、自由闊達で風通しの良い職場風土の醸成に努めます。また、サントリーグループ内の活発なコミュニケーションを通して、一体感のある協調的な関係を構築します。

  • 挑戦と成長

    一人ひとりが仕事に誇りと責任を持ち、自律的に目標にチャレンジし、自身の成長を実現します。

本方針は、当社の取締役会の承認を得ており、代表取締役社長 新浪 剛史により署名されています。

2019年7月10日
以上

脆弱な立場の人々の人権

当社は、事業活動を行う上で自社およびサプライチェーンにおいて脆弱な立場の人々(女性、子ども、移民労働者等)の人権を特に意識することが重要と考えており、国連グローバル・コンパクト署名企業であるサントリーグループの一員として「女性のエンパワーメント原則」「子どもの権利とビジネス原則」「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」などのグローバルな枠組みを支持し、それらを考慮した人権デュー・ディリジェンスを推進しています。さらに、サプライヤーについても同様に脆弱な立場の人々の人権の尊重について取り組むことを期待しています。
また、土地の所有権、水アクセスの権利および原住民の権利を守ることも重要と考えており、VGGT(国家の食料安全保障の文脈における土地、漁業、森林の保有に関する責任あるガバナンスのための任意ガイドライン)、IFCパフォーマンススタンダードILO先住民及び種族民条約(第169号)などのグローバルな枠組みを意識して人権デュー・ディリジェンスを推進します。さらに、 ILOの労働基準の尊重も含めて、サントリーグループのサプライヤーについても同じように尊重を期待しています。
人権擁護者が果たす重要な役割を理解し、人権擁護者を対象にしたあらゆる差別や暴力を一切認めず、サントリーグループのサプライヤーにも同じ姿勢を要請します。また、人権デュー・ディリジェンスを推進する上で人権擁護者は協働できるステークホルダーとして位置づけています。

移民労働者雇用ガイドライン

強制労働の被害を受けやすい移⺠労働者に関して、当社は2023年2⽉に「サントリーグループ移⺠労働者雇⽤ガイドライン」を策定しました。本ガイドラインは、⾃社の関連部署、サプライヤー、ビジネスパートナーに対して、リスクの顕在化を防ぐ⽅法や、顕在化した場合に人権ビジネス研究所(IHRB)の「Employer Pays Principle」に基づいた是正取り組みを実施する⽅針などを⽰した社内ガイドラインです。同ガイドラインでは、移⺠労働者が直⾯するリスクがある主な問題と対策を明記しています。

<移民労働者ガイドラインの主なポイント>
  1. 移民労働者が直面するリスクのある主な課題として、採⽤⼿数料および関連費⽤の負担、⾝分証明書等の⽂書 保存、適切な住宅供給などの点で不利益を受けやすいことを明記し、どのような手段をとるべきかを説明
  2. いかなる労働者も仕事を得るための経費を払うべきでないこと、つまり、募集・斡旋⼿数料および関連費⽤(国際労働機関の定めによる)は労働者ではなく雇⽤者が負担すべきであるという原則を明記

当社を含むサントリーグループでは、同ガイドラインを社内の主要部⾨のほか、関連するサプライヤーおよびビジネスパートナーとも共有し、移民労働者をめぐる潜在リスクへの認識を⾼めるとともに、リスクの顕在化を防ぎ、顕在した場合には影響を抑えるための措置を速やかに行うことができるようにしています。また、本ガイドラインの⽅針に基づき、サプライチェーン労働者に採⽤⼿数料を負担させることを防ぐため、SedexおよびSMETAの管理プロセス(移⺠労働者への労働慣⾏に関する複数のチェックポイントを含む)を活⽤して、モニタリングを行っています。

推進体制

当社では、人権デュー・ディリジェンスの推進にあたり、サントリーホールディングスが主催する、人事部門や調達部門、サステナビリティ部門をはじめとする関係部門により構成される「人権ワーキングチーム」に参加し、戦略策定や活動進捗確認などのモニタリングを行っています。同ワーキングチームが取締役会の諮問委員会であるサステナビリティ委員会に活動の進捗状況を報告し、必要に応じて取締役会に報告を行っています。

企業のリスクマネジメントの統合

サステナビリティ委員会は、グループ全体のリスクマネジメントを推進するグローバルリスクマネジメント委員会と連携し、人権リスクについては企業経営において優先順位の高い最重要課題として評価し、定期的な情報共有や議論を行っています。また、必要に応じて人権専門の弁護士など外部有識者との連携・コミュニケーションを図っています。
サステナビリティ委員会やリスクマネジメントコミッティで議論された内容は、取締役会にて適宜報告を行っています。なお、従来の国内人権課題への対応については引き続き中央委員会と各事業所の人権推進委員で構成する「人権教育推進委員会」の中で実施しています。

サントリー食品インターナショナルの
推進体制

サントリー食品インターナショナルの推進体制

⼈権デュー・ディリジェンスの取り組み

当社では、人権方針にて掲げている児童労働および強制労働をはじめとする6つを人権の重要テーマとして特定し、人権デュー・ディリジェンスをグローバルに推進しています。

人権デュー・ディリジェンスの実施プロセス

当社は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)に基づき、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を順守し、社内およびサプライチェーンでの人権デュー・ディリジェンスを以下のプロセスの通り行っています。

サントリー食品インターナショナルの推進体制

ステークホルダーの特定

人権デュー・ディリジェンスを進める上で関連ステークホルダーの特定やエンゲージメントが重要と考えています。こちらで示すステークホルダーとは、負の影響を受け得る人権を有する人(ライツホルダー)およびその他関連ステークホルダー(NGO・NPO、有識者など)も含みます。その特定にあたって、外部の人権有識者と連携し、当社の事業構造を考慮した形での主要なステークホルダーを特定しました。

  1. 自社の従業員、製造委託先の従業員、工場周辺の地域社会
  2. 取引先の従業員(サプライヤー、農園)、取引先の工場・農業周辺の地域社会
  3. 投資家、格付け団体
  4. NGO、有識者
  5. お客様

アセスメント

人権リスクの課題特定

「サントリーグループ人権方針」の策定プロセスにおいては、自社工場、製品の原料となる農産物を中心としたサプライチェーンの特徴を理解し、さらに外部のさまざまな人権関連報告書からの情報を活用するとともに、有識者との対話を実施し、グローバルな事業活動において重要な人権テーマを6つ特定しました(上記人権方針に記載)。活動推進にあたっては、6つの人権テーマを中心に社内およびサプライチェーンを対象としたリスクアセスメントを進めています。
また、当社を含むサントリーグループとして対応すべきグローバルな人権リスクを常にアップデートするために、NGOや国連の人権専門家とのダイアログを定期的に実施し、人権デュー・ディリジェンス戦略に反映しています。
さらに、リスク特定を強化するため、グローバルリスクコンサルティング会社のベリスク・メープルクロフト社のリスクデータも活用しています。

人権リスクの評価

サプライチェーン上の⼈権リスクの管理にあたっては、SedexのSAQおよび評価ツール、 SMETA情報、そして第三者インタビューなどを通じて既存及び新規サプライヤーのリスクの評価を⾏っています。その評価の中には、地理的・経済的・社会的観点を考慮し、特定の⼈権リスクが起きやすい地域やライツホルダーの観点が含まれています。それを元に、リスクの⾼い分野から移⺠労働者へのインタビューなどを通じた詳細な評価やサプライヤーの取り組みに関する重要指摘事項への是正対応を推進しています。

リスクアセスメント

自社工場

当社のグローバルでの51⼯場が操業する国における潜在リスク評価を実施した結果、児童労働・強制労働の観点でHighリスク地域に⽴地している⼯場の国は、ベトナム、タイ、マレーシアでした。今後はHighリスク地域に⽴地する⼯場から、実態把握を確認するためのインパクトアセスメントを実施していきます。

潜在リスク評価の結果(総合
Lowリスク 29工場 56%
Midリスク 15工場 30%
Highリスク 7工場 14%
Very highリスク 0工場 0%
  • 対象人権リスク:児童労働、強制労働、労働時間、適切な賃金と福利厚生、差別・虐待・ハラスメント、結社の自由・団体交渉、救済へのアクセス、健康・安全性
サプライチェーン

当社が購買する主要原料について潜在リスク評価を実施しました。(主要原料×産地の組み合わせで計91パターン)

潜在リスク評価の結果(総合
Lowリスク 10品目 11%
Midリスク 40品目 44%
Highリスク 35品目 38%
Very highリスク 6品目 7%
  • 対象人権リスク:児童労働、強制労働、労働時間、適切な賃金と福利厚生、差別・虐待・ハラスメント、結社の自由・団体交渉、救済へのアクセス、健康・安全性

潜在リスク評価の結果、児童労働・強制労働の観点でVery highリスクかつVery highインパクト(購買高の多い)品目は下記のとおりでした。
【強制労働】コーヒー、ウーロン茶、砂糖
【児童労働】コーヒー、砂糖
今後は児童労働、強制労働においてVery highリスクかつVery highインパクト品目からスタートし、実態把握のためのインパクトアセスメントを実施していきます。

インパクトアセスメント

自社工場

自社工場における人権リスクの可視化およびマネジメント強化を行うべく、Sedexを導入し、(1)労務管理、(2)安全衛生、(3)ビジネス倫理、(4)環境、の4つのカテゴリーの潜在リスクに対する管理能力を確認しています。22年上半期に日本の10工場および海外の潜在リスクの高い地域に立地している飲料の4工場(マレーシア、ベトナム、タイ)を先行して実施、22年下半期より他工場にも展開して評価を実施しています。

(工場数)
立地国 潜在リスク
(全体)
管理能力
日本 0 1 9 10 0 0
マレーシア 0 1 0 0 1 0
ベトナム 0 6 0 1 5 0
タイ 0 2 3 5 0 0
フィリピン 0 0 1 1 0 0
台湾 0 1 0 1 0 0
ニュージーランド 0 0 1 1 0 0
フランス 0 2 2 4 0 0
スペイン 0 1 1 1 1 0
イギリス 0 0 1 1 0 0

上の表の通り、32工場中、潜在リスクに対して25工場が「高」管理能力、7工場が「中」管理能力、そして「低」管理能力の工場はなしという結果となりました。

当社が重要人権リスクと位置づけている強制労働と児童労働に関しては、特に意識して確認を行いました。

【児童労働】15歳未満の労働者はいませんでしたが、2工場で18歳未満の労働者がいたため、労働状況を確認しています。
【強制労働】複数の移民労働者が海外の10工場にいることを確認しました。 移民労働者雇用ガイドラインに従って実態把握を行っています。

「高」管理能力以外の工場については、今後の顕在化リスクを踏まえ、重要人権リスクを意識し、さらなるマネジメント強化を推進していきます。来年以降もSedexを活用して継続的なマネジメントにつなげていきます。

サプライチェーン

サントリーグループは「サステナブル調達基本方針」を制定し、ビジネスパートナーと連携しながら、サプライチェーン全体での人権尊重への取り組みを進めています。

Sedexによるインパクトアセスメント

2019年6月、サントリーグループは世界最大のサプライヤーエシカル情報の共有プラットフォームである「Sedex」に加入しました。サプライヤーに対してSedexへの加盟、SAQ質問への回答など情報共有の要請を進めています。SAQでは、児童労働や強制労働などを含む人権に関する質問をはじめ、環境、労働環境や安全衛生に配慮しているかを中心にサプライチェーンに潜在する社会リスクの評価を行っています。サントリー食品インターナショナルでは、2022年11月時点で、1,000以上の製造拠点を含む主要サプライヤー約600社のSedex加入を確認しており、今後も全ての主要サプライヤーに対し、Sedexへの加盟案内を進めます。また、SAQによるリスク評価の結果を踏まえ、地域別で取り組みの優先順位を決定した上、行動計画の策定と取り組みの推進を進めます。

※ SAQ:Self-Assessment Questionnaire

インパクトアセスメント状況

Sedexが提供するツールを活用し、潜在リスクと顕在リスクの特定を行っています。具体的には、SAQでサプライヤーの潜在リスクと潜在リスクの管理能力を評価しています。また、Sedex上で確認出来る第三者監査情報を基に顕在リスクを把握しています。

サプライヤーの潜在リスク(2023年5月時点)

当社は、Sedexを通じた評価を進め、潜在リスク評価を実施することができた製造場は911件となっています(2022年11月と比べて13件増)。

(工場数・%)
  2023年
5月末
変化 2022年
11月末
Low 248 27% 3 245
Medium 515 57% 14 501
High 85 9% 9 76
回答中 63 7% -13 76
合計 911     898
サプライヤーの顕在リスク(2023年5月時点)

当社では、顕在リスクとして特定できた重要指摘事項は累計257件となっています(2022年11月と比べて46件増)。

アンケートによる確認

上記Sedex未加入のサプライヤーに対しては、サステナビリティ調達アンケートを実施しています。既存のサプライヤーに限定せず、新規に取引を開始するサプライヤーにも同様に確認しています。

是正に向けた取り組み

是正に向けた取り組み推進の一環として、当社の事業活動が、人権に対する負の影響を直接に引き起こしたことが明らかとなった場合、または取引関係等を通じた間接的な影響が明らかとなった場合、あるいは明らかではなくとも負の影響が疑われる場合には、国際基準に基づいた対話と適切な手続きを通じてその是正に取り組みます。さらに、サプライヤーにも是正に取り組むことを期待します。また、是正を実施するために、外部人権有識者(NPO)、Sedexなどの外部組織と連携し、発見した課題についてサプライヤーと対話を行い、是正に取り組みます。

人権侵害の回避・防止・是正のプロセス

人権方針に記載しているように、当社にとっての人権における重要テーマの中には児童労働・強制労働、差別・ハラスメント、結社の自由、働きやすい職場環境(安全衛生)が含まれています。SedexのSAQの中で各重要テーマと関連する数多くの設問を特定し、自社工場とサプライチェーンにおける評価と継続的なモニタリングに活用しています。現在は購買高の70%以上を占めるサプライヤーのSedexを通じた継続的なモニタリングを実施しており、顕在リスクを特定できたサプライヤーに対してより強いエンゲージメントを行っています。そのモニタリングプロセスの中には、サプライチェーンに関するSMETA監査情報も含まれており、現地労働者へのインタビューも含まれています。このような形でライツホルダーの声を極力活かす取り組みを行っています。
SedexおよびSMETA情報を活用したサントリーグループの是正のプロセスは以下の通りです。

  • SMETAは労働・健康・安全に特に注力した世界有数の監査スキームです。とりわけ、労働安全衛生、過労、差別、低賃金、強制労働等から労働者を守ることを目的としています。また、特に強制労働リスクを監視するため、SMETAはSedexリスク評価プラットフォームに組み込まれた「強制労働指標(FLI)」を活用しています。

潜在リスクの場合

  1. 目標: 潜在リスクの回避対応が取れている
  2. 指標: Sedexのリスクスコアと管理能力スコア
  3. 納期: 定期的(半年1回程度)に、リスクスコアと管理能力スコアをチェックし、取引先様の改善活動状況を確認する

顕在リスクの場合

  1. 目標: 顕在化リスクをゼロ化する
  2. 指標: 第三者監査での重要指摘事項
  3. 納期: 6カ月以内に、指摘事項が解消されていることを確認する

また、顕在リスクの指摘事項が解消されていることが確認できなかった場合は、SMETA監査の受査を促してより強く改善を働きかけます。

サプライヤーの潜在リスク(2023年5月時点)

上記で示したSedexで確認できる潜在リスクについては、潜在リスクに対する製造場の管理能力も併せて評価し、「高リスク+低管理能力」の製造場を中心に直接的なエンゲージメントを行い、管理能力を上げるための働きかけをしています。その結果として、2023年5月末時点で、サプライヤーへの働きかけを開始した2021年1月から管理能力が10%以上向上した製造場数が221件(全体の28%)内、2022年1月以降改善した件数が144件あります。これからも引き続きサプライヤーとのエンゲージメントを継続しながら管理能力を上げるための改善活動を推進していきます。
また、当社は、潜在的に人権リスクが高いとされる移民労働者が働く工場および人数を把握の上、移民労働者特有の課題が顕在化していないかを確認しています。

サプライヤーの顕在リスク(2023年5月時点)

上記で示したSedex上で確認できる第三者監査結果としての重要指摘事項については、サプライヤーと直接コミュニケーションを取り、指摘された課題が指摘されてから6カ月以内に是正されていることの確認を進めています。当社では、2023年5月末時点で特定した累計257件のうち、226件が既に是正されたことを確認しました。残り31件に関しては引き続きサプライヤーとのエンゲージメントを継続しながら改善活動を推進していきます。

以下の人権重要テーマについて、サントリー食品インターナショナルを含むサントリーグループにおいて、SedexのSAQ回答内容を全て確認し、潜在リスクのある回答内容の確認を行いました。同時に、SMETA監査での指摘事項の確認を行い、潜在リスクが顕在化していないか、顕在化している場合はサプライヤーにエンゲージメントを行い、是正処置の状況を確認しています。

児童労働防止の取り組み

児童労働はサプライチェーンにおける重要人権リスクの一つと位置づけており、SedexおよびSMETA情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。例えば、Sedexでの設問を活用し、直接労働者と間接労働者において児童労働に該当する恐れのある労働者がいるか確認を行っています(15歳未満労働者)。 また、SMETAを通じて実際に行われた現場監査を元に労働者の年齢確認がしっかり行われているかを確認し、課題が顕在化かつ未是正の場合は是正に向けたエンゲージメントをしています。
SAQ回答内容を確認した結果、15歳以下の児童労働はありませんでした。16-17歳の労働者がいる製造場は5%ありました。SMETA監査の指摘事項でも17歳の労働者の指摘が1件ありましたが、現地法上問題ないことを確認しました。
その他、労働者の年齢記録の不備の指摘がありましたが、サプライヤーにエンゲージメントを行い、記録方法が是正されている事を確認しています。

強制労働防止の取り組み

強制労働はサプライチェーンにおける重要人権リスクの一つと位置づけており、SedexおよびSMETA情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。

1) 採用手数料
SAQ回答内容を確認した結果、労働者の採用手数料負担について取り組みがない、との回答が1%ありました。また、労働者が何らかの費用負担をしている、との回答が3%ありました。SMETA監査の指摘事項でも、労働者の採用手数料負担に関する指摘がありましたが、規定改定により対応済みである事を確認しました。同様に、賃金減額に関する指摘がありましたが、現地法上問題となる控除はないことを確認しました。

2) 賃金
SAQ回答内容を確認した結果、残業代に課題がある回答が8%ありました。 また間接雇用者の最低賃金の把握に課題がある事も判明しました。SMETA監査の指摘事項でも賃金に関する指摘や、残業の管理に関する指摘がありました。 サプライヤーにエンゲージメントを行い、未是正の賃金問題に関する確定事例はないことを確認しています。

3) 行動の自由
SAQ回答からもSMETA監査からも、行動の自由に関するリスク情報は見つかりませんでした。

結社の自由と団体交渉侵害防止の取り組み(サプライチェーン)

結社の自由と団体交渉はサプライチェーンにおける重要人権リスクの一つと位置づけており、その侵害防止のためにSedexおよびSMETA情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。例えば、Sedexでの設問を活用し、サプライヤーでの意思決定に反映出来る労働者が参画可能なプロセスや組織の有無、労働組合の有無を確認しています。それらの質問に基づくと、一次サプライチェーンの84%に企業の意思決定に対して移民労働者が意見を言うためのプロセスや組織、または制度が存在していること、ダイレクトサプライチェーンの76%に移民労働者が加盟する労働組合が存在していることが確認されています。また、SMETAを通じて結社の自由と団体交渉が順守されているかを確認し、課題が顕在化かつ未是正の場合は是正に向けたエンゲージメントをしています。
SAQデータの結果、労働者が使用可能な会社の意思決定に反映できるプロセス、組織、取り決めの有無という重要ポイントについて、整備されていない製造場数は12%でした。また、SMETA監査のデータとして結社の自由と団体交渉に関する指摘事項がありましたが、是正が既に行われていることを確認しています。

安全衛生の取り組み

安全衛生はサプライチェーンにおける重要人権リスクの一つと位置づけており、その安全衛生推進のためにSedexおよびSMETA情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。例えば、Sedexでの設問を活用し、安全衛生に関する方針の有無、重大労災の有無、火災安全訓練の参加者人数、安全衛生強化に向けたサプライヤーの既存取り組みなどを確認しています。 また、SMETAを通じて同様の確認を行い、課題が顕在化かつ未是正の場合は是正に向けたエンゲージメントをしています。 SAQデータの結果、過去12カ月間における記録された事故数が100件を超えた製造場は2%でした。また、重大事故が20件以上発生した製造場は1%でした。このようなハイリスク製造場に対して労働安全強化に向けたエンゲージメントを行っていきます。また、SMETA監査のデータとして、指摘事項がありましたが、既に是正が行われていることを確認しています。未是正の件に関しては引き続きサプライヤーへのエンゲージメントを行います。SedexのSAQ回答とSMETAの指摘事項から分かった、安全衛生に関するリスクについての是正対応を他のサプライヤーにも情報共有し、安全衛生の管理強化を図ります。

土地の権利への取り組み

土地の権利に関する人権リスクを把握するためにSedex情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。具体的には、Sedexでの設問を活用し、サプライヤーの製造場を建設する前にその土地が住宅として利用されていたかを確認しています。 SAQの結果、工業用サイトに転換する前は住宅用建物として利用されていた土地が1%ありました。その転換が土地の権利侵害につながった可能性があるかについてサプライヤーをエンゲージして確認を行っていきます。

⽔アクセス・衛⽣への取り組み

現地の地域社会の⽔アクセス・衛⽣の権利に関するリスクを把握するためにSedex情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。例えば、Sedexでの設問を活⽤し、サプライヤーのオペレーションによるさまざまな汚染リスク(⼟壌、河川など)、⽔の使⽤量、排⽔管理の有無、現地地域への⽔質影響に対するマネジメントなどを確認しています。SAQの結果、排⽔品質を管理していない製造場は2%ありました。SMETA監査のデータとしては指摘事項が確認されておりますが、既に是正が⾏われているか、サプライヤーに対して是正に向けたエンゲージメントを行います。

⼥性の権利の取り組み

⼥性の権利に関するリスクを把握するためにSedex情報を通じてサプライヤーとのマネジメントを強化しています。例えば、Sedexでの設問を活⽤し、労働者の男⼥⽐率、⼥性管理職⽐率、差別防⽌に関する⽅針の有無、⼥性労働者の⽋勤率・離職率などを確認しています。SAQの結果、洗⾝設備は男⼥別になっていない製造場は5%、⼥性労働者の過去1年間の離職率が50%以上だった製造場は5%、⼥性労働者の過去1年間の⽋勤率が30%以上だった製造場は2%でしたが、SMETA監査のデータとしては顕在化した指摘事項か確認されませんでした。

結社の自由と団体交渉侵害防止の取り組み(社内)

当社を含む国内サントリーグループでは、定期的に労働組合の代表と経営層が労使協議会を開催し、労働課題から経営・事業課題まで労働組合と密接に話し合い、経営層も組合の指摘事項には、真摯に対応しています。2022年度末のサントリー食品インターナショナルの労働組合加入率は100%です。(管理職を除く全従業員が加入対象)

過度な労働時間削減への取り組み

当社を含むサントリーグループでは労働時間を含む各国の労働関連法の順守徹底に加え、労使協働で長時間労働の抑制やサービス残業の禁止、年次有給休暇の促進に取り組んでいます。また、パソコンの使用時間など各種勤怠情報を日次で確認できるシステムを導入し、セルフマネジメントをサポートするとともに、必要に応じて改善指導などの対策を講じています。

実⾏したアクションの効果測定(モニタリング)

⾃社⼯場およびサプライチェーンにおけるSedexを通じた評価・是正取り組みの中で、発⾒したリスクに対する是正取り組み後に、実⾏前と実⾏後の改善度合いをSedexの評価ツールを通じて複数項⽬(安全衛⽣、労働者年齢、差別、⾃由選択に基づいた労働など)で確認し、効果測定を⾏っています。Sedex上の評価の場合、項⽬によって潜在リスクを下げることが難しい場合がありますが、潜在リスクが⾼くともその管理能⼒が⼗分に⾼ければ結果的に潜在リスクが顕在化するリスクが低いという認識の元、⾃社⼯場およびサプライヤーを対象にした是正取り組みを⾏う上では特に管理能⼒を意識して取り組んでいます。
さらに、上記の⼀連の流れの中で、効果測定の結果についてステークホルダーにフィードバックし、改善活動につながる直接的なエンゲージメントを⾏っています。

今後のアクションプラン

上記プロセスで⾒えてきたリスクなどを考慮し、今後のアクションプランとして以下の重点取り組みを実施していきます。

自社工場

2023年上期に完了した、グローバルの主要事業全工場でのSedex評価を踏まえ、管理能力の向上に取り組みます。

サプライチェーン

一次サプライヤーに関しては、Sedexを通じて現在可視化している顕在リスク「重要指摘事項」のゼロ化推進を継続すると共に、潜在リスクについてはサプライヤーの管理能力を上げるための働きかけを継続していきます。さらに、主要原料のサプライチェーン上流サプライヤーへのインパクトアセスメントを推進します。

移民労働者

自社工場以外で移民労働者(特に技能実習生)がいる現場を特定し、重要なリスクである「強制労働」の度合いに応じて必要な取り組みを検討します。

救済へのアクセス

社内苦情処理について

ホットライン

当社を含むサントリーグループでは贈収賄などの腐敗やいじめやハラスメントを含めた「企業倫理綱領」に反する行為があることを従業員が知った場合、まず上司に報告・相談することを基本としています。しかしそうした報告・相談が適さない場合に問題を早期に発見し解決するために以下の仕組みを設けています。
国内については、グループ全体の共通窓口としてコンプライアンス室および社外法律事務所に「コンプライアンス・ホットライン」を設置しています。それぞれは、日本語を母国語としない外国籍の従業員もストレスなく利用できるように、多言語で受付可能にしています。
グローバルについては、グローバルリスクマネジメント体制の一環として、海外グループ会社も包括した全世界共有の通報受付窓口「グローバル・ホットライン」も設置しています。このホットラインは、英語、中国語、スペイン語等の多言語に対応しており、さまざまな国の方から報告・相談を受けられるようにしています。また、技術的や経済的な課題が理由で利用できないことを避けるために、スマートフォン含むWeb、固定電話、郵便等の経由を用いて、あらゆる従業員にとってアクセス可能な受付体制を整えています。
ホットライン窓口の社内における周知状況については、毎年「従業員意識調査」の機会等を通じて測定をしており、常に9割を超える認知率を確保しているとともに、グループの経営層に向けて前年比較も含めたその結果をフィードバックし対話する機会を持つことで、窓口の認知率よびユーザビリティの維持と向上に努めています。

2021年の当社への通報は99件でした。全通報件数のうち約6割は労務・人事ならびにマネジメントに関するもので、人権に関する内容も含まれています。
通報の内容について、コンプライアンス違反が疑わしい事案の場合は、サントリーグループ内部通報制度規定に従って当該案件関係者全てのプライバシー保護に配慮したうえで対応を進めています。その際には、通報者が置かれる事情を尊重し、速やかにコンプライアンス担当者が社内で極秘調査を行うとともに、当該関係者の担当経営幹部を巻き込みながら是正を速やかに求め、対処が成されたことを見届けています。また、調査結果については、通報者ならびに経営層へそれぞれフィードバックを行い、問題の改善や再発防止策につなげています。さらには、対処後一定の期間を置いた段階で、フォローアップとして変化の様子を経営層幹部から報告をもらうことで当該事案のクロージングとするフローで運用しています。
一方で、重点課題である「ハラスメント」への対策については、多くの場合が同僚や関係者との価値観の違いが根底にあることから、その違いを双方が認めあえる風土を目指して「アンコンシャスバイアス」について学ぶ機会を設けることで、寛容的な組織づくりのセミナーを随時展開を開始しています。

通報者の保護

当社では贈収賄などの腐敗やいじめやハラスメントを対象としている「コンプライアンス・ホットライン」の設置と同時に、就業規則で通報者が報復行為や噂の拡散等による不利益を被るような取り扱いを禁止しています。それらを防止するための方策として、コンプライアンス室が調査を行う際には、その開始時に関係者・対象者を特定したうえで都度「内部通報制度規定」の確認を行うことで、通報者としての権利を阻害しないように配慮しています。
加えて、調査事案のクロージングの際に通報者へのフォローアップをする際に不利益を被っていないかを確認しています。
さらには「内部通報制度規定」を日常から積極的に社内周知することで、当該関係者のみならず職場全体として通報者等の保護が成される風土づくりに努めています。

社外苦情処理について

当社を含むサントリーグループは、創業以来、お客様満足を第一に考え、お客様との双方向コミュニケーションを大切にしています。また、すべての人々をお客様と捉えるという考えのもと、サプライヤーは大事なお客様と捉えており、人権デュー・ディリジェンスを進める上で自社社員だけでなく、サントリーが直接取引をしているサプライヤー、そしてさらにその先のサプライヤーや関係者の方(コミュニティー)に対しても人権課題も含めた通報窓口を設定することが重要だと思っています。さらに、サプライヤーガイドラインでも記載している通り、サプライヤーに対しても報復防止対策を取ったうえでの同様の救済メカニズムの設置を期待しており、それによってサプライチェーン上流での救済の確保に努めています。

現在は、サプライヤーやその関係者の方(コミュニティー)が利用できる通報窓口として、「お客様センター」の仕組みを設けています。お客様センターでは、すべてのお客様からのお問い合わせを受け付けています。
サプライヤーからの人権課題やその他問い合わせの場合は下記フォームよりご連絡ください(日・英対応可能)

移民労働者の苦情処理メカニズム

人権デュー・ディリジェンスの取り組みを強化するため、当社を含むサントリーグループは2023年から、「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」に加盟しています。さまざまなステークホルダーが関わるJP-MIRAIの取り組みに参加することで、当社は苦情処理メカニズムの構築を目指しています。こうした苦情処理メカニズムにより、特に移民労働者のように脆弱な立場にあるサプライチェーン労働者やその代表者がいかなる形の報復や検閲も受けることなく、彼らの声を聞くことができるだけでなく、外国での生活に役立つ情報や語学支援を得る方法など、労働者のQOL向上や権利保護に役立つ情報を、彼らに直接提供することができます。

JP-MIRAIポータルでは、利用者が電話やチャット、電子メールにより匿名で支援を求めることができます。支援を求めた場合、まず、移民労働者の支援を専門とするNPOにつながります。NPOは労働者からの相談内容に応じてサントリーへ報告します。 その後、サントリーはリスク発生の可能性を速やかに分析し、該当する部署・企業に対して、労働者への支援を行うとともに一刻も早い是正取り組みを実施することをサプライヤーに対して要請します。

JJP-MIRAIポータルは9言語(やさしい日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、中国語、ミャンマー語)に対応しています。
詳しくはJP-MIRAIのウェブサイトをご覧ください。

ステークホルダーエンゲージメント

負の影響を受けるステークホルダー(ライツホルダー)をエンゲージするための重要なプロセスとして「Sedexを通じた情報収集」および「第三者インタビュー」を活用しています。
「Sedexを通じた情報収集」の事例として、自社工場でのSedex展開を進めるに当たり各工場の事務長と直接コミュニケーションを行い、人権リスクの観点での意見交換を行っています。意見交換では、移民労働者の人権と関わる問題(コミュニケーション、異文化理解、より快適な職場の実現)に耳を傾け、今後の人権デュー・ディリジェンスを推進する上での重要な情報として活用しています。

ステークホルダーコミュニケーション

ステークホルダーエンゲージメントでは、⼈権リスク・インパクトにおけるステークホルダーとのコミュニケーションが重要と考えています。
例えばライツホルダーを意識した形での直接的なコミュニケーションやサプライヤーに対する説明会でのコミュニケーション(サプライヤーガイドライン順守)を実施しています。

⼀⽅で、サプライチェーン上流のライツホルダーを特定し、アプローチすることは⾮常に重要なステークホルダーとのコミュニケーションではあるものの、課題となるべきチャレンジングな活動領域でもあります。当社は昨年末に特定した「潜在リスク⾼・⾼インパクト原料」の原料を対象に今後ステークホルダーを特定し、コミュニケーションを図っていく予定です。

有識者ダイアログ

当社を含むサントリーグループは、⼈権に関連の戦略および取り組みを強化するため、有識者と定期的に意⾒交換を実施しています。
2023年には人権NGOであるヒューマンライツ・ウォッチや国際的NGOの人権専門家とそれぞれダイアログを実施しました。

ヒューマンライツ・ウォッチとのダイアログでは、事業進出時の検討の際に必要となる人権リスクの把握や人権課題が顕在化した場合の対応について対話を行った他、グローバルなNGOの人権専門家からは、欧州のデュー・ディリジェンス指令案を見据え、人権に関する施策で新たに検討すべき点について助言を受けました。サントリーグループでは今後もこのような対話を実施し、⼈権の施策に反映していきます。

近年実施した人権に関する有識者ダイアログ
実施年 内容
2019年
  • 自社生産拠点におけるエシカルな生産活動と移民労働者問題について
2020年
  • 自社工場および移民労働者に関するリスクアセスメントの取り組みを開始を受けて、取り組み内容の進捗共有
  • 原材料と移民労働者に関するリスクアセスメントに関するコロナ禍における効率的かつ効果的な進め方について
2023年
  • 人権リスクの把握方法や人権課題が顕在化した場合の対応について
  • 欧州のデュー・ディリジェンス指令案を見据えて新たに検討すべき人権に関する施策について

従業員およびサプライヤーの人権意識向上に向けた取り組み

従業員向けの啓発活動

当社を含むサントリーグループでは、約2万人の従業員を対象に、贈収賄などの腐敗防止に関する事項を含む「企業倫理綱領」や人権などの世界のESG動向や自社の取り組みについて学ぶサステナビリティeラーニングを毎年実施し、自社の従業員意識向上に役立てています。また、サントリー食品インターナショナルの全役員・従業員に対して「企業倫理綱領」の理解を促進し、日々の行動の中で実践していけるよう、サントリーグループの理念体系をまとめた小冊子に「企業倫理綱領」を掲載し、配布しています。また、本冊子は11カ国語に翻訳されており、毎年一度内容を読み、署名する形で周知しています。海外グループ会社も各地で同様の理解促進の取り組みを行っています。

また、毎年、新任マネージャー研修の一環で人権研修も実施するなど、階層別の人事研修や部門単位の人権講演会、セミナーを活用し社内啓発を行っている他、サプライヤーの環境・人権取り組みと密接に関わっている調達部門に関しては、全従業員が人権も含めたサステナビリティに関する研修を受講しています。また、ハラスメントの報告を受けたときの対応を含む、マネジャー向けのコンプライアンス啓発研修を行っています。

「職場における人権」をテーマに人権研修を展開

当社では、国内において新任マネジャーや新入社員などを対象とした階層別の人権研修に加え、部門単位でも人権講演会やセミナーを実施しています。2018年は「セクシュアルマイノリティを巡る企業の人権課題」と題した人権講演会を実施し、その講演会を収録したDVD視聴を中心に全国の営業拠点にてセミナーを展開しています。2020年からは職場における人権問題にさらに直結した人権啓発セミナーをリアルとオンラインで展開しています。

サプライヤー向けの啓発活動

毎年開催するサプライヤー説明会では、サプライヤーガイドラインを用いながら、労働面や安全衛生面を含む人権尊重で順守いただきたいことについて説明しています。このような説明会に出席しているサプライヤーは、サントリーグループ全体の購買高の98%以上をカバーしています。
また、2022年から当社を含むサントリーグループでは、主要サプライヤー向けにサステナビリティに関する年間研修プログラムを開始しました。本プログラムは、強制労働や児童労働などの人権問題に取り組む内容であり、原料サプライヤーにこれらのリスクについて認識していただくとともに、リスクの防止と緩和に向けてどのように行動するかについて理解いただきました。第1回の研修にはサプライヤー50社から120名を上回る参加がありました。この研修の効果はSedexの評価ツールにおける人権関連スコアにより評価をしています。

人権デュー・ディリジェンスの法制化に伴う各国グループ会社の対応(Statement)

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