サステナビリティ

トップコミットメント

小野 真紀子 サントリー食品インターナショナル株式会社 代表取締役社長

いま世界は、気候変動に伴う水不足や豪雨による洪水、生物多様性の問題、廃棄物による環境汚染、貧困や人権侵害など、多岐にわたる環境・社会課題に直面しています。サントリー食品インターナショナルは、水や農作物など自然の恵みをいただいて事業活動をしており、自然を守り育むサステナビリティ活動は事業活動そのものだと考えております。自然の恵みは無限にあるものではありません。だからこそ有効活用し、さらに再利用することが必要なのです。また、私たちは商品・サービスを提供するにあたり、自社だけでなく委託先、取引先、事業を行う地域の皆様を含めたバリューチェーンすべてのステークホルダーと深く関わりながら事業活動を行っています。これは人のつながりで実現されているものと捉え、人権の尊重やダイバーシティ推進、人財育成を主要なテーマに含めて事業活動を行い、全ての生命が輝く社会の実現に貢献したいと思います。

私は2022年にサントリーグループ全体のサステナビリティ活動を推進するサステナビリティ経営推進本部長を務めておりました際、我々の掲げる「水」、「GHG」、「容器・包材」、「人権」、「原料」、「健康」、「生活文化」の7つのいずれのテーマも、私たち個社だけでなく、事業に関わる全てのステークホルダー、業界全体を巻き込んで活動していくことで、より広く、強く社会に影響を与えられる可能性を感じました。この先も私たちサントリー食品インターナショナルはさまざまなステークホルダーの皆様とともに、サステナブルな社会の実現を目指します。

ここで、当社が特に力を入れているサステナビリティ活動について3つご紹介します。

水はサントリーのサステナビリティ活動の「一丁目一番地」

私たちの事業活動において最も重要な原料である「水」を大切に使い、自然に還し、育む活動については最優先で取り組み、積極的に業界をリードしていく存在でありたいと思っています。

限りある水資源を大切に使うために工場ではできる限り使う水を少なくする(Reduce)、繰り返し使う(Reuse)、処理をして再生利用する(Recycle)、「水の3R」を徹底しています。また製造工程で使用する水を冷却水や洗浄水など5つのグレード(清浄度)に分類し、高いグレードが要求される用途から次のグレードでまかなえる用途へ段階的に再利用を図る技術を利用し、業界トップレベルを達成しています。

また未来に向けて自然に水を還し、育む活動として「天然水の森」活動を推進しています。これは森の水源涵養機能の向上を目的とした活動で2030年までに自社工場の半分以上で使用した水の100%以上をそれぞれの水源に還元する目標を掲げています。
具体的にはサントリーの水科学研究所の知見を活用し、工場の水源涵養エリアを特定、そしてその周辺の行政や森林所有者と森林整備の中長期的な協定を結び、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を育む活動です。国内では16都府県23カ所、海外でもスペイン、インドネシア、フランス等で取り組みを順次進めております。

また子どもたちが自然の素晴らしさを感じ、水や、水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引き継ぐために何ができるのかを考える、次世代環境教育「水育」も実施しています。「水育」とは、次世代に向けて子どもたちが自然のすばらしさを感じ、水や、水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引き継ぐために何ができるのかを考える、サントリー独自のプログラムです。国内のみならず、アジア、ヨーロッパ、オセアニアにも展開して42万人以上の子どもたちに参加していただきました。

ペットボトルのサステナブル化のリーディングカンパニーとして循環型社会実現を目指す

飲料事業を行っている当社にとって、ペットボトルを中心とした包装容器についての取り組みは、循環型かつ脱炭素社会の実現に向けても不可欠と考えています。ペットボトルは適切な分別・回収することで、ゴミではなく、循環できる「資源」と捉えることができます。当社では2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材等に100%切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロの実現をを目指しています。

そのために、ペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせる、ボトルtoボトル水平リサイクルを推進しています。水平リサイクルをすることで、何度も資源として循環可能なうえ、化石由来原料を使用する場合と比較してCO2排出量を約60%削減できます。当社では10年以上前から取組みを始め、2012年に国内飲料業界で初めて 100%リサイクルペットボトルを導入し、リサイクルペットボトル活用の取り組みを進めてまいりました。その中で、リサイクルの一部工程を省くことで、さらにCO2排出量を削減できる「FtoP ダイレクトリサイクル技術」を世界で初めて開発し、日本市場にてこの技術を活用したリサイクルボトルを使用しています。水平リサイクルを拡大していくために、自治体・事業者等と、回収されたペットボトルをサントリー製品にリサイクルするボトルtoボトルの協定を締結し、また、リサイクルについての啓発授業やリサイクルに特化したテレビ広告など、消費者への啓発コミュニケーションも強化しています。こうした取り組みにより、国内飲料事業で使用するペットボトルのおよそ2本に1本が100%リサイクルペットボトルという水準となっています。

そして、さらには日本で培った技術や資源循環の取組みの海外での展開も進めています。海外ではイギリス、フランス、アイルランドで販売している一部のブランド商品に100%サステナブルボトルを導入しました。ベトナムでも2022年に当社アジア地域として初の100%サステナブルボトルを導入しました。

今後も当社は循環型社会の実現にむけた活動を一層強化していきます。

多様性を強みとし、イノベーションを生み出していく強い組織を創る

私はこれまでのキャリアを通じて、国内外でさまざまな人種、文化、価値観の異なる人々と一緒に仕事をする中で、多様性は組織にとって圧倒的に強みとなり、お客様にとってさらに豊かな価値を生み出す源泉であると確信しております。

私がSBFフランスのCEOの際に携わった、フランスでは誰もが知るOASISというフランスの国民的果汁飲料のリバイタライズプロジェクトでは、伸び悩むOASISブランドをもう一度成長軌道に乗せるべく、日本・フランス合同のチームが商品開発から生産・販売まで取り組み、お客様にさらに愛されるブランドに刷新することができました。

最初に、商品のターゲットである現地のお子さんを持つ方々が考えていることを理解するため、家庭訪問を実施し、さまざまなお話を伺いました。その結果、フランスでは、多くの方々は多忙な中でも家族との団欒の時間を大切にしていることが分かり、それをもとに家族のつながりを中心としたコンセプトに変更し、中味・パッケージともにリニューアルしました。

国により仕事の仕方が根本的に異なる中で、お客様の生活に入り込んだ家庭訪問の活動や、バリューチェーン全体で部署の垣根を超えてコンセプトを形にしていく過程で、お互いが納得するまで粘り強く対話を続けることにより、違いを超えて同じ目標に向かい協力することができる、ということを実感しました。また、日本の担当者がもつ現場に根差した調査方法やチームワークの知見、またフランスの現場のお客様の深い理解やプロセスの仕組み化のノウハウというお互いの強みを学び合い、融合させることで、お客様の心を捉えた価値を提供することができたと考えております。

当社の場合、取締役会も人種、性別、経験が異なる多様性を重視したメンバーで構成されており、事業活動における意思決定の場でも多様な意見を反映できるようにしています。これからも一人ひとりの個性・意思を尊重し、失敗を恐れず後押しするSBFの多様性あふれるカルチャーを醸成し続けながら、新たなイノベーション、アイデアを生み出していく強い組織を創っていきます。

上記でお話ししました水や資源循環、人的資本に加え、気候変動、人権、原料、健康、生活文化など当社の定める主要な7つのテーマごとに業界全体、また業界を超えた共創をリードしながら、人、自然が響き合う社会の実現に貢献したいと思います。

2023年11月
サントリー食品インターナショナル株式会社
代表取締役社長
小野 真紀子

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