生物多様性

考え方・方針

ほとんどすべてのサントリー製品は自然の恵みを原料に製造されています。つまり地球環境そのものが、サントリー食品インターナショナル(以下、「当社」といいます)を含むサントリーグループの大切な経営基盤なのです。その経営基盤を守るために私たちは自然環境と生物多様性を保全再生する活動を行っています。

水が育む森林、川、海、大気や生き物がつくる生態系の循環システムである地球環境そのものがサントリーグループの大切な経営基盤

こうした自然の恵み(自然資本)への依存は、同時に、生態系の劣化や生物多様性の損失が事業継続にとって重大なリスクになり得ることも意味しています。一方で、生物多様性の保全活動に積極的取り組むことは、原料の持続的な調達確保や地域社会からの信頼獲得など、企業価値向上の新たな機会を生み出すと認識しています。
当社はサントリーグループの一員として、持続可能な社会の実現に向けて世界が合意した目標である、生物多様性損失を2030年までに食い止め自然を回復軌道に乗せるという「30by30」目標(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework)に賛同し、自社の事業を通じてその達成に貢献していきます。

推進体制

取り組み

サントリー天然水の森

「地下水」の安全・安心と、サステナビリティ(持続可能性)を守るために、当社を含むサントリーグループでは、『国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水』を、工場の水源涵養(かんよう)エリアの森で育む、「サントリー天然水の森」活動を行っています。
良質な地下水を育む森は、生物多様性に富んだ森です。森林が本来持っている機能を回復すれば、そこに生育する動植物相にも変化があります。「天然水の森」では、鳥類を含む動植物の継続的な生態系モニタリングによる計画的な管理を行っています。
環境のバロメーターといわれる野鳥たちに注目することで、彼らを支える生態系全体の変化の状況を総合的に把握できると考え、専門家による野鳥調査を毎年行っています。 また、国内すべての「天然水の森」において、生態系の最上位に位置するワシ・タカ類の営巣・子育ての実現を目指した「ワシ・タカ子育て支援プロジェクト」を進めており、「天然水の森」を鳥類の目から見つめ、生物多様性豊かな森づくりを進めることを目指しています。

生態系ピラミッド・水循環ピラミッド図

「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画

サントリーグループは、持続可能な社会の実現に向けて、生物多様性の損失を食い止め回復させることを目指す「生物多様性のための30by30アライアンス」に2022年4月に参画しました。「生物多様性のための30by30アライアンス」は、2030年までに自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護するという「30by30(サーティー・バイ・サーティー)」の目標を掲げ、行政、企業、NPOなどの有志連合として設置されました。
「サントリー 天然水の森」6ヵ所が「30by30」目標達成に向け環境省が推進する「自然共生サイト」に認定されました。

30by30アライアンス

2022年9月、「サントリー天然水の森 生物多様性『再生』レポート」を発刊しました。日本の森が抱えるさまざまな課題をまとめた「FACT DATA」編と、「サントリー天然水の森」でそれらの課題解決のために取り組んできた先進的な活動事例を分かりやすく解説した「ACTIONS」編で構成した冊子です。

サントリー天然水の森 生物多様性『再生』レポート

地下水を見る試み—シミュレーションモデルと現地調査の“対話”

「天然水の森」の活動では、森の水源涵養機能の向上が大きな目的の1つです。
その成果を評価するひとつの方法として、サントリーでは地下水流動シミュレーションモデルを用いた地下水涵養量の定量評価を、2006年から試みており、ようやく利用可能なモデル精度に近づきつつあります。地下水流動シミュレーションによって、地下水がどこを通って、どれくらいの歳月をかけて工場に届くのかなどのシミュレーションを試行し、それに現地調査の情報を併せることで、目に見えない地下への理解を深めています。これらの結果を整備計画に反映し、より効果的な水源涵養活動につなげていきたいと考えています。

原料に関する取り組み

当社では、主要原料農作物における生物多様性保全の取り組みを国内外で進めています。
たとえば、サントリー食品イギリス(Suntory Beverage & Food Great Britain and Ireland)は、2004年よりカシス農家に対してサステナブル農業の支援を行っており、各農場とその周辺にある個々の生息地にあわせた生物多様性計画を策定し、河川や湿地の生態系保全活動を推進してきました。2022年には、カシス農園における生物多様性保全の取り組み、ならびにその成果をまとめたレポート「Farm Stewardship Programme」を発刊しています。

  • カバークロップ

    カバークロップ

  • 草に覆われているサントリー登美の丘ワイナリーのぶどう畑

    草に覆われているサントリー登美の丘
    ワイナリーのぶどう畑

  • カシス農園における生物多様性保全の取り組みと成果をまとめたレポート

    カシス農園における生物
    多様性保全の取り組みと
    成果をまとめたレポート

愛鳥活動

野鳥は自然環境のバロメーターといわれています。野鳥を保護することが人間や自然環境を守ることにつながるとの考えから、当社を含むサントリーグループは、1973年から野鳥保護の重要性を社会と共有する愛鳥活動に取り組んでいます。1989年には、国内外の鳥類保護活動を資金面から助成する「サントリー世界愛鳥基金」を創設し、2024年までに延べ517件、7億円超の贈呈を続けています。

  • 第1回愛鳥キャンペーン新聞広告

    第1回愛鳥キャンペーン新聞広告

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