毎月連載
チャレンジ!気軽にマリアージュ
カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を、
担当:柳原が独断で評価します!!
第62回
2020年02月
チーズタッカルビ
チーズの味わい
定番になった感じもある韓国料理。唐辛子の効いた甘辛ダレとトローリチーズの食欲をそそる香りがたまりません。食べているうちにポカポカ温まる、寒い季節にピッタリな一品です。
準備するもの(2~3人分)
鶏肉150g、キャベツ半個、たまねぎ半個、溶けるチーズ100g、タレ(コチュジャンと醤油と白ワイン各大さじ1、おろし生姜2カケ、つぶしたにんにく1カケ、はちみつと韓国唐辛子各大さじ1/2を混ぜておく)、ごま油適量
つくり方
(1)タレに一口大に切った鶏肉を30分くらい漬ける。
(2)フライパンかホットプレートにごま油をひき、一口大に切ったキャベツと薄切りの玉ねぎを軽く炒める。鶏肉をタレごと加えて10分くらい加熱する。
(3)フライパンの中央を空けて、溶けるチーズを加え、蓋をしてチーズが溶けるまで加熱する。

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- 独断!マリアージュおすすめ度
- 3
最初と最後の味の印象が反対になる、面白いマリアージュ。
ミオネットは1887年創業。130年を超える歴史を誇る、世界No.1※のプロセッコメーカーです。黄色のラベルのヴァルドッビアーデネは、ユネスコの世界遺産にも選ばれたプロセッコ最高の産地とされるヴァルドッビアーデネ地区のぶどう100%からつくられる、1ランク上のプロセッコ。イタリアワイン法の最高格付けであるDOCGの一つです。軽やかだけど厚みのある果実感と、ふんわりした果実の甘さが魅力です。
チーズタッカルビと合わせると、炭酸と唐辛子がいい感じで刺激しあって、口の中にイキイキとしたメリハリをつくる感じがありました。ワインは単体で飲む時よりもドライに感じて、果実のフレッシュさが際立つ感じがあります。タッカルビの方はというと、鶏や唐辛子の味わいよりも、キャベツ&チーズの甘さが強く感じられるようになりました。前半はワインの味の輪郭がクッキリと出て、後半は料理のやさしい甘さが前に出るという、最初と最後で印象が反対になる、面白いマリアージュでした。
※IWSR 2018 International brandにおいて -
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- 4
味わいが多層的に出てくる、大人のための魅力的なマリアージュ。
ロバート ヴァイルは1868年創業で歴代ドイツ皇帝に愛された歴史を持つドイツを代表するワイナリ―の一つです。1988年からサントリーグループに加わっています。ラインガウ地域の偉大なリースリングで知られるロバート ヴァイルですが、このジュニアはお隣ラインヘッセン産のブルゴーニュ系品種からつくる辛口ワインにフォーカスした新しいシリーズとなります。グラウブルグンダーはピノ・グリのドイツ名です。
チーズタッカルビと合わせると、ワインのピノ・グリらしいほろ苦さがしっかりと出てくるようになりました。タッカルビ側も生姜の風味がドンと前に出てきます。その後に鶏とチーズがじんわりと旨味を出してくる感じで、味わいが順番に多層的に出てくる魅力的なマリアージュとなりました。余韻のほろ苦い感じも含めて愉しむ、少し大人なマリアージュかもしれません。ピノ・グリはスパイス系やゴマ油と相性が良く、中華やエスニックに合わせるワインの定番なのですが、その事をしっかりと実感出来る組み合わせでした。 -
- 独断!マリアージュおすすめ度
- 3_5
ワインの果実味や甘さが全体をやさしく包み込むマリアージュ。
チリ、スペイン、イタリア、アルゼンチン、オーストラリアの5ヶ国のぶどうからのワインを、サントリーが日本でブレンドして生まれた新しいコンセプトのワイン。サントリーのブレンド技術を駆使し、輸入ワインの豊かな果実味を持ちながら、飲みにくい渋さを感じない、日本人向けの味わいに仕上がっています。
チーズタッカルビと合わせると、最初にワインのやわらかく包み込むようなジューシーな果実感が強く感じられました。タンニンが非常にやさしいワインなので、そこがチーズのまろやかさと綺麗に馴染んでいく感じがあります。少しワインに甘さがあるのも、ハチミツやコチュジャンから来るこの料理の甘辛さと良く合っていて、素直に美味しいなあと思える組み合わせでした。最後に少しだけ、唐辛子の辛さが前に出て来て、ワインの味が負けてしまう感じがあったので、そこで少し点数をマイナスしましたが、気軽に合わせるにはかなり良い相性だと思います。 -
- 独断!マリアージュおすすめ度
- 4.5
お互いが精一杯の味を出して対峙する、積極的なマリアージュ。
型破りの味わいで人気のダークホースの新商品。カリフォルニアの王道と言ってよいカベルネ・ソーヴィニヨンがいよいよダークホースブランドにも登場です。実はこのカベルネ・ソーヴィニヨン、現地アメリカではシリーズNo.1の売上を誇っています。カリフォルニアらしい力強く、甘さも感じさせる充実の果実味と、しっかりとした飲み応えをつくる力強いタンニンが特長です。
チーズタッカルビと合わせると、ワインと料理が背筋を伸ばして対峙しているような、そんな印象を受けました。ワインは単体で飲むよりも、骨格がハッキリして果実が引き締まり、タンニンも存在感を出してきますし、タッカルビ側もキャベツの甘さ、タレの甘辛さ、鶏肉の旨味、唐辛子の風味、チーズのまろやかさなど、持っているものを最大限出して来ます。味わい自体が大きくなるような積極的なマリアージュだと感じました。ワインは強さだけではなく、味わいの後半にかけて瑞々しい果実の甘さをしっかり出して来て、これが野菜の甘さと唐辛子の香りを引き出してくれるのも、また魅力的でした。
チャレンジまとめ
「唐辛子の辛さはワインとあまり相性が良くない」「韓国料理をはじめとする辛いアジアの料理はなかなかワインと合わせるのは苦労する」というのは良く聞く話です。実際、僕も口の中が唐辛子の刺激でいっぱいになってしまって、ワインの繊細な風味が感じられなくなってしまったり、キムチと合わせるとワインが酸っぱく&生臭くなってしまったりという経験を何度もした事があります。その反面、唐辛子を使った料理で驚く程にワインと風味が一体化して、素晴らしいと感じた事もありますし、ワインスクエアの料理とワインの連載でもタイ料理と相性の良いワインがある事を何度となく実感しています。今回はその辺りも考えながら、チーズタッカルビを選んでみました。
唐辛子料理とワインを合わせるポイントは、(1)激辛にしない (2)唐辛子の辛さを和らげるもの(脂肪分など)を加える (3)少し甘さのあるワインを選ぶ (4)唐辛子の風味を持ったワインを選ぶなどが考えられます。アジアの唐辛子料理は砂糖を加えて甘辛くする事が多いので、より(3)が重要になってきます。
そういう意味ではチーズタッカルビは野菜たっぷりで(1)をクリアし、チーズで(2)をクリアしています。ワイン側で(3)(4)のタイプを選べば結構良いマリアージュが生まれると考えられます。今回はよりワインと合わせやすいように、コチュジャンや唐辛子を少なめにして、そのかわりにタップリの生姜で味の奥行をつくっています。甘さも砂糖ではなくハチミツにし、料理酒のかわりに白ワインを使ってレシピを調整しました。
結果としては、どのワインとも「合わない」という感じは全くない、良い感じに仕上がりました。一番良かったカリフォルニアのカベルネは、TEX-MEXスタイルのメキシコ料理なんかとも抜群の相性なので納得です。個別のワインのところでも書きましたが、ピノ・グリもエスニック系とのマリアージュでは定番のワインです。今回改めて使い勝手のよいワインだなと思いました。