基本的な育て方

お花をイメージ通りに咲かせるために、ガーデニングの基本的な流れとコツを掴んでおきましょう。

育て方の7つのステップ

①下準備

花苗の他に、鉢、用土、元肥、肥料のご用意を。
半日以上直射日光の射す日当りのよい屋外で管理しましょう。

元肥が含まれている用土を使用する場合、植え付け時の元肥は不要です。

②植え付け

土を入れる量は、鉢の縁から2~3cm下まで!

まず苗の枯れた下葉を取ります。苗を鉢の中心に置いて、植え込みます。

この時、土を入れすぎると水管理が難しくなります。鉢の縁から2~3cm残し、ウォータースペースを作ることが大切です。

③摘芯(ピンチ)

植え付け後から2~3週間は新芽を切る摘芯を!

【ポイント】摘芯は「鉢の内周り」!切り戻しは「鉢の外周り」!

花をたくさん咲かせるための「摘芯」。
満開を過ぎてから、もう一度花を楽しむための「切り戻し」。

新芽がぴょんぴょん出てきたら摘芯(ピンチ)をしましょう。鉢からはみ出した新芽をカットします。

摘芯をすると横から新芽が出て、枝数も花数もぐっと増えます!鉢全体が葉で覆われるまで2~3回繰り返すのが理想です。

④水やり

【ポイント】決め手は、「乾」と「湿」のメリハリ!

たっぷりと水を与えたら、乾くまで控える、その繰り返しが大切です!
水が鉢底から流れでるまでたっぷりと与えます。その後は土の表面が乾くまで待ちます。
土の表面が乾いたら、再び水を与えましょう。

土の表面が乾いたり、鉢が軽くなったときが水やりのサイン。水やりはタイミングが大切です。水のやりすぎは根腐れの原因に。

水をあげるときは、葉や花にかからないように注意して、鉢底から流れるまでたっぷりと。

なぜ「土の表面が乾いたら」「溢れるくらいにたっぷりと」なのか

植物の根は吸水と呼吸をしています。水浸しの状況が続けば呼吸が出来なくなり根腐れの原因となります。
また、用土の中の古い空気を押し出して、酸素を含んだ新鮮な空気が送り込まれるように、土を湿らす程度ではなくたっぷりと水を与えることが必要です。

季節や場所の違いによる水やりの仕方

植物が成長しない冬の間は水やりの回数を控え目にし、夏の間は多めに与えるのが一般的です。
屋根のない屋外での植栽の場合、雨が続いているときなどは水やりの必要はありませんが、ひさしのある場所では見かけほど雨は当たっておらず、注意が必要です。
また、日当たりの悪い北側や木の下などでは、土の乾きが遅いですが、高層住宅のベランダなどは想像以上に乾きが早いので注意しましょう。
地植えの場合は回りの土からも吸水できるため、鉢植えに比べて水やりの回数が少なくても大丈夫でしょう。

時々は葉水(シリンジ)をかけましょう

ベランダなど乾燥しやすい場所では、時々株全体に水をかけてあげると、葉からの蒸散作用を抑制して根からの水分吸収とのバランスを保てます。また、ハダニの防止にも効果があります。
しかし、花に水をかけるとシミが出来る場合もあるので、なるべく花には直接水がかからないようにしましょう。

留守中の水やり

夏の暑い時期など、数日間、留守をするときには、水を張ったトレーやバットに鉢を置いたり、鉢ごと日陰に移動するなどしましょう。また、ペットボトルを利用した潅水装置や市販の自動潅水装置を利用するのも効果的です。

⑤施肥(肥料やり・追肥)

定期的に肥料を与えましょう。花をたくさん咲かせるためには肥料はかかせません。

肥料が不足すると下葉が黄色くなり、また、肥料が多すぎると葉先が茶色になることもあります。

肥料は大事な栄養素で、育ち盛りの花には欠かせません。肥料をあげるときは直接花や葉、茎にふれないようにしましょう。

肥料の与え方

(1)施肥の方法には、元肥と追肥があります。草花用の肥料を用意しましょう。
【元肥】
植え付け時や植え替え時に用土に混ぜ込む肥料。植物の生育を途切れさせないために大切です。草花用の培養土など始めから元肥が入っている土を使用する場合は、元肥は不要です。

【追肥】
植物の生育途中で与える肥料で、液肥と置肥があります。サフィニアなど生育旺盛で春夏秋と次々と花を咲かせるサントリーの花には追肥は欠かせません。

植物により、夏場、冬場の与え方は異なります。

肥料の使用方法、濃度、頻度についてはお手持ちの肥料の記載を参考にしてください。

(2)液肥の上手な与え方
計量スプーンと牛乳パックや専用ジョーロで適度な濃度に薄め、定期的に与えましょう。
花や蕾にかけないように株元から与えましょう。 鉢植えでは鉢底から流れ出る程度に与えます。
濃度を薄くして回数を増やすとより効果的。

花苗を植えてから約2週間後、最初の追肥のポイント

肥料の種類、効き方

(1)原料によって、無機質肥料(化学肥料)と有機質肥料とに大別されます。
【液肥】
水に溶かして与える肥料で、即効性が特長です。

【置肥】
錠剤や顆粒といった固体肥料で、用土の上に与えるもの。施肥後に水やりでゆっくりと溶解し、効果が長期間持続します。

【有機質肥料】
油粕など植物性の有機質や骨粉など動物性の有機質を原料とした肥料で、用土中で分解し、その後ゆっくりと効果が現れます。花壇の土壌改良などに有効ですが、臭いがあるのが難点です。形状には、液肥や錠剤、スティック、顆粒などがあります。

【無機質肥料】
化学的に合成された肥料で、効き方をコントロールしたり長期間効き目を保持したりできます。悪臭もなく清潔です。

(2)効き方と期間によって3つのタイプがあります
【緩効性肥料】
一度与えると長期間にわたりおだやかに効き続ける肥料。種類によってその効果が数ヶ月のものから1~2年に及ぶものまであります。元肥や置肥に適します。

【遅効性肥料】
施肥後ある程度の期間をおいて植物に吸収され、その後ゆっくりと効果が持続するもの。有機質肥料がこのタイプです。

【速効性肥料】
与えるとすぐに効果が現れる肥料で、液肥がこのタイプです。

植物に必要な栄養素(16種類の元素)

水と空気から(光合成) 炭素(C)、酸素(O)、水素(H)
肥料の3要素(大量要素) 窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)
2次要素(中量要素) カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)
微量要素 マンガン(Mn)、ホウ素(B)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl)

肥料として植物に最も多く必要で、また用土中で不足しやすいのが窒素・リン酸・カリの3要素。2次要素は葉緑素の成分であったり細胞膜を強化する働きをしたり丈夫な植物を育てるのに不可欠なものです。
また、微量要素は量的には多くなくとも植物には不可欠な要素で、不足すると新芽の生育不良や黄化などを引き起こします。

肥料の3要素

窒素 葉肥(はごえ)と呼ばれ、生育初期の生長期(栄養生長)に多く必要です。
リン酸 実肥(みごえ)、花肥(はなごえ)と呼ばれ、根の伸長促進や花・実の充実(生殖生長)に必要です。
カリ 根肥(ねごえ)と呼ばれ、光合成を促進して繊維を丈夫にしたり、暑さ寒さに対する抵抗力をつけたりします。

肥料の成分表示
肥料の包装に記載されている「N-P-K=5-10-5」とは、3要素の成分量(重量)の割合をパーセント表示したものです。
この表示の場合、肥料100g中に窒素成分が5g、リン酸成分が10g、カリ成分が5g含有されていることを示しています。
生育初期の栄養生長期には窒素成分の多いもの、蕾をつけて花を咲かせ実をつける生殖生長期にはリン酸・カリの多いものを施肥するなど、使い分けると効果的です。

⑥花がら摘み

花が咲き終わったら、花茎から花を摘み取りましょう!

しぼんだ花をそのままにしておくと、新しい花がつきにくくなることも。また、病気やカビの原因にもなります。

こまめにハサミでカット。花びらだけを摘むのではなく、花茎から切ります。

⑦切り戻し

花の数が少なくなってきたら、大胆にカットしてリセット!

再び満開を迎えるために、咲いてくれた花に「ありがとう」の気持ちを込めて、思い切って大胆にカットしましょう。

次の花に栄養をあげるために、鉢に沿うようなラインで花を枝ごと切ります。

アズーロコンパクトの例

①摘芯は、鉢の内周りでザクザク大胆に切ってOK!

②定期的に肥料を与え、日当たりの良い場所で管理しましょう。

③花が少なくなってきたり、形が乱れ始めたら、切り戻すタイミング!

④切り戻しは、鉢の外周りでザクザク大胆に切ってOK!

切り戻し後の施肥(肥料やり)

【ポイント】切り戻し後の施肥が重要!

①切り戻し後は、しっかり肥料を与えてください!
すぐに元気の良い芽が吹き始めます!

②約1ヵ月~1ヶ月半後、再びきれいに咲き始めます。

季節のお手入れ

植物が少しでも快適に過ごせるように、季節に応じて環境を整えてあげましょう!

①梅雨時のお手入れ

梅雨を乗り切るために、春に植え付けて満開を過ぎた植物の切り戻しや、病害虫対策として園芸薬剤の散布をしましょう。

ぜひともやっておきたい「切り戻し」

梅雨は湿度が高く蒸れやすいため、病害虫の発生リスクも高まります。そのため、花が過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。蒸れを防ぎ風通しよくするために、思い切って「切り戻し」をしましょう。

肥料を与え、園芸薬剤を散布

切り戻した植物は、再び生長するために栄養分を欲します。
即効性のある液肥や、じっくりと効く置肥などの施肥と、虫や病気から守るための薬剤を適宜散布します。

②夏のお手入れ

夏の正しい水やり方法

この時期、水枯れの心配をする一方で水のやりすぎにも要注意です。一般的に暑さ寒さが厳しい時に水をやりすぎると根腐れの原因になります。植物にもよりますが、夏場の日中に水やりを行うと、土中で水温が上がり、お湯のようになってしまいます。
水やりの時間は朝方が基準。水上がりの激しい時は、朝と夕方の涼しい時間にもあげるとよいでしょう。また、昼間にシュンとしている植物を発見しても、その場で水をあげることは避け、気温が下がってからにしましょう。

花がら摘みをマメにしましょう

花を結実させるとそちらに養分が取られるため、全体の花つきが悪くなります。実がつかないうちに、しぼんだ花を花茎から切り取りましょう。また、土の上に落ちた花がらは取り除きましょう。そのままにしておくと病気やカビの原因にもなります。

ベランダ園芸の「夏のお手入れ方法」

集合住宅のベランダは、通気性(逆に風の強さ)、日当たり、温度、置き場所といった具合に、園芸を楽しむスペースとしてはかなり過酷な条件を伴います。
特に日中の温度が高温となる夏場は、せめてコンクリートに木製のスノコを敷き詰めたり、鉢の下にレンガを置いて直接触れさせないなどの工夫が必要です。
また、強い西日を遮るために、葦簾(よしず)で半日くらい陰を作ってあげるのも良いかもしれません。
ベランダの花鉢が暑さでちょっとへたっている時には、日陰に避難させてやり、葉水(霧吹きなど葉をぬらす) をやると効果的です。

③寒さ対策

鉢植えは霜や雪、冷風が当たらないように、冷え込む夜は軒下や玄関先に置きましょう。移動が大変な大きな鉢などは、段ボールや発砲スチロール、ビニールなどをかぶせて防寒対策を。

昼間は日当たりのいい場所に、夜は霜が当たらない場所に。

寒さが厳しい時、霜がたくさん降りそうな時は、玄関の中などに入れましょう。

苗カバーで霜対策

ビニール袋で寒さ対策

④植え替え

冬越しに無事成功した場合は、翌春に植え替えすることが大切です。
用土が植物の成育に適さない状態になっていたり、根の伸長の余地がなくなっていたりする可能性があります。

植え替えの手順

  • 鉢底の穴から根がはみ出している鉢植えや、冬越しして春を迎えた鉢植えの植物に行います。
  • 鉢から土ごと植物を取り出し、根を傷めないように古い土や既に傷んでいる根を取り除き、ひとまわり大きいサイズの鉢に植え替えます。
  • 土を入れすぎると水管理が難しくなりますので、鉢の縁から2~3cm残し、ウォータースペースを作ることが大切です。元肥が入っていない土の場合は、元肥も施してください。植えつけたら水をたっぷり与えましょう。追肥はしばらく経ってから開始してください。

①冬越ししたサンパラソル(8号鉢)

②根を傷めないように慎重に…

③新鮮な土を追加して10号鉢に植え替え

関連コンテンツ

ページの先頭へ

ページの先頭へ