チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

フリーコ フリウラーノ

第70回 2020年10月

フリーコ フリウラーノ

チーズの味わい

フリーコ フリウラーノは北東イタリアの郷土料理です。
チーズだけをカリカリに焼いたフリーコもありますが、こちらはじゃがいもを加えたフリウリ地方のフリーコです。もっちりじゃがいもと、カリカリのチーズにたまねぎの甘味がたまらない、簡単なワリにとても優秀なワインのお供です。

準備するもの
じゃがいも2個、たまねぎ1/2個、モンタージオチーズ100g(パルミジャーノやグラナ・パダーノでも代用可)、オリーブオイル適宜、塩・こしょう適宜

つくり方
(1)たまねぎは薄切り。じゃがいもとチーズはすりおろす。
(2)フライパンでオリーブオイルを熱し、たまねぎを色付くまで炒める。塩、こしょうで味付けする。
(3)そこにすりおろしたじゃがいもを流し入れ中火で10分ほど焼く。10分後にすりおろしたチーズを乗せ、裏返す。
(4)チーズがカリカリになるまで裏面を焼く。


よく合うワイン

タヴェルネッロ オルガニコトレッビアーノ シャルドネ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

グレープフルーツ 黄色いリンゴ みかんの花

旨味を感じつつも後口は軽やか。後を引くマリアージュ。

世界No.1※イタリアワインブランド「タヴェルネッロ」の、オーガニックぶどう使用のシリーズ。トレッビアーノのフレッシュな酸味と、シャルドネの飲み応えある果実味がきちんと融合した、軽さの中にあるやさしい飲み応えが魅力。フリーコの産地であるフリウリ地方とも近く、マリアージュに期待が膨らみます。
フリーコと合わせると、ワインの果実味がイキイキと引き出される感じがありました。単体で飲む時よりも酸味がフレッシュになり、このワインの軽やかな良さがより出て来る感じがあります。フリーコの方はというと、じゃがいものもちもち感と、香ばしい焼けたチーズの旨味がしっかり出つつも、ワインのフレッシュな酸味によって、後口は軽やか。ついもう一口とフリーコを口に運んでしまう。素敵なマリアージュとなりました。
※2018年販売数量世界上位25ブランドにおいてイタリアワインNo.1(IMPACT DATABANK 2018 EDITIONより)

サンタ バイ サンタ カロリーナシャルドネ 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

洋梨 黄桃 プリン

相性ピッタリ。味わい膨らむマリアージュ。

お手軽価格としっかり満足の飲み応えで人気のサンタ バイ サンタカロリーナ。実はこのシリーズは日本限定品。日本の食事によく合うチリワインを目指して、サンタ カロリーナとサントリーが共同で、しっかりと時間をかけて味わいの開発をしています。シャルドネは完熟の果実感とふくらみのある味わいが魅力。まろやかなテクスチュアも含めて、とてもチーズと相性の良いワインだと思います。
フリーコと合わせると、ワインの甘い果実味とフレッシュさが、しっかりと出て来る感じがありました。果実味はより豊かに、酸味はよりメリハリが出る感じになり、ワインの魅力が高まります。ワインのシュール・リーから来るパンを思わせる香りと焼けたチーズの香ばしい香りの相性も良く、全体にグッと味わいが膨らんで、厚みが出る感じのマリアージュでした。素直に美味しいです。

ドメーヌ ド オーシエールオーシエール セレクション 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックベリー 黒胡椒 肉

香りの相性バッチリ。上品なコクを感じるマリアージュ。

ボルドー格付け1級シャトー ラフィット ロートシルトを擁する、ドメーヌ バロン ド ロートシルト社が2000年から南仏ラングドックでつくるのがオーシエール。セレクションはその入口となるワインで、シラーなどの南仏を代表する品種と、ボルドーを代表するメルロやカベルネに加え、南仏とボルドーの品種を交配させたマルスランをブレンドしたまさに南仏とボルドーの融合と言える1本です。
フリーコと合わせると、ワインの果実のコクがグッと膨らむ感じがありました。果実のまろやかさやあたたかさを強く感じて、飲んでいてほっとする感じがあります。フリーコの中の黒こしょうや、チーズの焦げたところのスモーキーさと、ワインにあるスパイシーな香りの相性もバッチリ。滑らかな中にある南仏のワインらしい上品なコクをしっかりと感じる事が出来ました。これもまた、かなり相性の良い組み合わせです。

ボッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコリパッソ レ ポイアーネ 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

イチジク チョコレート カツオブシ

どっしりした飲み応え。体を温める晩秋のマリアージュ。

リパッソとは、陰干しぶどうからつくられるアマローネの搾り滓を通常のヴァルポリチェッラに加えて再発酵させる事で、厚みや風味を加える、この産地独特のワイン。通常のヴァルポリチェッラよりコクがあり、ドライフルーツを思わせるフレーバーを持ちます。レ ポイアーネはこの産地の山の上に住む鷲の名前。斜面の優良畑のぶどうを使用している事から名付けられました。
フリーコと合わせると、ワインにどっしりとした飲み応えが出て来ました。ワインのミッチリと密度の高い果実味と、リパッソによる深いコクを、じゃがいもの落ち着きのあるもっちりとしたテクスチュアと、しっかり炒めたたまねぎの甘み、チーズのコクがしっかりと受け止める感じです。これは、気温の下がってくるこれからの時期に本当にピッタリな、体を温める晩秋のマリアージュという感じがします。これも大満足の組み合わせでした。

チャレンジまとめ

試した4つのワインがどれも美味しいという、なかなかこれまでにない結果になりました。チーズ、じゃがいも、たまねぎという実にシンプルな素材の組み合わせながら、火を入れたじゃがいものもちもち感と、カリカリのチーズのコントラストが何とも言えず美味しいので、是非試してみて下さい。素材がワインと相性の良いものばかりなので、どうやっても悪くなる要素が無いというのは言えますが、それにしてもどのワインとも相性が良くてビックリです。あえて言うなら、凄く爽やかなハーブ系とか、物凄く渋いワインとかだと、少し違和感が出るかも知れませんが、それ以外ならどんなワインとも美味しそうです。材料も普段から家に常備してあるものですし、つくる手順も簡単ですし、これは良いワインのアテを見つけてしまいました。
焼いている時どんな感じか見えないので少し不安になりますが、チーズを乗せた面を焼く時は「ちょっと焦げたかな?」という香りがしてくるくらいまで待って頂くと、チーズがカリカリになって美味しいと思います。特に赤ワインと合わせる時には、しっかりチーズに火を通すとよりワインとの相性が良くなりますので、意識してみて下さい。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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