チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

羊のチーズとクタクタ菜の花のオレッキエッテ

第87回 2022年03月

羊のチーズとクタクタ菜の花のオレッキエッテ

チーズの味わい

春らしい菜の花に、甘くてコクのある羊のチーズを合わせたパスタです。オレッキエッテは耳たぶの形をしたショートパスタ。手打ちが基本ですが、乾燥版も売っていますのでご安心下さい。

準備するもの
オレッキエッテ70g、菜の花一束、羊のハードチーズ30g、オリーブオイル30ml、塩適宜

つくり方
(1)菜の花を一口サイズにカットする。
(2)鍋に菜の花、オリーブオイル、塩と水適量を入れ火にかける。15分くらいかけて、菜の花の色が変わりクタクタになるまで煮る。丁度水分がなくなるように。
(3)同時進行でパスタを茹で、チーズをスライスまたはすりおろす。
(4)菜の花にパスタを和え、チーズをかける。


よく合うワイン

サントリー ワインカフェ ワインソーダ 白

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

レモン 白い花 マスカット

軽やかだけど素材の甘さが感じられる組み合わせ。

先月発売になった新商品です。“香り豊かなワイン”と“果実味あふれるワイン”の2種類の厳選ワインをブレンドし、心地よく飲めるソーダを加えました。軽快な飲み口で、これから暑くなるにつれてどんどん活躍してくれそうです。350ml缶で参考価格160円とお手頃サイズ&価格で、より気軽にワインをたのしんで頂けます。より自由で新しいワイン体験を、どうぞ。
料理と合わせると、ワインの持つやわらかな甘さと、菜の花の甘さ、羊のチーズの甘さの3つが優しく融合する感じがありました。野菜の自然な甘さが引き出されます。ワインソーダのアルコール度数は5.5%とビール並みの軽さなので、野菜中心で味付けもシンプルなこの料理の軽やかさと丁度バランス良く調和するように思います。余韻短めのワインですが、それによって菜の花の心地よいほろ苦さがよりきちんと感じられるようにも思いました。ワインソーダは350mlとサイズもお手頃なので、食後感も含めて軽く楽しみたい時にとても良い組み合わせだと思います。

タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 はちみつ レモン

お互いに主張しつつもハーモニーを奏でる良い組み合わせ

「小さな居酒屋」を意味するタヴェルネッロは世界で一番売れているイタリアワインブランド※1。オルガニコはその中でもオーガニック栽培のぶどう100%から生産される人気のシリーズです。世界に先駆けて日本で発売されたスパークリング(イタリア語でスプマンテ)は、爽やかさのトレッビアーノ70%、コクのペコリーノ30%の絶妙なブレンド。オーガニックで参考価格1,140円はお値打ちです!
料理と合わせると、ワインの果実の充実感や、ボリュームのある味わいが強く伝わって来ました。オーガニックぶどうからのワインらしい、素直で甘さのある果実感がしっかりとたのしめます。料理の方はというと、菜の花の味わいがとても強く主張してくるのが印象的でした。クタクタになるまで煮るからこそ出る野菜の甘さと、菜の花らしいほろ苦さがきっちりと出て来ます。羊のチーズは強めに出るワインと菜の花のつなぎ役という感じ。ワインと料理の味わいが共にしっかりと出つつも、自然な調和の取れたハーモニーを奏でる、良い組み合わせだと思いました。
※1 IMPACT DATABANK 2020 " World's TOP 20 WINE BRANDS

レゾルム ド カンブラス サンソー/シラー ロゼ 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ルビーグレープフルーツ ピンクの花 白胡椒

ワインと料理が持つ力を存分に発揮する、充実した組み合わせ。

南仏の太陽が育てたフルーティな味わいが魅力のレゾルム ド カンブラス シリーズのロゼワイン。よく熟したピンクの果肉の柑橘を連想させる香りと、フレッシュな果実味が特長。世界的に大人気のプロヴァンススタイルの辛口をカジュアルに愉しめます。香りと柔らかさのサンソー85%、酸味と構造のシラー15%のブレンド。
料理と合わせると、素材の甘さとほろ苦さが口の中いっぱいに広がりました。ワインのほろ苦い柑橘的な要素と菜の花のほろ苦さ、ワインの白胡椒を思わせる軽やかなスパイシ―さと羊のチーズの特有の香りと甘さのコントラスト、ワインの軽やかなドライさとオレッキエッテのむっちりとした質感との心地よい対比。一口合わせると、次の一口にすぐに進みたくなる、ワインと料理のそれぞれが、持つ力を遺憾なく発揮する感じのある充実した組み合わせでした。

レオナルド キャンティ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー スミレの花 オリーブ

ワインの味わいは広がるが、やや強さが合わない組み合わせ。

レオナルド ダ ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」のラベルが印象的なキャンティ。そのブランド名は、元々ダ ヴィンチが所有していたぶどう畑の現所有者である事からつけられました。目を引くラベルだけでなく、品質的にも安定していて、著名なイタリアのワインガイドであるガンベロ ロッソのコストパフォーマンス賞を何度も獲得している実力派です。
料理と合わせると、ワインの味わいが料理によって持ち上げられる感じがしました。単体で飲むよりも、果実味は透明感が出て美しくなり、タンニンは滑らかさを増し、酸味はピュアに出て、1ランク上のワインの様に感じられます。料理はと言うと、4つのワインの中では羊のチーズの存在感を最も強く感じるのが印象的でした。ただ、それ程強くはない、このワインでもやや料理が主張しきれない感じを見ると、この料理は白ワインやロゼワインの方が相性が良いのかなと感じます。

チャレンジまとめ

今回は春らしく菜の花。ご存知の方も多いと思いますが、元の料理はイタリアのプーリア州(地図のかかとのところ)の名物料理である「チーマ・ディ・ラーパ(菜の花の一種)のオレッキエッテ」です。という事で本命はプーリアにほど近いアブルッツォ州のぶどうが使われている、タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテでした。このワイン、導入前にテイスティングしてみたところ、価格を超えたクオリティがあり、さらにオーガニックという事もあって個人的にかなり惚れ込んだ1本でした。改めて今回料理と合わせてみても、豊かな果実味とふくらむ旨味があってとても良いと思いました。機会があれば是非試して頂ければと思います。そんなオルガニコ スプマンテを超えて来たのがレゾルム ド カンブラスのロゼでした。こちらは世界的に人気の高いプロヴァンススタイルの、淡い夕焼け色をした極辛口のロゼワイン。ワインと料理共に全ての要素を引き出す、素晴らしい組み合わせとなりました。地中海料理(野菜+オリーブオイル)にこのスタイルのロゼはやはりとても良く合います。淡いロゼカラーは桜っぽさもあって季節的にも心地よいので(とは言っても、このワインの本領発揮は実は夏ですが)、是非お試し頂ければと思います。
菜の花は、こんなに?と思うくらい長く煮て頂いてOKです。クタクタになるまで長く煮ないと出て来ない味わいがありますので、いつもは歯応えのある茹で方をしている方も騙されたと思って長時間煮てみて下さい。途中、ヘラで菜の花を潰しながら煮るとさらに美味しくなります。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

つづきを読む