チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

チーズダブルバーガー

第81回 2021年09月

チーズダブルバーガー

チーズの味わい

チーズを倍量トッピングした、チーズ2倍のチーズダブルバーガーです。肉汁しっかりのハンバーグと、コクしっかりのチェダーチーズのタッグでボリュームタップリ。その他の具材はお好みで。

準備するもの
バンズ1個、ハンバーグ1個、チェダーチーズ(厚切り)2枚、トマト1切れ、レタス1枚、ケチャップ適宜

つくり方
(1)ハンバーグを焼く。その間にバンズも温めておく。
(2)ハンバーグの上にチーズを乗せ、フライパンに蓋をして溶かす
(3)バンズにチーズハンバーグ、その他具材を乗せて完成


よく合うワイン

タヴェルネッロ オルガニコ テッレ シチリアーネ ロッソ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー ラベンダー ナツメグ

濃厚肉汁の後の後口スッキリ。ワインがベースを支える組み合わせ。

オーガニックぶどうからの素直な果実味で大人気のタヴェルネッロ オルガニコから昨年の秋に登場した新しい味わいです。太陽いっぱいのシチリア島産のオーガニックぶどうを使用。シチリアを代表するぶどうであるネロ・ダヴォラ種にシラーとメルロをブレンドした熟した甘い果実感と、適度なスパイシーさが魅力。オルガニコのサンジョヴェーゼよりも、ボリューム感や飲み応えを感じるタイプです。3か月前に試した時よりも、角がとれてまろやかな印象になっていました。数か月でもワインの味わいは刻々と変化していきますね。
チーズバーガーと合わせると、ワインが滑らかで、キメ細かい味わいに感じられるようになりました。しっかり力強いハンバーガーの味わいと互角に張り合うという感じではなくて、パティの肉汁の旨味が存分に出た後に、ワインの酸味とラベンダーのような紫の花を思わせる風味がフンワリと出て、後口をスッキリ、心地よくさせてくれる印象です。強さのバランスではチーズバーガーが明らかに上なのですが、ワインがベースで支えるという感じで、違和感なく楽しめる組み合わせだと思いました。

フレシネ ミーア 赤 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックベリー 干しあんず クローブ

「甘さ」がクローズアップされる、満足度の高い組み合わせ。

ミーアは「私のもの」という意味。このワインを飲む全ての人が、心穏やかに喜びの時間を過ごして欲しいという願いを込めて名付けられました。スペイン内陸部の力強い太陽を浴びて育ったぶどう由来のジューシーで柔らかな果実感と、通常の赤ワインよりも少し甘め(残糖約15g)の設計のやさしい味わいです。
チーズバーガーと合わせると、チーズ&ハンバーグのジュワっと出て来る旨味に、このワインの持っている優しい甘さが綺麗に溶け込んでいく感じがありました。このワインの魅力は、太陽をタップリ浴びた果実の甘さ+実際に糖分としても少し甘さが残るところです。そこにハンバーグの肉汁と牛脂肪の甘さ、チーズの乳の甘さ、バンズの甘さと、各素材が持っている「甘さ」と言う要素がクローズアップされて一体感が出ます。不思議と最後にワインのタンニンのほろ苦さが引っかかる様に残る感じがして少し減点しましたが、口の中に色々な甘さが溢れる満足度の高い組み合わせです。

ヤルンバ ワイシリーズ シラーズ / ヴィオニエ 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

スミレの花 ブラックチェリー 黒胡椒

香りはしっくりだが、口の中で違和感が出てしまう組み合わせ。

ヤルンバは現地のワイン評価本でワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた事もある、オーストラリアを代表する生産者の一つ。ワイシリーズはそのエントリーラインで、生産者のスタイルが強く表現されているように思います。シラーズと5%程度のヴィオニエ(白ぶどう)を一緒に発酵させてつくる(出来たワインをブレンドするのとは異なる味わいになると言われます)このワインは、濃厚でフルボディなオーストラリアン・シラーズとは一線を画した、華やかな香りとキメ細やかで涼やかな果実味を持ったエレガントな味わいです。
チーズバーガーと合わせると、牛肉の香りでまず口の中が一杯になりました。特にハンバーグの表面のカリッと焼き目が付いた部分のスモーキーさを伴った香りが、ワインにある黒胡椒のスパイシーさを伴ったスモーキーさと綺麗に調和している感じがあります。ただ、口の中ではチーズバーガーのガツンと来る勢いに対して、このワインの上品さが戸惑っているのか、フローラルさや滑らかさが少し減ってしまう様な、そんな違和感が出てしまいました。もう少し濃厚で甘さを主張して来るタイプのオーストラリアン・シラーズの方がバーガーには合うような気がします。

ダークホース カベルネ・ソーヴィニヨン 2019

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

カシスリキュール ミント ココナッツ

がっぷり四つ。土地の料理に土地のワインの大本命の組み合わせ。

型破りの味わいで人気のダークホース。こちらはカリフォルニアの王道と言ってよいカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、僅かにプティ・シラーとプティ・ヴェルドをブレンドして味わいにパンチを加えています。カリフォルニアらしい力強く、甘さも感じさせる充実の果実味と、オーク由来の甘いヴァニラやココナッツを思わせる香りが一体となった、ボリューム感タップリの味わいです。
チーズバーガーと合わせると、ワインのリッチな果実味に、チーズバーガーのタップリのボリューム感がしっかりと応えている感じがありました。先に試した3つの組み合わせと比較すると、双方の強さがしっかりと合った、がっぷり四つに取り組んだという感じの納得感が感じられます。僕はカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンの最大の魅力は、完熟したキメの細かいタンニンだと思っています。その細やかなタンニンと、チーズバーガーならではの肉汁と溶けたチーズが絡み合った滑らかさが絶妙に合う様に感じました。さすがは土地の料理に土地のワインの大本命、見事な一体感のある組み合わせです。

チャレンジまとめ

グルメバーガーがブームですね。しっかり肉感のあるパティと、こだわりのバンズ、厳選した副素材が一体化した満足感いっぱいの味わいがハンバーガーの魅力かと思います。今回はその中でも不動の人気を誇るチーズバーガーに追いチーズをしたチーズダブルのバーガーで試してみました。牛肉、トマト、コクのあるチェダーチーズ、ケチャップという赤~茶色い素材の組み合わせと、味わいの強さから、白ワインや酸味の強い赤ワインは最初から検討の対象外として、コクのあるタイプの赤ワインのみで実験しています。
結果として良かったのはハンバーガー発祥の地アメリカの赤ワイン、ダークホース。アメリカの(特にカリフォルニアの)赤ワインは、果実味たっぷりでアルコールが高めで、甘さを強く感じるワインが多い印象があります。僕は個人的な嗜好として酸っぱいワインが好きなので、甘くてリッチなタイプのカリフォルニアワインはあまり得意ではないのですが、まさに個人的には得意ではないその部分こそがチーズバーガーと合わせてみると美味しいと感じられる事が良くわかりました。料理と合わせる事でワインの味わいがより輝きを増し、逆もまたしかり。改めてワインというのは食とともにあるお酒だなあと実感するマリアージュチャレンジとなりました。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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