全ての素材に意味がある。素晴らしい一体感のある組み合わせ。
ワイン名が長くてなかなか覚えられませんが、ヴァルドッビアーデネはプロセッコ発祥の地。ドロミティ山塊の麓に位置する丘陵部に畑があり、通常のプロセッコよりも力強くボリューム感のあるワインを生むため、イタリアワインの最高峰であるDOCGに認可されています。味わいはほんのりと甘い(残糖17g/L)エクストラドライタイプ。プロセッコのメロンや白桃を連想させるフルーティさを際立たせてくれる、伝統的な残糖度です。
ブッラータと桃と合わせると、プロセッコのフルーティさがより輝きを増す感じがありました。白桃の瑞々しさと、プロセッコの白桃やメロンを思わせるジューシーさ、チャービルの甘い植物の青さ、ピンクペッパーの鮮烈な香り、そして再度プロセッコのフワっと広がるフルーティさと白い花のフローラルさ。それぞれの要素がみんな同じ方向を向いていて、口の中がとても心地よい感じで満たされます。そしてそれを最後にまとめるのが、ブッラータのまろやかだけどフレッシュなクリーミーさ。オリーブオイルまで全ての素材に意味があってプラスになっている。そんな感じの組み合わせでした。
桃感マックス!とにかく桃の風味が前面に出る組み合わせ。
マドンナはドイツワインを代表する銘酒「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」の元祖です。ぶどう品種はミュラー・トゥルガウ、リースリング、ケルナー、シルヴァーナーのブレンド。もぎたての白桃を連想させるフルーティな甘い香りと、甘酸っぱくキュートな味わいが魅力です。
ブッラータと合わせると、桃の甘い香りが口の中一杯に広がりました。ワイン自体にも白桃を連想させる香りがしっかりある事もあり、食べている桃の香りが広がっているのか、ワインの香りなのか、一瞬混乱するくらいの華やかな桃感です。実際の桃とワインの桃の風味が重なる事でこの華やかな桃マックス感が出ているのでしょう。その他の要素はチャービル、ピンクペッパー、オリーブオイルと次々と姿を見せては消えていく感じで、これはプロセッコの時に感じた一体感とは少し異なる感じです。ブッラータはどちらかと言うと、桃とワインの脇役になってしまう感じで、とにかく桃が主役のマリアージュになりました。とは言え、桃だけ食べてワインを飲んでもそうはならないのが面白いところです。
どっしり濃厚。クリーム&スパイスのコクを感じる組み合わせ。
<サミュエルズ コレクション>は、ヤルンバの創業170周年を記念して、創業者の名を冠して発売されたシリーズ。オーストラリアの白ワインの銘醸地として知られるエデン・ヴァレー産のヴィオニエを100%使用した、とろけるような果実味と複雑さを併せ持つ味わいです。ヤルンバはオーストラリアにおけるヴィオニエの先駆者で、一次は世界最大のヴィオニエ生産者だった事もある、この品種のスペシャリストです。
ブッラータと合わせると、ワインのどっしりとしたコクが強く感じられました。リッチな黄桃を思わせる重量感のある果実感と、ハッキリと出て来る生姜や白胡椒を思わせるスパイシーさ。4つのワインの中だと、ブッラータのチーズ感が最もしっかりと出て来ます。ただ、ワインがかなりしっかりとした味わいなので、白桃がワインの風味に負けてしまってあまり前に出て来ません。今回の4本の中で唯一の完全辛口のワインという事もあり、ワインのほろ苦い感じもそれなりに出てしまいます。クリームとスパイスの感じやワインのコクはわかるけど、ピッタリとは言えない組み合わせでした。
チェレット モスカート ダスティ 2020
※終売しました
香りが凝縮されるような、余韻が素晴らしい組み合わせ。
モスカート・ダスティは、イタリア・ピエモンテ州でマスカットからつくられる微発泡の甘口ワイン。もぎたてのマスカットや瑞々しい白桃を頬張るようなフレッシュ&フルーティな味わいが魅力です。結構甘い(残糖約100g/L)ワインで、デザートと合わせたり、食前酒に飲まれる事が多いです。今回は桃を活かしたかったので、このワインが持っている残糖の甘さも悪いくないかなと思って選んでみました。
ブッラータと合わせると、桃のフルーティさ、ブッラータのクリーミーさ、ピンクペッパー&チャービルの香りと、この料理が持っている香りが全て口の中で爆発するように強く感じられます。しっかり甘さとトロミのあるワインと、白桃の柔らかな果肉感や、ブッラータのクリーミーなテクスチュアとの一体感も見事です。ややワインが強いかな?と思う瞬間もありましたが、全ての味わいの要素がイキイキと出つつ、最終的に口の中に残る白桃の香りを凝縮したような余韻があまりに素晴らしいので、それも良いかなと思えました。素晴らしい組み合わせだと思います。