チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ロマネスコとブロッコリーの2種チーズグラタン

第97回 2023年03月

ロマネスコとブロッコリーの2種チーズグラタン

チーズの味わい

名残のロマネスコとブロッコリーに、市販のポタージュスープをソース代わりにして簡単に出来るグラタンをつくってみました。食べ飽きないほっこりとした美味しさです。

準備するもの
ロマネスコ1/4個、ブロッコリー1/4個、チーズ2種合計で60g(今回はカッチョカヴァロとラクレットを使用)、じゃがいものポタージュスープ カップ1、塩、胡椒適宜
(1)ロマネスコとブロッコリーは小房に分け、電子レンジに1分30秒ほどかけて柔らかくする。その後、出来たらフライパンで焦げ目がつくくらいまで焼いておく
(2)チーズは小さめにカットしておく
(3)(1)を耐熱容器に並べ、塩胡椒で調味する。その上からスープをかけ、チーズを乗せて、オーブンもしくはトースターで良い感じで焦げ目がつくまで焼く。


よく合うワイン

サントリーフロムファーム 塩尻メルロ 2018

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー 里芋 シダ

日本の森の中に居るような。ワインの良さを引き出す組み合わせ。

2022年9月に大きくリニューアルしたサントリーの日本ワインの新ブランドが「サントリーフロムファーム」。こちらはその中のワイナリーシリーズの1本。日本を代表するメルロの産地である塩尻地区産のぶどうを、サントリー塩尻ワイナリーで丁寧に仕込んだ、ワイナリーの顔と言って良いワインです。2018年は丁度飲み頃に入って来たところ。果実の甘さや滑らかさと、複雑な香りが一体化して来ており良年ならではのしっかりとした骨格もたのしめる状態です。
グラタンと合わせると、ワインが持っている日本の森を連想させる香りが際立つ感じがありました。僕は塩尻のメルロが持っている大きな魅力として、日本でしかきっと出ない、雨の後の日本の林道を歩いているような、シダ植物や針葉樹や腐葉土の混じったような清々しくも湿り気のある香りがあると思っています。この組み合わせはまさにそれを拡大して見せてくれる感じ。果実の甘さとチーズのまろやかさの組み合わせに加えて、ロマネスコとブロッコリーが日本のメルロの優しい瑞々しさをしっかりと引き出してくれます。ワインの良さを引き出す組み合わせだと思いました。

ヤルンバ ワイシリーズ リースリング 2020

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

レモン 白い花 機械油

複雑ながら後口スッキリ。山羊乳チーズの風味が出る組み合わせ。

ロマネスコ&ブロッコリー=キャベツ。キャベツ⇒ドイツ⇒リースリングというわりと安易な発想で選びました。オーストラリアのリースリングはドイツ移民によってかなり初期に植付が行われ、ドイツとはまた異なったシャープな辛口のスタイルです。このリースリングはキャベツ系とどのような相性を示すのでしょうか。
グラタンと合わせると、ワインの甘さがしっかりと出て来ます。元々ワインが持っている引き締まった酸がチーズのコクを綺麗に洗い流しながら、野菜の味わいが綺麗に前に出て来るのが好印象。複雑な風味を感じられながら後口スッキリという、いい感じの組み合わせな気がします。さらにチーズの香りの中に仄かに僕の大好きな山羊乳のチーズの風味も感じられます(好みは割れそう)。そう言えば、ニューワールドのリースリングにはゴートチーズの風味が出ると誰かが言ってたなと思い出しました。僕は山羊が大好きなので、この組み合わせは凄く良かったです。

デリカメゾン プレミアム シルキーワイン 赤 250ml缶

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

赤ぶどうジュース 綿あめ ■ベリー■いちご

ほっこりと落ち着く。野菜とチーズの甘さを感じる組み合わせ。

近年、世界的に急増しブームの兆しを見せている缶ワイン。考えてみれば、缶はあくまで容器であって、中に入れるワインは自由なんですよね。そう思うと、飲み切りやすいサイズ、持ち運びやすさやリサイクルのしやすさなど、缶の良さは色々あります。ご家庭で飲まれるビールが急激に瓶から缶に変化したように、ワインもそうなる可能性も有り得ると思います。そんな中でこちらはこの春新登場の1本。250mlの飲みきりサイズ(グラス2杯半程度)と、手頃な価格(参考価格330円)が魅力です。
グラタンと合わせると、やさしいデリカメゾンの果実感が引き立つ感じがありました。ワインの味わいとしてはそれ程強いわけではなく、穏やかで優しい味わいのワインだけに、ほっこりとした野菜と蕩けた甘いチーズとソースの味わいとやさしく馴染んでいく感じになります。強くもなく、弱くもなく。ほっこりと落ち着く、そんな感じの心地よい組み合わせでした。

ワインが人見知りしてしまう。ちょっとアンバランスな組み合わせ。

イタリアNo.1※ワインブランドのオーガニックとして、順調に売り上げを伸ばしているオルガニコシリーズのサンジョヴェーゼとトレッビアーノ/シャルドネに、この春から新たに250ml、500ml、1Lの3種のテトラパック®が新発売。750mlの瓶と併せて、飲み切りから常備用まで幅広いラインナップが利用できる事になります。こちらのテトラパック®は植物由来再生原料が約8割で、CO2排出を2割削減のエコパッケージ。世界に先駆けて日本で発売される事になります。カヴィロ社は既に収穫されるぶどうをワインにするだけでなく、発生する搾りかすなどの廃棄物からバイオエネルギーをつくったり、堆肥にしたりと100%のリサイクルを実現している環境先進企業でもあります。。
グラタンと合わせると、少しワインの方が人見知りする様な感じになりました。果実の香りが豊かなアブラナ科の焼けた香ばしい香りに隠され、酸味が不思議と角を出して口の中で引っかかって来ます。味わいの後半にかけても苦みが前面に出て来るなど、このワインの良さであるまろやかな果実感がほぼ出ないという残念な感じになってしまいました。むしろグラタンの味わいがクッキリと記憶に残る、そんなちょっとアンバランスな組み合わせでした。
(3月28日発売)
※シンフォニーIRIグループ2021年12月報告データ(イタリアスーパーマーケット100㎡以上の規模における)

チャレンジまとめ

グラタンは美味しいけどホワイトソースをつくるのは面倒ですよね。という事で今回は市販のポタージュスープをソース代わりにしてグラタンをつくってみました。じゃがいものポタージュ(ビシソワーズとかも使えそうです)でやってみましたが、違和感ゼロ。ホワイトソースよりも少し軽やかに仕上がる分、野菜の味わいがむしろ良くわかるような気もしました。オススメです。
で、ワインとの相性ですが、日本のメルロがとても良い感じでした。塩尻のメルロは日本の中では強い部類に属する赤ワインですので、普段は肉料理をオススメする事が多いです。しかし、改めて野菜中心の料理と合わせてみて、日本の赤ワインの活きる道はここにあるのでは?とも思うような、料理もワインも活きる確かな良さを感じる事が出来ました。根菜との相性の良さはこれまでも体験済でしたが、ブロッコリー&カリフラワーにも素晴らしい相性です。この2つにはやはりリースリングも良かったのですが、今回は驚きも含めて塩尻のメルロをのNo.1に推したいと思います。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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