毎月連載
チャレンジ!気軽にマリアージュ
カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を、
担当:柳原が独断で評価します!!
第73回
2021年01月
ウェルシュ ラビット
チーズの味わい
意味はウェールズのウサギ(実際はウサギは入っていません)。ウェルシュ レアビットとも言うようです。エールとチーズで作るこってりソースをのせて焼いた、濃厚なチーズトーストです。
準備するもの(2枚分)
パン(カンパーニュ使用)2枚、バター20g、小麦粉20g、エールビール(ザ・プレミアムモルツ 香るエールを使用)100ml、チェダーチーズ(シュレッドチーズでもOK)100g、マスタード小さじ1、ウスターソース小さじ1、塩、黒こしょう適宜
つくり方
(1)チーズソースをつくる。バターを溶かし、小麦粉を炒めてルーをつくる。そこに温めたビールを入れてよく混ざったら、削ったチーズを投入して溶かす。マスタードとソース、黒こしょうを入れ、最後に塩で味を整える。
(2)パンをトースターで軽く焼き、バター(分量外)を軽く塗る。
(3)(2)のパンに(1)のソースをのせて、オーブンかトースターで焦げ目がつくまで焼く。

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- 独断!マリアージュおすすめ度
- 4
味わいの広がりが魅力的。不思議に馴染むマリアージュ。
名前の通り、ベースとなる白ワインに生姜の根のエキスを加えて酒精強化してつくられる、生姜風味のフレーバードワインです。ロンドンで1740年に誕生した歴史あるお酒でもあります。生姜タップリで体を温めてくれるお酒ですので、冬場になると恋しくなります。今回はイギリスの料理という事で合わせてみました。この季節だと、お湯と1:1で割るホットジンジャーワインがオススメです。体がポカポカになりますよ。
ウェルシュ ラビットと合わせると、凄く馴染む感じの一体感がありました。あたたかなサンドイッチとあたたかな液体であるという事、そしてワインとサンドイッチと言うよりかは、ジンジャーエールとサンドイッチを合わせている感じの日常感との二つの理由で、不思議なくらい落ち着いた美味しさになります。ワイン自体は甘いのですが、生姜の風味が重さを無くし、チーズソースのコク&程よいスパイシーさと生姜の風味がこれまた相性良く、しっくりと馴染む感じと味わいの広がりのある魅力的な組み合わせでした。 -
- 独断!マリアージュおすすめ度
- 4.5
お互いの良さを見事に引き出す、素晴らしいマリアージュ。
ロバート ヴァイルは1868年創業で歴代ドイツ皇帝に愛された歴史を持つドイツを代表するワイナリ―の一つ。1988年からサントリーグループに加わっています。ラインガウ地域の偉大なリースリングで知られるロバート ヴァイルですが、このジュニアはお隣ラインヘッセン産の辛口ワインにフォーカスした新しいシリーズ。ヴァイスブルグンダーはピノ・ブランのドイツ名で、スッキリとした飲み口の辛口です。
ウェルシュ ラビットと合わせると、ワインの味わいにグッと力強さと集中度が出て来ました。このワインは元々ドイツらしいピュアな果実感と、キレのある酸味が魅力ですが、その2つの良さは保ちながら、味わい全体のボリューム感が大きく増す感じです。ウェルシュ ラビット側のチーズソースの濃厚さやパンの香ばしさもしっかりと出て、ピッタリと融合する感じが秀逸です。マスタードの風味が余韻に綺麗に馴染んで残るのは、やはりソーセージの国ドイツのワインだからでしょうか。なんにせよ、お互いの良さをバッチリ引き出すとても良い組み合わせでした。 -
- 独断!マリアージュおすすめ度
- 3_5
お互いの濃厚さをきちんと主張し合う、力強いマリアージュ
マクウィリアムズはオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州で6代に亘ってワインづくりを続ける家族経営の老舗ワイナリー。
多くのコンクールでの受賞実績を誇る名門です。こちらは、オーストラリアのシラーズらしく、完熟した甘い果実感とヴァニラ、赤身肉のローストを思わせる食欲をそそるスモーキーさが感じられる飲み応えのあるタイプです。
ウェルシュ ラビットと合わせると、ワインの果実味の豊かさや、オーク由来のヴァニラを思わせる風味などの甘い感じの味わいが一気に膨らんでくる感じがありました。パンの耳の部分の香ばしさと、ウスターソース&マスタード由来のスパイシーさも、ワインが持っているスパイシー&スモーキーなトーンとしっかりと同調しています。個人的には、やや果実味が強すぎて甘いトーンが出過ぎという感じはありますが、力強いタイプのオーストラリアンシラーズが好きな方であれば、まさにど真ん中のリッチさが味わえると思います。お互いの濃厚さをきちんと主張し合う、力強い組み合わせでした。 -
- 独断!マリアージュおすすめ度
- 3_5
ボルドーのエレガンスを強く感じる、産地が前に出るマリアージュ。
バロン ド レスタックはカステル社の看板商品で、フランスで売上No.1※のボルドーワイン。しっかりと樽熟された本格感のある味わいと、リーズナブルな価格が人気の秘密です。ボルドーはかつて300年くらいイギリス領だった時代があり、伝統的にイギリスで高く評価されてきたワインですので、イギリスの料理とは合うんじゃないかなと思って選んでみました。
ウェルシュ ラビットと合わせると、こちらはシラーズとは打って変わって、樽由来の香りと涼し気なハーブのタッチが強調される結果となりました。果実味はしなやかで心地よく、上品な後口が残ります。ウェルシュ ラビットはそれ程前には出て来ないものの、ポイント、ポイントで、パンの香ばしさだったり、チーズソースのコクだったりがきちんと主張します。このワインはきちんと樽熟成している事が特徴のため、時として樽が目立つ感じがあるのですが、ウェルシュ ラビットと合わせると、産地であるボルドーのエレガンスを強く感じる結果となりました。
※IRI FRANCE 2019データ フランス国内 ボルドーACワイン 2019年 年間販売数量
チャレンジまとめ
今回はウェルシュ ラビット。チーズソースにエールが入っているので、ビールのお供のイメージがありましたが、なかなかどうして、ワインともとても良い相性を見せてくれました。エールによって、チーズソースにほろ苦さを含んだ複雑なコクと旨味が加わりますので、ワインと合わせても色々な要素が顔を出して味わいに広がりが出る感じがしました。本日のそれぞれのワインの産地や品種の特徴をきちんと前面に出しつつ、ワインの味わいにボリュームを加える、素晴らしい一品と言ってよいのではないかと思います。
一緒に焼いた野菜を添えると、栄養バランス的にも、食べ応え的にも十分な一食になります(材料には入れてませんが、今回は焼きトマトと焼きマッシュルーム、クレソンを添えました)し、15分もあれば出来上がる手軽な料理ですので、是非一度お試し下さい。パンは今回はクラムのしっかりしたカンパーニュを使いましたが、食パンでも、バゲットでも、お好みのものを使用して頂ければ良いと思います。
最後に、折角なので香るエールとも合わせてみました。まろやかなテクスチュアと、ゆったりと広がる旨味と、豊かで魅力的な苦みが大きく膨らむ感じになりました。エールである事の意味がよりクローズアップされると言ってよいと思います。余韻も明らかに長くなり、これもまた見事なマリアージュでした。