チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

ホットサンド(ハム&チーズ)

第41回 2018年05月

ホットサンド(ハム&チーズ)

チーズの味わい

軽食の定番、ハムとチーズのホットサンドです。カリッとしたパンの食感とトロリとろけるチーズのハーモニーがたまりません。

準備するもの
 パン(なんでも、今回は山型食パン使用)、チーズ(なんでも、今回はとろけるスライス使用)、ハム

つくり方
 パンにハムとチーズを挟み、トースターもしくはフライパンでパンがカリッとするまで焼く。個人的には先に片面を焼いてから、焼いた面にハムとチーズを挟んで、さらに両面を焼くと、香ばしさが際立ってさらに美味しいと思います。


よく合うワイン

カルロ ロッシ ホワイト

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

青リンゴ ■その他果実■メロン 白い花

口の中がゆったりとした一体感で一杯になる、安心感のあるマリアージュ。

新しくなったカルロ ロッシの白です。これまでのフレッシュ&フルーティな味わいに加えて、マスカットによる華やかな香りと、シャルドネによるまろやかなコクが加わり、より美味しくなりました。
ホットサンドと合わせると、ワインの果実味のフレッシュさが際立つように感じました。メロンや熟した桃を思わせる、柔らかくてジューシーな果実感が口いっぱいに広がる印象で、なかなかに魅力的です。ホットサンドの方も、チーズのまろやかさが強調されて、口の中でワインのまろやかさと一体になる感じで、凄く安心感のある組み合わせだと感じました。ワインもホットサンドもカジュアルな味わいなので、軽く一杯やりたい時にピッタリの組み合わせだと思います。

フォルタン リトラルグルナッシュ ロゼ 2017

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

オレンジ ラズベリー キャンディ

フレッシュさや香ばしさが強調される、躍動感のあるマリアージュ。

第38回でも取り上げた、フォルタン リトラル シリーズのロゼ。リトラル(海岸部)の名前の通り、フランス・ラングドック地方の海近くの畑から取れた高品質のぶどうを使用しています。フランス人が大好きな南仏の辛口ロゼの典型と言えるスタイルです。
ホットサンドと合わせてみると、これもカルロ ロッシと同様に果実のフレッシュさが前面に出て来るようになりました。とは言え、感じるフレッシュさには違いがあるのが面白いところです。カルロ ロッシの柔らかさに対して、こちらはもぎたてのオレンジやベリーを思わせる果実感と、イキイキとした酸味が前に出てきました。ホットサンドの方はと言うと、ハムの味わいやパンの香ばしさが強調されて、次の一口をすぐに食べたくなる感じです。軽やかな躍動感のようなものを感じる、カジュアルかつピッタリ感のある組み合わせでした。

カザマッタ ロッソ※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

チェリージャム オリーブ オールスパイス

ワインにもホットサンドにも複雑さが出て来る、相乗効果のマリアージュ。

第21回以来の久しぶりの登場です。カザマッタはイタリアの鬼才ビービー グラーツの入門ライン。トスカーナのサンジョヴェーゼの味わいがきちんと出た、フレッシュさと深みを両立した味わいです。今まさに飲み頃、チェリーリキュールを思わせる華やかな香りがグラスから立ち昇ります。
ホットサンドと合わせると、ワインの果実味にツヤと言えるような魅力が出て来る感じがありました。ワイン自体が飲み頃で色気を放っているという事もあるのかも知れませんが、ワイン単体で飲むよりも、果実の甘さや、香りの広がり&複雑さに1ランク上のものを感じます。ホットサンドの味わいも、パンの香ばしさとチーズのまろやかさ、ハムの旨味の一体感が出できます。ワイン、ホットサンドともに魅力が引き出される、相乗効果のある組み合わせと言えると思います。

レ ゾルム ド カンブラス カベルネ・ソーヴィニヨン 2016

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

ブラックチェリー 黒胡椒 スミレの花

ワインとチーズのまろやかさが優しく馴染む、素直なマリアージュ。

前回はロゼを取り上げましたが、今回は赤です。カベルネ・ソーヴィニヨン100%からつくられる果実味たっぷりの味わいで、ラングドック地方で開催されるコンクールである「グラン ヴァン デュ ラングドック 2017」で見事に金賞に輝いた実力派のワインです。
ホットサンドと合わせると、ワインの南仏らしい果実の甘さが強調されるように感じました。チーズとワイン、双方のまろやかさが口の中で優しく馴染んでいく感じです。ワインとホットサンドの力関係も対等な印象で、素直に良い組み合わせだと思いました。ただ、二つが出会う事で、何かこれまでになかった素敵な部分が出て来るという事はなく、あくまで今のお互いを尊重するという感じの合い方なので、点数はやや辛めにしています。

チャレンジまとめ

結論から言うと、ホットサンドはあらゆるワインと全く喧嘩しない理想的なワインのお供だと思います。赤白ロゼ、そして今回はやっていませんがスパークリングワインとも間違いなく合うでしょう。まあ、チーズとパンとハムの組み合わせですから、ワインと合わない要素が全く無いのも当然です。
今回はシンプルにパンとチーズとハムだけでやっていますが、自由にアレンジが効くところもホットサンドの良いところです。
例えばもう少し味が強めの樽熟成タイプのシャルドネなんかだと、バターやマスタードバターを加えるなどでより相性が良くなりますし、より爽やかなタイプの白ワインであればハーブ類やサラダなどを一緒に挟んだり、チーズをフレッシュで酸味のあるものにすると良いと思います。カベルネ系の赤ワインならパプリカの薄切りを一緒に挟んだり、チーズをコクのあるものに変える。シラー系ならスパイスを振ったり、ハムを燻製の強いものを使うなど、元々がシンプルなだけにアレンジは無限大です。
そして材料さえあれば、挟んで焼くだけという手軽さと、ほぼマリアージュが失敗しないという安心感も大切。ワインのよい相棒だと思います。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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