おたがいの味わいにふくらみを増す、とても良いマリアージュ。
コルドン ネグロはカヴァ最大の生産者フレシネ社の看板商品。黒いボトルが目印の辛口スパークリングワインを代表する1本です。瓶内二次発酵製法ならではのコクと複雑さを、お手ごろな価格で愉しむ事が出来るのがこのワインの良いところです。
ブリーと合わせてみると、ワインの果実味の輝きが増すような感じがしました。りんごを思わせるピュアな果実味が口の中で上品にかつ甘く広がっていきます。酸味もエレガントで心地よく感じられ、ワインの格が上がったようにも感じられました。ブリーはブリーで皮の部分の少しマッシュルームっぽい香りが、コルドンネグロの熟成感の部分と反応して、味わいにふくらみを増すように思いました。お互い別々に味わうよりも、滑らかさやピュアさ、艶やかさが感じられて、個人的にはとても好きなマリアージュでした。4組試す中の1組目なのに、このままこの組み合わせでずっと食べててもいいなあと思ったくらいです。
ワインの味わいが劇的に変化する印象的なマリアージュ。
オーストラリアは隠れたリースリングの銘醸地。19世紀半ばにドイツ人の一団が移住してきた事により、リースリングの文化が根付いたと言われています。
ヤルンバのリースリングはそのドイツ人たちが最初に定住したと言われるバロッサ産。厚みとシャープさを両立し、リースリングの品種香とも言われるペトロール香(石油系の香り)も程よく持った味わいです。
ブリーと合わせてみると、このワインが隠し持っていた複雑で少し香ばしい旨味の部分がクローズアップされる感じになりました。シャープな酸味は程よくブリーの乳脂肪でコーティングされてまろやかになり、果実味は大きくふくらむという、ワインにとってはいいことずくめのマリアージュです。ブリーの味わいもまろやかで伸びがあって悪くないのですが、どちらかと言うとワインを活かす役割の方が強いように感じました。ワインの味わいがシャープ⇒香ばしいコクへと劇的に変化するので、その印象がとても強いマリアージュです。
ブシャール ペール
エ フィス ブルゴーニュ ピノ・ノワール ”ラ・ヴィニェ” 2014
※終売しました
とにかくまろやか。一体感のあるテクスチュアが感じられるマリアージュ。
ブルゴーニュを代表する名門であるブシャール ペール エ フィス社のスタンダードキュベです。ピノ・ノワールの原産地らしく、このぶどうの繊細さや上品さが前面に出た、とてもエレガントな味わいです。この年はコート・シャロネーズ地区のぶどうが中心に使われています。
ブリーと合わせてみると、ワインのテクスチュアのキメ細やかさがより際立って感じられました。ブリーの滑らかでまろやかなテクスチュアとピノ・ノワールのしなやかさが、見事に一体感を持って混じりあっていきます。こういう一体感はなかなかないものなので、とても心地よく感じられました。
味わいの部分で言うと、後半にブルゴーニュのピノ・ノワールでしばしば感じられる鉄を思わせる香りがグッと前に出てきてしまって、ブリーの乳の甘い感じを少し邪魔してしまう感じになったのが少し残念でした。ワイン側にもう少し力強い果実味があれば、バッチリの相性だったのではないかと思います。このワインの次のヴィンテージ2015年であればとても良く熟したヴィンテージでしたので、きっと素晴らしい相性を見せてくれると思います。
甘さとまろやかさが強く強調されるマリアージュ。
ロス ヴァスコスの上級キュベ。コルチャグア・ヴァレーの自社畑の中でも、特に樹齢の高い良い区画のカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、シラー、マルベック、カルメネールをブレンドしています。チリらしい力強い果実味と、フランスのDNAを感じるエレガンスが絶妙のバランスでブレンドされた、見事な味わいの赤ワインです。
ブリーと合わせてみると、ワインがとても甘く感じられるようになりました。酸味がとても丸くなって、タンニンもソフトでまろやか。とにかく柔らかさが前面に出た味わいを生むマリアージュです。味わいの後半には、濃密なリキュールの感じや、カフェラテのようなクリーミーな香ばしさも出てきて、飲み応えや食べた満足度は十分だと思います。
ただ、味わいがリッチ系に傾いてしまい、このワインの大きな特長であるエレガンスやバランスが減少していく傾向にあるので、美味しいのですがマリアージュの点数は辛めにしました。ブリーはエレガントなようでいて、このワインにも負けないしっかりとした強さもあるようです。