チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

Q・B・B
スウィーツ好きのための
チーズデザート 6P
バニラ

第17回 2016年04月

Q・B・B<br>スウィーツ好きのための<br>チーズデザート 6P<br>バニラ

チーズの味わい

チーズデザートという名前の通り、これはチーズというよりはチーズをベースにしたお菓子です。気軽に食べられるレアチーズケーキと言っても良い感じです。甘さは控えめで、クリームチーズ由来のやさしい酸味も感じられるところに、甘いバニラの香りが程よく乗ってくる感じで、すいすいといくつも食べてしまう美味しさがあります。


よく合うワイン

フレシネ カルタ ネバダ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

黄桃 干しあんず はちみつ

前半は柑橘、後半はバニラ。味わいが変化していくマリアージュ。

“雪の手紙”というロマンチックな名前がつけられた、白いすりガラスのボトルのフレシネです。「セミセコ」というやや甘口の味わいで、ふくらみのある果実と後味のコクが楽しめます。チーズデザートと合わせてみると、ワイン側の味わいが引き締まって、イキイキとした柑橘を思わせる爽やかさを感じさせるように変化しました。チーズの味わいは後半にバニラの香りとともにゆったりと出てくる感じです。甘い食べ物をワインと合わせると、酸っぱくなってしまったり、渋かったりであまり良い印象を受けない事がありますが、この組み合わせは、お互いの個性を守りながら味わいには影響を与えている印象で、悪くないと思いました。

ウィリアム ヒルナパ ヴァレー シャルドネ 2014

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

マンゴー コーヒー 樽

香りが甘くても辛口は辛口という事が良くわかるマリアージュ。

カリフォルニアを代表する銘醸地「ナパ ヴァレー」産のシャルドネでつくられたワインです。低めの酸とリッチでコクのある果実味の飲み応えのある辛口の味わいです。ワイン自体に樽熟成から来る強めのバニラの香りがあるので、バニラ風味のこのチーズデザートとは良く合うかなと思ったのですが、結果はなかなかそうはいきませんでした。確かに甘い香り同士は同調して、カスタードプリン的な甘くて香ばしい良い香りになるのですが、口の中に入れると、ワインの果実の甘い感じがキュッと縮こまってしまう感じになりました。例え香りは甘くても、このワインは辛口なのだなあと実感させられるマリアージュでした。余韻はカフェオレのような感じが出て楽しめました。

サントリージャパンプレミアムマスカット・ベーリーA ロゼ 2013

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

いちごジャム 綿あめ さくらの花

いちごのフレーバーが爆発する、とても良いマリアージュ。

甘くて華やかな香りが特長の日本を代表する黒ぶどう「マスカット・ベーリーA」をロゼに仕立てました。やや甘口の味わいで、暖かかった2013年を感じさせる充実した果実感があります。このワインは先日行われた「サクラアワード」という日本の女性が選ぶワインコンクールで、日本産ワインの白・ロゼ部門でトップに輝きました。チーズデザートを合わせてみると、ワインが持っているいちごを思わせる果実味が特に際立つようになりました。イキイキとした摘み立てのいちごの印象で、チーズデザートのバニラの香りも溶け込んで感じられます。この2つを合わせる事で、新しい別のデザートを味わっているような気持ちになる鮮やかなマリアージュでした。

サクラアワード2016受賞ワイン特設ページはこちら

トリヴェント レゼルブ マルベック 2013※終売しました

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

プラム ブラックチェリー ミックススパイス

ワインの味わいが硬くなってしまうマリアージュ。

アルゼンチンを代表する黒ぶどう「マルベック」を使った赤ワイン。しっかり熟した充実した果実と、濃い色調が特長です。タンニンはそれ程強くなくて、なめらかでジューシーな味わいです。チーズデザートと合わせると、ワインの味わいがキュッと引き締まって、やや硬く感じられるようになりました。チーズの香りや味わいはあまり活きる事なく、バニラの香りだけがポンと浮いて感じられます。元々ワインが持っている味わいの要素は実はクッキリと目立つようになる気がしますが、良いマリアージュの際に見られる、お互いの味わいがふくらんでいくという事がほぼないのが残念でした。

チャレンジまとめ

 今回は初めて、甘さ(糖分)を含むチーズとワインとの相性を試してみました。これまでのチーズにも食べた際に甘いと感じるものはありましたが、それは乳の甘みであって、今回のように砂糖で甘くしたデザートタイプのものとは、全く異なるマリアージュになるという事を実感する結果となりました。
 結論としては、糖分のあるチーズと合わせるためには、ワインの側にも糖分が必要であるという事が良くわかりました。これは、糖分のある「チーズ」に限った事ではなく、糖分のあるお料理でもデザートでも同じ結果となります。完全に辛口のワインと糖分のあるものを合わせると、ワインの酸やタンニンが際立ってしまって、ワインを楽しむ大きな要素の一つである果実味があまりわからなくなり、味わい自体も硬く感じてしまって、あまり美味しいと思えなくなってしまいます。これがある程度甘さのあるワイン(やや辛口~やや甘口くらい)を合わせると、ワインとチーズ両方の味わいが良くわかるし、引き立てあってくれます。
 日本はお料理にも砂糖やみりんと言った糖分のあるものを良く使います。日本でよく売れているデイリーワインをみると、少し甘いものが多いのは、そんな事も理由なのかもしれないですね。
 というわけで今回の結論⇒「甘いものには甘さのあるワイン」。鉄則です。



■ 関連サイト
Q・B・B スウィーツ好きのための チーズデザート 6P バニラ

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

ワインにのめり込んだのは、お酒とは関係のない業務のサントリーフーズ勤務時代。2013年のワインアドバイザー選手権では準優勝だったが、次回大会での優勝を目指して、日々ワインテイスティング、チーズ研究、食材研究に余念がない。お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアワインアドバイザー NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル 第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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