ワインって難しい・・・?
世の中で広く言われるワインの常識を、ワインのプロが実際に検証!
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  • 実験編「白ワイン」

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デキャンタってどんな効果があるの??
~白ワイン編~

2016年11月

レストランなどでワインをボトルから花瓶のような大きなガラスの器に移し替えているのを見たことはないでしょうか?

これは、『デキャンタ』と呼ばれるもので、ワインを大きな容器に移し替えることで香りが引き出されたり、少し空気に触れさせることで味わいがまろやかになったりすると言われています。
きっとおいしくなるんだろうと思って見ていましたが、どんなワインでも効果があるんでしょうか?

今回はまずは白ワインでも試してみようと思います。なにごとも試してみないとわかりません! さて、結果やいかに!?

目次
  1. ▼ さっそくやってみた!!
  2. ▼ ざっくりと結果まとめ!!
  3. 【ワイン1】~フレッシュで軽めのやや辛口白ワイン~
    カルロ ロッシ ホワイト
  4. 【ワイン2】~すっきりした味わいの辛口白ワイン~
    ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
  5. 【ワイン3】~キレのある酸味が特長の辛口白ワイン~
    ウィリアム フェーブル シャブリ
  6. 【ワイン4】~リッチな味わいの辛口白ワイン~
    ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

▼ さっそくやってみた!!

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まずはワイン!次の4つのタイプで試してみました。
 
ワイン1.
フレッシュな果実味で飲み口が軽めのやや辛口の白ワイン:
カルロ ロッシ ホワイト
 
ワイン2.
すっきりした味わいの辛口白ワイン:
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン
 
ワイン3.
キレのある酸味が特長の辛口白ワイン:
ウィリアム フェーブル シャブリ
 
ワイン4.
リッチな味わいの辛口白ワイン:
ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ
 
使用したデキャンタは冒頭の画像のような縦長で細めのものを、グラスは小ぶりのティスティング用のグラスを使用しました。
検証の仕方は、4人のメンバーで次の二つを並べて試飲して、味わいの要素を最高5点で数値化して比較しました。
 
 A:普通に注いだもの
 B:デキャンタした後に注いだもの
 
さてさて、デキャンタでワインはおいしくなるんでしょうか??
 
※本当は、フルーティでほのかに甘い白ワイン:ファルケンベルク リープフラウミルヒ <マドンナ>も検証したかったのですが、『ブショネ』と言われるコルク栓が原因の不良サンプルであったため、なくなく除外しました…。『ブショネ』については編集後記で説明しています。
 

▼ ざっくりと結果まとめ!!

いきなり今回の結論ですが、
★★白ワインはデキャンタしてもあまり変化しない★★
ということに!
 
今回試したワインはどれもデキャンタすると若干酸味がまろやかに感じられて、飲み口がスムーズになる印象がありましたが、点数としてはほとんど変わらない結果になりました。これまでの実験の中でもかなり変化が少ない実験になりました。
今回試したようなワインは、わざわざデキャンタをする手間をかけなくてもよさそうです。
 
 
 
ワインごとの変化の仕方など、詳しくは「検証結果をくわしく!」で。
※一部製品における実験であり、テイスターの主観的な感想です。

【ワイン1】~フレッシュで軽めのやや辛口白ワイン~
カルロ ロッシ ホワイト

【ワインの特徴】 ブランドサイトはこちら 

甘味と酸味のバランスがとれた、すっきりとした味わいの軽めのワインです。

 

【検証結果】

★デキャンタ後は味わいが少しぼやっとした印象に★

 

デキャンタすることで、香りや果実味、酸味が少し控えめになって、口当たりが少し重く感じる。しない方がおいしい印象。とはいえ、その変化はわずか。

【ワイン2】~すっきりした味わいの辛口白ワイン~
ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン

【ワインの特徴】 ブランドサイトはこちら 

青草や柑橘、青いりんごのような爽快な香りと、キレの良い酸味が特長です。

 

【検証結果】

★デキャンタすることでまろやかに★

 

デキャンタすることで、果実味や香りがわずかながら豊かに、逆に酸味は控えめに感じる。爽やかなイキイキした印象からまろやかでフルーティな印象に。デキャンタすることで飲みやすい印象になるけれど、爽やかな酸味が楽しみたい場合は、デキャンタしない方がおいしいかも。

【ワイン3】~キレのある酸味が特長の辛口白ワイン~
ウィリアム フェーブル シャブリ

【ワインの特徴】 ブランドサイトはこちら 

キレのある酸味が際立った、軽快で心地よい辛口の白ワインです。フレッシュな柑橘系のような香りも特長です。

 

【検証結果】

★デキャンタしてもほとんど変化しない★

 

デキャンタすると酸味がやや穏やかになるものの、ほとんど変化しない。わずかな変化ではあるけれど、香りの印象でシャブリらしいミネラル感(石灰を思わせるようなニュアンス)が感じにくくなる。

【ワイン4】~リッチな味わいの辛口白ワイン~
ビニャ マイポ ビトラル シャルドネ

【ワインの特徴】 ブランドサイトはこちら 

熟れたリンゴやマンゴーような果実の香りと、ナッツやバニラのような香りも感じられる香り豊かな白ワインです。また、爽やかな酸味と飲み口にコクを感じるリッチな味わいです。

 

【検証結果】

★デキャンタしてもほとんど変化しない★

 

このワインは正直、どの要素も変化を感じない。わざわざデキャンタする必要はなさそう。

編集後記(やってみてわかったこと!!)

【結局のところは??】
★★今回試した白ワインではデキャンタは効果なし★★
 
今回の実験では、どのワインもデキャンタによる変化がほとんど感じられず、今回試したようなカジュアルなワインでは必要はないように感じました。ただ、多くのポテンシャルを秘めた偉大なワインや、ワインの特長が閉じこもった状態のワインだとまた違う結果になるかもしれません。
カジュアルなお店ではあまり白ワインをデキャンタしているところを見かけませんが、おそらくこういう結果からなのでしょう。
 
【デキャンタはこのやり方だけ?】
今回は比較的細い形のものを使って、ワインを移し替えるだけの方法でしたが、デキャンタにはもう少し大きい容量のものがあったり、デキャンタに移し替えた後にさらに液体を回してより空気に触れさせたりすることもあります。
そういうものを使用した場合はまた違う結果になるかもしれません。
 
【余談ですが、、『ブショネ』って?】
今回なくなく断念した「フルーティーな甘口白ワイン」に発生していた『ブショネ』について紹介します。
主に天然のコルクが原因で発生するワインの不良のことを『ブショネ』と呼びます。コルクは製造工程で漂白するのですが、その過程で漂白成分とカビなどが化学反応を起こして、このような不良が発生すると言われています。
コルクを使用したワインはどんなワインでも発生する可能性があって、ワイン自体から腐った木や古いぞうきん、ダンボールが湿ったようなかなりひどい臭いがします。ワインに関する技術は日々進歩していますが、現在でも数%は発生すると言われています。
 
【この次。】
今回は白ワインでデキャンタの実験しましたが、次は赤ワインでデキャンタを試してみます!どんな結果になるのか、お楽しみに!!

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