チーズとワイン

気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を
担当 柳原が独断で評価します

カゴメ
押し麦ごはんで
チーズクリームリゾット

第28回 2017年04月

カゴメ<br>押し麦ごはんで<br>チーズクリームリゾット

チーズの味わい

プチプチとした押し麦と、ほっくりしたひよこ豆の食感が愉しめる、やさしい味わいのリゾットです。
野菜ベースのスープにチーズ&ベーコンがまろやかさとコクを加えています。余韻に黒こしょうを主体としたスパイスの香りが心地よく残って全体の印象は軽やか。
使われている素材も、チーズ、たまねぎ、人参、ベーコン、きのこ(ぶなしめじ)、ひよこ豆、バターなどワインと相性の良いものが多く、安心してワインと合わせることが出来ました。
全部平らげると結構食べた感じがしますが、わずか229キロカロリー。常温保存可能なのも嬉しいところです。


よく合うワイン

味わいがまとまって広がりを見せる、典型的な同調のマリアージュ。

イタリアNo.1※ブランド「タヴェルネッロ」から、シチリアの太陽をいっぱい浴びたオーガニックワインが登場です。優しくて、ふくよかな果実味と、スッキリした後味は、とてもフードフレンドリー。
リゾットと合わせてみると、ワインの果実味とリゾットのまろやかさが、両方ともにグッと広がるのを感じる事が出来ました。ワインのテクスチュアや落ち着いた酸味と、リゾットの滑らかな食感やチーズ由来のコクが同調して、全体の味わいを大きく一つにまとめる感じです。
これは典型的な良いマリアージュの一つのパターン。「同調のマリアージュ」です。ワインの温度を通常より少し高めにすると、そのふくらみをより大きく感じられると思います。

※IMPACT DATABANK 2016 EDITION(2016年度 世界上位25ブランド 販売数量)

モマンドール ロゼ

独断!マリアージュおすすめ度

味わい

アロマ

さくらんぼ ■ベリー■いちご キャンディ

オレンジの香りがグッと出てくる、変化を愉しむマリアージュ。

サントリーとフレシネが共同で開発した、日本の食卓に合うスパークリング、モマンドールの第二弾。今回は、『食欲をそそるロゼスパークリングワイン』です。ロゼならではの果実感と酸味のバランスが良い、軽やかな味わいです。
リゾットと合わせてみると、ワイン単体では感じられなかった別の要素が出てくるのが面白いところでした。ワインだけだと赤いベリーやさくらんぼを連想させる香りが中心で、チャーミングでスッキリとした味わいなのですが、リゾットが入るとブラッドオレンジのような柑橘系の香りが加わって、味わいにも同じくオレンジ系のホロ苦い旨味が出てきて、複雑さが増す感じでした。ぶなしめじを一緒に食べると、特にそれが強調されるのも不思議で、マリアージュの面白さを感じる組み合わせでした。

とにかくまろやか。ワインの果実味が引き出されるマリアージュ。

イタリアNo.1※ブランド「タヴェルネッロ」から、シチリアの太陽をいっぱい浴びたオーガニックワインが登場です。熟したやわらかな果実感に、ほのかなスパイシーさがアクセントを加える、まろやかな味わいです。
リゾットと合わせてみると、ワインの甘い果実味と、黒こしょうを思わせるスパイシーな香りが強調される結果になりました。リゾットのクリーミーな甘さと、ワインの果実味が喧嘩することなく、すっと手を結ぶ感じです。ワイン単体で飲んだ時に感じた、鉄っぽい香りが影を潜め、ひたすらまろやかで優しい飲み口になるのが印象的でした。ただ、リゾットはあまり前面に出ることがなく、ワインの味わいを底上げするサポート役に徹している感じです。ぶなしめじと一緒だとワインの香りが複雑になり、ベーコンの場合だとスパイシーさが増すといった味わいの変化も見られました。

※IMPACT DATABANK 2016 EDITION(2016年度 世界上位25ブランド 販売数量)

ワインの本来持つポテンシャルが前に出てくるマリアージュ。

大人気のサンタのプレミアム版。チリの銘醸地ラペル・ヴァレー産のぶどうと、フレンチオークで6ヶ月熟成したワインを使用した、ワンランク上のサンタです。サンタらしい果実味を保ちながら、力強さも兼ね備えた味わいです。
リゾットと合わせてみると、他の3つのワインとは違って、ワインの構造感やカチッとした硬さが目立つようになったのが印象的でした。カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴である、針葉樹やミントを思わせる植物的な香りもしっかりと出てきて、合わせる事でワインの本来持っていたポテンシャルが引き出されているように感じました。ひよこ豆と一緒だとより果実の凝縮感を強く感じ、ぶなしめじの場合だとよりワインの複雑さを強く感じるなど、口に入るものでマリアージュに変化が生まれるのも愉しいところでした。

チャレンジまとめ

 上のリゾットの味わいのところでも書きましたが、基本的にワインと喧嘩する要素がほぼない一皿でしたので、安心してマリアージュを愉しむことが出来ました。予想通り4つのワインともに、良いマリアージュになりましたが、今回印象的だったのは、その時に口に入る具材によってマリアージュに結構変化が出てくることでした。
 チーズの連載ですので、これまであまりこの事には触れる機会がありませんでしたが、これは料理とのマリアージュだと結構起こることです。例えば、同じ鶏肉の料理でも、付け合わせがじゃがいもの場合と、グリーンサラダの場合と、キノコソテーの場合だと、合うワインが変わってくるといったことです。マリアージュにはメインの料理の味わいだけでなく、こういった副素材の味わいも実は影響しているんですね。今回はそれがとても良く感じられたマリアージュ実験でした。
 きのこ、じゃがいも、チーズといった素材は幅広くワインに合いますので、ワインを飲まれる際には積極的に副素材として使っていただくと、マリアージュの質が高まるのではないかと思います。



■ 関連サイト
カゴメ 押し麦ごはんでチーズクリームリゾット(外部サイトへリンクします)

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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