鳥を守る活動は、
人々の未来も明るくする。そう信じて1973年から愛鳥活動を
行ってきた
サントリーは、
その歩みのなかで、
夢をもって懸命に野鳥保護に
取り組む
数多くの素敵な
団体と出会いました。もっとたくさんの
野鳥たちを救うために、
彼らを応援したい。そんな想いを形にしたのが、
公益信託「サントリー世界愛鳥基金」です。
公益信託「サントリー世界愛鳥基金」の助成金が、どのように役に立ち、どのような成果が生まれているかを伺いに、サントリー社員と基金運営委員が現場を訪ねました!
サントリーは、公益信託「サントリー世界愛鳥基金」を通して、国内外の幅広い野鳥保護活動を応援しています。2024年に助成した団体の活動内容をご紹介します。
大型助成を通じて、水辺環境の整備を長期的にサポートします。
ナベヅル・マナヅルの越冬地分散プロジェクト
当協会では全国で野生生物を指標とした生態系ネットワークの推進に取り組んでいます。本助成では、鹿児島県出水市に集中するナベヅル・マナヅルの越冬地分散を目的に、地域団体等と連携し、ツル類の越冬に適した環境の創出や、ツル類の飛来を歓迎する社会環境の整備に取り組みます。
誘引用デコイ制作イベント
長崎・佐賀・徳島の5地域7箇所にツル類越冬のため、冬期湛水しデコイを設置した人工ねぐらを整備しました。取組の継続・拡大を狙いとし、関係者が大規模越冬地・出水に集まった交流会を開催し、活発な意見交換が行われ取組地間のネットワークが構築されました。さらに、2025年度の普及啓発に向け、ツル類の飛来情報を集約するウェブアプリの試用も開始しました。
本州でのトキ野生復帰・定着支援プロジェクト
野鳥保護団体に助成し、
保護活動をバックアップします。
キナバタンガン川流域において絶滅の恐れのあるサイチョウ類の営巣機会の向上
私たちはアブラヤシプランテーションの旧開発により野生動物の生息環境が激変したボルネオ島北部キナバタンガン川流域で熱帯雨林保護、生物多様性保全の活動を行っています。熱帯雨林で種子散布者として森林再生などに重要な役割を持つサイチョウ類。その営巣環境を改善するために人工巣箱の制作と設置、自然の樹洞の改良と修復をしています。
ボルネオを代表する鳥、ツノサイチョウ
2024年8月に営巣環境改善活動を実施しました。樹洞修理ではマレーグマによる損傷箇所を補修し、巣箱設置では軽量化と環境適応性を向上させた新型巣箱を設置。ムジサイチョウが群れで営巣する様子や以前の巣箱の劣化状況も確認しました。樹洞や巣箱の修理・設置はクライミング技術の進歩により効率化され、行動データ収集のため自動撮影カメラも取り付けました。
絶滅危惧種アホウドリの保全に資する利用海域の特定
山階鳥類研究所は鳥の研究を専門にしている研究機関です。アホウドリやヤンバルクイナなど絶滅危惧種保全の研究や、鳥の渡りや寿命などを知ることができる鳥類標識調査、海鳥のモニタリングに関わる調査なども実施しています。さらに、鳥学に関する図書や鳥類標本を収集・管理し、多くの研究者の研究活動に供しています。
船の周囲に集まるアホウドリとクロアシアホウドリ
絶滅危惧種アホウドリは、別種ほどに異なる2つの集団からなることが明らかとなり、それぞれの独自性を保つ保全策の検討が急務となっています。本活動の主な目的は、尖閣諸島個体群のセンカクアホウドリの周年の利用海域を明らかにすることです。2024年度は洋上捕獲した2個体に衛星追跡型GPSを装着し、利用する海域が季節ごとに異なることが明らかとなってきました。
ブータン王国の絶滅危惧鳥シロハラサギの飼育下繁殖技術の確立
ブータン王立自然保護協会は、1987年設立の非政府組織で、シロハラサギ飼育繁殖のための拠点施設であるシロハラサギ保全センターを設置して同種の保全に取り組んでいます。シロハラサギ保全チームは、日本の研究者や獣医師らで構成される任意団体で、2019年から、ブータンのシロハラサギ保全活動を支援しています。
シロハラサギ保全センターで飼育されているシロハラサギ
2024年度は、本助成金により日本の鳥類飼育繁殖専門家2名がブータンに派遣されました。派遣期間中に孵化したヒナの初期育雛方法に関する助言、帰国後のオンラインによる継続的な助言等の活動で、野外巣に由来する個体の人工孵化・育雛に成功し、2羽が生育しました。
6~7月には日本国内の動物園等でシロハラサギ保全センター職員2名に対する研修が行われました。
フィリピンミンダナオ島におけるフィリピンワシの感電防止対策と生物多様性に富む原生林の保全再生
フィリピンワシ保護財団は、フィリピンの国鳥であり、豊かな生物多様性の指標種でもあるフィリピンワシを絶滅の危機から救うとともに、生息地のコミュニティの生活基盤を守ることを目的に①地域コミュニティの生活を支えるプログラム②野外調査プログラム③保護教育プログラム④飼育下繁殖プログラムを継続的に実施しています。
フィリピンワシ営巣場所付近の監視、活動
絶滅危惧種フィリピンワシの主要な生息地であるミンダナオ島南部の繁殖地、Sinica山麓のArakan自治区において、巣立ち雛の感電死を根絶するため、電力会社、政府機関、自治会が連携して感電防止対策を実施しました。また、違法な密猟や森林伐採を根絶するため、地元住民からなる森林パトロール隊を結成し、監視活動と近隣住民への教育啓発活も行いました。
ヨウムの野生復帰を想定した繁殖技術の確立
富山市ファミリーパークは1984年の開園より、緑豊かな里山の自然環境の中で、家族が楽しみ、憩う施設として市民に親しまれてきました。特に郷土の動物たちを中心に生態展示しており、ライチョウをはじめとした希少動物の生息域外保全にも取り組むほか、世界的な視野に立った野生動物の種の保全事業にも参加しています。
飼育しているヨウム
2024年は展示施設内にてヨウム4羽(オス2・メス2)で繁殖に取り組みました。4~7月に2羽のメスから計12個の産卵が確認されましたが、全て無精卵でした。そこで、次回の繁殖に向けて、ヨウムの生息地にあるウガンダ野生生物保全教育センターと、ヨウムの飼育状況および野生ヨウムの情報共有をすすめています。また、人工授精の検討も開始しています。
亜種アカモズの飼育下繁殖
当園は、海外の希少動物だけでなく、和鳥を中心とした小型鳥類の飼育や繁殖に長年注力しており、多数の種で飼育下繁殖に成功してきました。この知見と技術を活かして、大学等と共同で亜種アカモズの保全に取り組んでいます。また、ヤマトサンショウウオなどの地域に生息する野生生物の保全活動や調査活動も行っています。
助成金で整備したアカモズ用の新鳥舎
保護卵を用いた人工孵卵・育雛の技術を概ね確立しました。また、アカモズ用鳥舎を新たに整備し、既存施設と併せ2つがいがペアリング出来る準備を整えました。さらに、成育個体の野外環境への馴化や飼育下における国内での越冬について調査の他、この活動の普及啓発イベントを開催しました。施設等の条件整備が進んだため、今後は飼育下での繁殖に取り組んでいきます。
世界自然遺産登録地に生息するアマミヤマシギの保全のための調査・研究
当会は奄美大島内外に300名弱の会員を抱える特定非営利活動法人で、奄美大島の固有種であるオオトラツグミ、アマミヤマシギ、ルリカケスなどを主な対象として保護・保全活動を行っています。オオトラツグミさえずり一斉調査は30年以上継続しており、2024年3月の調査では過去最高の確認数を記録しました。
捕獲したアマミヤマシギ
2024年5月に沖永良部島でアマミヤマシギ調査を実施しましたが、繁殖は確認できませんでした。また、2024年12月と2025年1月には沖縄島のやんばる地域でアマミヤマシギの越冬状況を確認にいきましたが、今季は渡来数が少なく見つかりませんでした。2025年2月には沖永良部島へ越冬状況を確認に行き、見つけたら捕獲してGPS装着を試みる予定です。
コウノトリの国内全繁殖地における繁殖状況調査および新たなコウノトリ保全方針の作成
IPPM-OWSは、コウノトリの飼育・放鳥施設、放鳥地・繁殖地自治体等で構成され、関係省庁と連携して国内のコウノトリの保全(生息域内保全・生息域外保全)に取り組んでいます。ワンプランアプローチにより飼育・野外個体群を一元的に管理し、2024年末の野外個体数が460羽まで増加したことを確認しています。
足環を装着した4羽のヒナ(新潟県上越市:初繁殖)
2024年度は、国内の全繁殖地で造巣から巣立ちまでの状況を調査し、14県51か所(新規6か所)で129羽に足環を装着しました。また、2020年策定の「コウノトリ保全方針」の改訂に向けたワークショップや保全活動に関する普及啓発イベントの開催、野外での事故の発生状況や域内・域外個体群の遺伝的状況の把握、飼育下個体群の管理計画推進などにも取り組みました。
フィリピンの持続可能な森林農法コーヒー農園で越冬している夏鳥の調査
市民参加による全国の個体数変化や分布変化の調査、野鳥と人との共存のための事業、新しい調査方法の開発、野鳥の研究教育活動など実施しています。渡り鳥を守るためには海外の生息地での研究も必要で、本事業はそうした海外での分布調査の一環です。
ズアオオウギビタキ
2024年12月17日から23日まで、ルソン島中部のタジャンにある森林コーヒー農園でかすみ網調査を行いました。捕獲した野鳥は亜種シマアカモズ、メグロヒヨドリ、バンケン、ムネアカタイヨウチョウ、ズアオオウギビタキの5種、同時に行った目視調査では76種を記録しました。目視では見つかりにくい越冬種を捕獲するため、次回調査では藪や林内にかすみ網の設置を予定しています。
コウノトリ繁殖支援活動
佐賀県支部は、野鳥に親しむ活動と同時に、絶滅危惧野鳥の保護にも取り組んでいます。2024年は、コウノトリ繁殖支援と生息地環境整備、コアジサシ営巣地保全保護、ツル分散化事業、ブッポウソウ巣箱架け、カササギの保護運動を、併せて危機的状況の魚の保護や一度絶滅した植物の保全等も他団体と協力して取り組み中です。
2023年生まれ(左)と2024年生まれ(右) のコウノトリ姉妹
2024年も繁殖に成功しました。前巣下が工事中で、別地区の電柱に巣架けをした為、2023年同様に九州電力と交渉しバイパス線通し、孵化後の見守りとなりました。残念ながら、事故でヒナ2羽が落ちて1羽の巣立でした。コウノトリが継続使用出来る環境も整え、新たな巣塔設置や餌場ビオト-プ、一部ハス田の通年水張りなどを進め、地域住民で守る会も立ち上げました。
ヤマセミの環境保全活動を未来へつなぐ
当団体は、「100年後に生態系の保たれた地域を届けたい」と三段峡を中心に「調べる」「伝える」「つなぐ」の事業を行っています。専門家と鳥類・両生類・植物などを調査し、希少蝶類やヤマセミの保全活動を行っています。また、三段峡を野外博物館と捉え、次世代に活躍する子供達が自然を体験し学ぶ場を提供しています。
ヤマセミ
当団体愛鳥グループのモニタリング調査により、個体数と生息エリアが明確となり、繁殖状況を確認することが出来ました。視察した人工営巣場所を参考に人工巣穴を2箇所増設し、観察会・専門家による河川調査の報告会・人工巣穴等の活動報告会を行いました。また町民の協力を得て、ヤマセミの生態と繁殖までを、わかりやすく紹介する紙芝居を、愛鳥グループで製作しました。
学校のクラブや自治体、
ボランティア団体などへの支援を行います。
校内で繁殖するチョウゲンボウの繁殖生態の研究
日本鳥学会での発表
文理総合系列の3年生8名が課題研究として実施し、産卵日や産卵間隔、抱卵日数、孵化時刻、育雛日数、巣立ち成功率、餌生物の組成、給餌量、親鳥の雌雄による役割分担など、チョウゲンボウの繁殖に関する基礎生態を明らかにしました。9月に日本鳥学会で発表し、ポスター賞(努力賞)を受賞しました。1月には群馬県立自然史博物館でもポスター発表をしました。
絶滅危惧種イカルチドリの生態をまとめた啓発冊子の作成
イカルチドリの本表紙
イカルチドリの生態をまとめた啓発冊子を2024年8月に刊行しました。300冊を印刷し、日本鳥学会(大会時)の研究者に80冊、日本野鳥の会、日本鳥類標識協会の会員、山階鳥類研究所、埼玉県生態系保護協会などに配布し、高校や地元の図書館にも寄贈しました。残り約70冊は、順次活用いただける団体や、個人に配布する予定で、保護活動に役立てていきます。
自然を大切にする愛情豊かな児童を育てる愛鳥活動
観察会
野鳥観察会(春・冬)では、事前に各学年の目当ての鳥について、体の特徴や見られる場所について学習をします。愛鳥博士、スーパー愛鳥博士は、愛鳥下敷きで鳥の名前や鳴き声を覚えます。学習したことなどをいかし、野鳥観察会や日常の生活で鳥を丁寧に観察する姿が見られました。また、野鳥観察会や愛鳥博士テスト等で活用できる図鑑等を購入し、愛鳥活動を推進しました。
大都市近郊住宅地の野鳥生態理解推進と野鳥が住める環境の理解・保護、巣箱の製作と設置・管理
町田市立つくし野小学校校庭内に設置した巣箱を管理(19年継続中)
つくし野・小川・三輪の3地区で多様な環境理解の活動を継続実施しています。つくし野地区:家族対象の巣箱づくり・管理活動を19回目実施。小川地区:小学4年生70人に湿地型ビオトープ整備などを推進。身近な野生動物野鳥の種類や生態を実物を用いて解説。保護者も加わり、主催者の独自デザイン巣箱を、自分たちの手で製作し、合計20個を新たに校庭全域に設置しました。
山梨県北杜市里山の野鳥調査で里山のOECM化に寄与し自然観察会で生物多様性教育を行う
水路調査
能登のトキ野生復帰に向けての普及啓発活動
小鳥の巣箱作り
京都府舞鶴市冠島におけるオオミズナギドリの生態調査と地域に向けた発信活動
海岸で帰島前のオオミズナギドリを観察
コウノトリの子育てを観察して生態系を学ぼう
~人にもコウノトリにも優しい共生農業~
野生コウノトリの子育て風景の観察会
ブッポウソウの保全と愛鳥精神の普及
ブッポウソウの巣箱交換-作成肱川小・協力四電工
ツルの羽数調査及びツルの家族構成分散状況調査
ツル家族構成・分散調査
当助成金で購入したフィールドスコープ用の三脚を用いて出水に渡来するツルの羽数調査を2024年11月~2025年1月の期間で計4回実施しました。ツル観察センターに早朝集まって計測を行い、12,992羽を記録しました。また、家族構成分散調査を2024年11月に実施し、休遊地や出水平野を調査することで環境保護の意識を高めることができました。
社会のお役に立ちたいという志を持つ個人または法人が、一定の公益目的のために財産を銀行に信託します。受託した信託銀行はその財産の管理・運営を行い、定められた公益目的を実現するための活動に役立てます。
※公益事業の執行
もっと詳しく!