私たちは、良質な地下水を育んでくれる森を
「サントリー 天然水の森」と名付け、
森や土や生き物を守る活動を続けています。
「天然水の森」は、
全国16都府県26カ所、12,000ヘクタールを超える
規模にまで広がっています。2025年5月現在
森を守ることは、
鳥を守ること。
鳥を守ることは、
森を守ること、
そして、
私たちの未来を守ること。
サントリーは、
森と生態系を守る「天然水の森」での活動と
鳥を守る「愛鳥活動」を、
これからも、共に続けていきます。
鳥には翼があるため、環境が悪くなれば飛び去ってしまい、良くなれば戻ってきてくれます。
また、姿が見えなくても鳴き声で鳥の種名が判別できるため、環境調査の際に、とても重要な役割を果たしてくれます。
全国約12,000ヘクタールの「天然水の森」では、(公財)日本鳥類保護連盟などの専門家に依頼し、毎年定期的に鳥類調査を実施し、その結果を森林整備活動に活かしています。
森の生態ピラミッドの頂点に位置するワシやタカ、フクロウなどの猛禽類が生きていくためには、彼らの餌となる小動物が豊富に生息している必要があります。
そのためには、その小動物の餌となる多様な動植物が生きていける環境がなければなりません。つまり、猛禽類を守っていくための活動は、多様な生態系をまるごと守ることにつながっているのです。
そういう意味では、「天然水の森」の整備活動は、そのまま猛禽類のための整備にもなっています。
ところが、猛禽類が生きていくために、ひとつ大きな問題があります。それは子育てし、子孫を残していくための営巣場所が不足しているという点です。
オオタカなどが好んで営巣するマツ林が枯れてしまったり、フクロウが営巣できる巨木の樹洞が激減したり。
そこで私たちは、オオタカのためのマツ林の整備や、巨木が育つまでの緊急避難として、フクロウのための大きな巣箱をかけるなどし、彼らの子育てを支援しています。
「天然水の森」では、小鳥たちが食べる実のなる木を植樹することはほとんどありません。
小鳥たちが小さな実を丸呑みし、フンと共に種子を撒いてくれるからです。
「天然水の森」には、活動開始前の整備遅れによって暗くなった人工林があります。
その中に小鳥たちが撒いた種子は、地面が明るくなるまで、何年も何十年も土の中で眠っています。
そして、森林整備で森の中が明るくなると、一斉に芽生えて、
未来の小鳥たちのための森が形づくられていくのです。
また、虫を食べる小鳥たちは、木の葉を食べる虫たちの異常発生を防いで、
森の多様性・健全性を守ってくれています。
かつて私たちは、小鳥たちを守っているつもりでいました。
でも、実際には、小鳥たちに守られていたようです。
サントリーは「天然水の森」だけではなく、各地の工場や蒸溜所などでも鳥と森を守る活動を行っています。
サントリーが愛鳥活動をスタートさせた1973年。
山梨県北杜市の「サントリー白州蒸溜所」でも、蒸溜所内にあった森を整備し、
野鳥が安心してすめる聖域をつくる活動をスタートさせました。
「バードサンクチュアリ」と名付けられたこの森は、開園当初とは見違えるほど、緑豊かになりました。
今では、年間およそ50種類以上の野鳥が訪れます。
開園準備当初は暗くて背が低いマツ林だった。
現在、マツ林は成長し、広葉樹も生い茂る豊かな森になった。
工場の周辺でマツ枯れが広がるなか、この森のマツだけはあまり被害を受けていません。
森を訪れる野鳥たちがマツ枯れの原因となる虫を食べてくれていたのです。
鳥を守っているつもりが、鳥に守られている。
そんな「愛鳥活動」の大切な考え方に気付かされたのも、この場所です。
キツツキの仲間、アカゲラは、マツ枯れの原因となる虫を食べてくれます。
林の中や林縁を飛び回って餌の虫をとるキビタキ。とてもきれいな声でさえずります。
黒いネクタイをしたシジュウカラは、小さな虫をいっぱい食べてくれます。
「サントリー白州蒸溜所」では、
「バードサンクチュアリ」の散策を楽しめる見学ツアーも開催しています。
詳しくは、「サントリー白州蒸溜所」のWebページをご覧ください。
豊かな自然に囲まれた約150ヘクタールの広大な丘にある
「サントリー登美の丘ワイナリー」(山梨県甲斐市)では、100年以上にわたって、
ぶどう畑から、醸造、瓶詰め、熟成、販売まで一貫したワインづくりをしています。
その敷地には多様な生き物が生息しており、
国鳥のキジや、絶滅が危惧されている国蝶のオオムラサキなどが普通に見られます。
「登美の丘ワイナリー」では、
これからの100年も畑からの一貫したワインづくりを続けるためには、
豊かな自然環境を次代に引き継ぐことが必要と考え、
”鳥と共生するワイナリー”を目指したさまざまな環境活動を行っています。
鳥と共生するワイナリー
水場は鳥にとって、水を飲むだけでなく、水浴びをするためにも欠かせない場所です。 鳥の羽毛は、細かい糸状の構造が複雑に絡み合っており、そこに空気を貯めこむことで保温・防水の機能を担っています。水浴びには3つの目的があります。汚れや寄生虫を落とし、体をきれいにすること。また、羽繕いをして複雑に絡み合う状態を維持し、保温・防水を保つこと。さらに、鳥には人間のような汗腺がないので、汗をかくことで体温調整ができません。そのため、夏の酷暑を乗り切るのにも重要な役割を果たします。 そこで、「登美の丘ワイナリー」では、鳥たちのために、水場を2カ所設置しています。水場の水は、常に清潔な状態が保たれ、冬でも凍らないように管理されています。
設置した水場に集まるヒヨドリ
サントリーでは、「天然水の森」の活動で伐採した木を「育林材(いくりんざい)」と名付け、可能な限り大切に有効利用しています。
「登美の丘ワイナリー」でも、この育林材を使用した巣箱を20カ所以上設置し、鳥との共生を目指しています。鳥には子育ての場所を提供し、代わりにブドウの木につく虫を食べてもらう。この取り組みによって架けられた巣箱は、1年目よりも2年目の方が、利用率が高くなりました。
設置した「育林材」の巣箱に
餌を運ぶシジュウカラ
(公財)日本鳥類保護連盟は、従来の「1つ穴巣箱」より、外敵が巣箱に侵入した際にもう片方の穴から逃げることができる「2つ穴巣箱」の方が、鳥類の繁殖成功率を高めることができるのではと仮説を立てて巣箱を作成し、「サントリー 天然水の森」で調査・実証しました。
その結果、調査で得られた全てのデータにおいて、「1つ穴巣箱」より、「2つ穴巣箱」の方が高い営巣率を示すことが分かりました。
2024年、この「2つ穴巣箱」が、実用新案を取得できました。
「登美の丘ワイナリー」に設置する「育林材」の巣箱についても、この「2つ穴巣箱」を採用し、「サントリーの愛鳥活動」は、2つ穴の「育林材」の巣箱を推奨していきます。
「登美の丘ワイナリー」は、小鳥たちのさえずりが響く豊かな自然環境の中で、
ぶどう畑から始まる一貫したワインづくりを100年以上にわたって続けてきました。
この特別な土地で、私たちは、小鳥をはじめとする多様な生き物たちと力を合わせ、
この土地ならではの自然に感謝の気持ちを込めながら、より良いワインをつくり続けていきます。