連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2011年03月10日 ヴィンテージ2011に向けて始動

厳しい寒さとなった1月までとは打って変わって暖かい2月となりました。まだ集計データは届いていませんが、朝方でも氷点下に下がらず日中は12〜15℃まで上がる日が続きました。感触としては3月中旬の感じです。この暖かさに草木は敏感に反応し、紫陽花などは既に萌芽を始めました。葡萄も日当たりの良い畑では水が回り始めています(剪定した切り口から樹液が流れ始める現象で、萌芽への動きが加速されます)。暖かさが続き、このまま春になるなら大歓迎ですが、一般にあまり早い萌芽は歓迎されません。温暖化が進むメドックでも4月には明け方に氷点下となる遅霜のリスクがあり、萌芽が早いほど霜害を受ける可能性が高まるからです。焦らず、ゆっくりとタイミングを待って萌芽し、3年続きの大器を目指して貰いたいものです。

植物たちが、春へ向け始動を始めているのと同様、シャトーも今年の活動シーズンに向け、様々な準備が急ピッチで進められています。今日はその活動をご紹介しましょう。

<小ロットタンク導入>
2008、2009年とタンクの小型化を進めており、今年は仕上げの年として大掛かりな第三期工事に着手しています。これは買収直後の1985年、86年に植え付けた畑が25年を経過し、それぞれの畑の個性を表現するようになってきた事に対応するものです。ラグランジュは畑を105区画に分けて管理しており、今年の第三期工事の終了後には約100基のタンクを有する事となりますので、いよいよ1区画1ロットでの仕込みが実現する事となります。ただ今回の工事は第一期および第二期工事の2年分に相当する本数の大工事です。秋の収穫に絶対に間に合わせなければなりませんが、ヴァカンスで2カ月工事が止まってしまうお国柄だけに、ちょっと心配ではあります・・・

<収穫者宿泊施設の改築>
以前はスペインやポルトガルからの出稼ぎ者に頼っていた収穫も、EU加盟後の経済環境変化で、すっかり様変わりしています。これに伴い、収穫者100名以上を泊められるラグランジュの宿泊施設もここ数年、まったく使われない状況が続いて来ました。広大な敷地はAOCでサンジュリアンを名乗れる貴重な場所を犠牲にして建てられていましたので、昨年、建物の2/3を取り壊して畑に戻す工事に着手しました。建物全部を壊すのは忍びなかったので、残る1/3はジャーナリストなど招待客の宿泊施設に改築する予定でいます。2月の暖かさにも助けられ、工事は急ピッチで進んでいます。今年は2年に一度のVINEXPOの開催年ですので、何とか6月のこのイベントに間に合わせられればと思っていますが、さてどうでしょうか。

<庭園池の白鳥>
昨年の3月号にて『ラグランジュの垢落とし』として、池の底に堆積した砂利や落葉などの大規模な底浚い工事を行い、その機会に池に小さな『中の島』を造る工事に着工したことをご報告しました。一年を経て『中の島』も完成、畔の芝も再生し、白鳥2羽が優雅に泳ぎまわっています。

悠久の時間の流れの中にあるようなラグランジュですが、ゆっくりと着実に変化を進めつつありますので、ぜひ機会をつくってラグランジュをご訪問され、変化を肌で感じてみてください。

日当たりの良い畑では、水が回り始めた株も散見
日当たりの良い畑では、水が回り始めた株も散見
醸造棟外に出され、売却を待つ旧タンク
醸造棟外に出され、売却を待つ旧タンク
建物が取り壊され、畑に戻される収穫者用宿舎跡地
建物が取り壊され、畑に戻される収穫者用宿舎跡地
新設した『中の島』の周囲を優雅に泳ぐ白鳥
新設した『中の島』の周囲を優雅に泳ぐ白鳥
池の畔では可憐なスミレがもう満開
池の畔では可憐なスミレがもう満開
葡萄栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
現在シャトーラグランジュの販売は(株)ファインズで行っております。
詳しくは(株)ファインズのホームページをご覧下さい。 http://www.fwines.co.jp/
 
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