連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2010年8月26日 ラグランジュでの『音楽の夕べ』

5月のワイナリー便りにて、30年ぶりの厳しい寒波となった今冬の影響で、生育が大きく遅れている事をご報告しました。心配されている方もいらっしゃるかと思いますので、今日はその後の生育状況の説明から入りたいと思います。

6月は平年を1.1℃上回りました。 しかし、開花期前後は雨の多い不安定な天候となったため、メルロの一部の畑で花ぶるい(※1)やミルランダージュ(※2)が見られました。一方、開花の遅いカベルネは開花期の好天に恵まれ、良好な結実となっています。 心配された天候でしたが、6月20日を過ぎて一気に夏らしい暑さとなり、生育の遅れを徐々に取り戻し始めました。
続く7月は、平均気温が平年を1.6℃上回ったばかりでなく、日照時間が平年を16%も上回る281時間となりました。更に7/20、21の降雨を除いてほとんど晴天という理想的な一ヶ月で、降水量は15.4mmと平年のわずか28%にすぎませんでした。これにより一気に生育の遅れを取り戻し、ベレーゾン(果皮の着色開始と水まわり)開始も前年と比べ3〜5日程度の遅れにまで回復してきています。強い水分ストレスによって、果粒・果房もコンパクトな高品質葡萄を生産する状況が徐々に整いつつあります。

春先から開花期までは今年の収穫が懸念される状況でしたが、8月以降の天候次第ではむしろ良年となる可能性も出てきましたので、引き続き収穫に向け、気を抜かずに徹底した畑での管理を続けて行きたいと思っています。

好天が続くなか、7月1日の夕暮れどきにラグランジュのシャトーの中庭を使って野外クラッシック・コンサートを開催しました。これはLes Estivales de Musiques au coeur du Médoc(メドック・ミュージック・フェスティバル)が主催するプレステージ・シャトーでのコンサートイベントで、初回の2004年から数え、今年が7回目の開催となります。
主催者によると、フェスティバルの狙いは、将来を嘱望される若き音楽家に活躍の場を与えることということで、毎年各地のコンクールで賞を得た若い音楽家から数名を選りすぐり、世界に知られたプレステージ・シャトーの舞台でアキテーヌ交響楽団をバックに演奏させるというアイディアです。
『音楽とワイン』の組み合わせもそれを支えるもうひとつの重要なテーマで、演奏会終了後に各シャトーが提供するワインのテイスティングを組み合わせることで、演奏会の楽しみを更に深いものとすることを狙っているとのことでした。
今年はラグランジュ、ラフィット、タルボー、ブラネールなど6シャトーの協賛で、7月1日〜13日の開催となりました。そのオープニングを飾ったラグランジュは昨年に続く2回目の協賛です。昨年は樽貯蔵庫内で開催したのですが、今年は恵まれた天候とシャトー前の美しい庭園を活用した野外コンサートとしました。天候にも恵まれ450席が満席となり、参加者は美しいシャトー庭園でのコンサートと、その後のテイスティング・イベントを満喫した様子でした。後日、主催者側から聞いた情報では、演奏そのもののみならず、シャトーの中庭という環境に対しても非常に好意的な反響が多数寄せられたとのことで、我々一同もたいへん嬉しく思います。

ラグランジュでは今後も同様のイベントに対しては、積極的に協賛していきたいと考えていますが、歴史的に価値のある建築物を所有する者として、その資産をいかに活用していくかは、ある意味での社会貢献でもあるということを、改めて認識させられた一日でした。

※1 開花時期の天候不良などにより、実を結ばず花のまま終わってしまうこと。

※2 開花時期の天候の影響で受粉がうまくいかず、小果粒がたくさんつくこと。

ベレーゾン期(着色開始と水まわり)に入ったカベルネ・ソーヴィニヨン
ベレーゾン期(着色開始と水まわり)に入ったカベルネ・ソーヴィニヨン
ミルランダージュの見られたメルロ
ミルランダージュの見られたメルロ
シャトー中庭での野外コンサート
シャトー中庭での野外コンサート
夕暮れの中での幻想的な演奏
夕暮れの中での幻想的な演奏
コンサート終了後は中庭でのテイスティングと醸造棟の自由見学
コンサート終了後は中庭でのテイスティングと醸造棟の自由見学
葡萄栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
現在シャトーラグランジュの販売は(株)ファインズで行っております。
詳しくは(株)ファインズのホームページをご覧下さい。 http://www.fwines.co.jp/
 
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