連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2008年3月13日

昨年は厳しい寒さとなったボルドーですが、春の訪れは意外に早いかもしれません。1月、2月は平年を2℃上回る気候が続いています。2月中旬には、道路沿いのミモザ(フサアカシア)が満開となりました。これは平年より1ヶ月近く早いような気がします。ぶどうもこの気候が続くようであれば、昨年同様かなり早い萌芽を迎えることになりそうです。

今回は自然に関するトピックスが続きましたので、その話題をご報告します。まずはテレビニュースでのラグランジュ報道から。

CIVB(ボルドーワイン委員会)が、今秋までにボルドーのワイン生産者のCO2排出量を調査・公表すると発表したことを受け、フランス南部の重要なTVチャンネルの一つ「France 3 」がボルドーのシャトーで先行するラグランジュの取り組みを取り上げてくれました。

放送された内容は、環境に配慮したシャトーを目指し、努力を重ねていることで
1.その一環として、醸造法を変えることで電気使用量をこの1年で8.5%も削減したこと。
2.剪定枝や絞りかすを堆肥にすることで、CO2排出を抑えるようにしたこと。
インタビューを交えた好意的なニュースを流してくれました。

これに続いて地元ボルドーのテレビ局「TV 7」からも取材依頼がありました。「TV 7」では「France3」の内容に加え、ラグランジュがジロンド県で最初にCO2排出量を明らかにしたシャトーであること。また2005年より『テラ・ヴィティス(※)』による認証を取得している事にも触れ、ラグランジュの取り組みを高く評価してくれました。

こうした取り組みがニュースで取り上げられるというのは、環境に関しては開発途上国のイメージのあるフランスでも、遅ればせながら関心が高まってきたということだと思います。我々が目指してきた方向に光が当たってきたことは嬉しい事ですが、もちろん我々の活動は外へのアピールが目的ではありません。ワイン造りの原点である『農業のあるべき姿』に立ち返るという取り組みです。今後も地道に活動を積み上げていくだけですが、理解をしてもらえるということは素直に喜びたいですし、今後への活力となります。

2つめはヒヤリとする話題ですが、ラグランジュ横の草原で火事がありました。ラグランジュはシャトーを囲む2つの丘陵地にぶどう畑があり、この2つの丘陵地に挟まれた低地部分は南の林から続く広大な草原となっています。2月9日昼過ぎにこの草原で発生した火事は、枯草の上を一気に燃え広がり、消防車が6台も出動しました。土曜の午後で目撃者がいないため原因は定かではなく、猟師か散歩者の煙草であろうとの事ですが、ヒヤリとする火事でした。もしぶどう畑に燃え移れば一大事です。畑を火から守ってくれたのは、消防車のみならず、ぶどう畑を囲むように掘ってある用水路でした(写真3参照)。自然の地形を利用したこの用水路が防火壁の役割を担ってくれなければ、足の速い炎は、ぶどう園まで到達していたかもしれません。

この2つの出来事を通し、自然との共生の大切さ、難しさ、そして自然の怖さを改めて考えさせられました。

  

※テラ・ヴィティス:フランスボジョレー地区のぶどう栽培者と醸造者たちからはじまり、全フランス規模に広がった団体。自然環境に配慮した栽培と醸造を行なうことを基本理念としている。

ぶどう栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
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