連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2007年9月25日

気まぐれな天候に一喜一憂した2007年でしたが、いよいよ収穫が始まりました。前回の記事で『9月の天候が勝負』と書いたその期待通り、その後9月はすばらしい天候が続いています。8月29日の雨を最後に、8月30日から現在(9月25日)までの約一か月、雨が降ったのは17日明け方の1mmと22日の9mmの2回のみで、あとは秋晴れが続きました。しかも日中の最高気温も25〜27度、夜間は15度前後と昼夜の格差も理想的で、タンニンの熟度も日増しに上昇してきています。また、糖度についてはメルロでアルコール換算12.5〜13.0%、カベルネで約12%まで上昇してきています。

ラグランジュでは天候の恩恵をフルに享受すべく、ぎりぎりまで収穫を引き延ばし、本日(9月25日)より本格的な収穫を開始しました。今朝、4mmほどの一時的なにわか雨があり心配されましたが10時すぎには太陽も顔を出したので、昼より収穫を開始しています。順調に行けば今週と来週前半でメルロ、プティ・ヴェルドの収穫を終え、10月4日よりいよいよカベルネにアタックします。長期予報では、9月下旬より気温が下がり、本格的な秋の様相となるようです。天候も不安定になりがちですので、今後の天候次第では臨機応変な対応が求められますが、カベルネもぎりぎりまで収穫を遅らせることを目指し、完熟したベストのタイミングでの収穫を狙っていきます。

さて、一足早く収穫を終了した白ワイン「レ ザルム ド ラグランジュ」についてもご報告しましょう。「レ ザルム ド ラグランジュ」は、ラグランジュの115haある栽培面積のうち、わずか4haと生産量は微々たるものですが、認知度は確実に高まってきており、今ではラグランジュの大切なブランドとなっています。
ボルドーで白と言えば、まず皆さんの頭に浮かぶ産地は、ボルドー南部のペサック・レオニャン地区でしょう。この地区はメドックに比べて気候が暖かいので、約1週間から10日程度ぶどうが早く成熟し、収穫も早く始まります。そのため、我々メドックの白ワイン生産者にとっては、収穫のタイミングを計る良い参考となります。ペサック・レオニャンを代表するシャトーのひとつであるシャトー カルボニューでは、今年の白の収穫開始は8月27日、昨年は8月28日に開始したとのことでした。8月下旬の収穫開始というのは暑い年の平均的な時期との事ですので、収穫開始の時期だけ見れば今年は言われるほど涼しい夏でもなかったようにも思えますが、異常に暖かかった3〜4月の影響で開花が2週間ほど早かった分の貯金が収穫まで繰り越した…というところでしょうか。ちなみにシャトーオーブリオンの白も8月28日に収穫が開始されています。

ラグランジュでのレ ザルムの収穫は、9月10〜11日に行われました。9月の好天をフルに享受し、ソーヴィニヨン・ブランに至っては糖度がアルコール換算14.5%という記録的な完熟となりました。また、セミヨン、ミュスカデル を合わせた平均でも13.5%程度となり、加えて涼しい夏の影響で果実味と酸がきれいに残ったすばらしいぶどうが得られています。現在樽でゆっくりと醗酵が進んでおり、仕上がりが今から楽しみな状況です。

ぶどう栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
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