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サントリーグループのサステナビリティ

サステナビリティ ストーリーズ サステナビリティ活動の最前線! サステナビリティ ストーリーズ サステナビリティ活動の最前線!

「Be supporters!」が紡ぐ、人生100年時代の“幸せ”な物語
──Jリーグの地元クラブを応援する力で、高齢者のココロとカラダが元気になることを目指す

「Be supporters!」は、高齢者施設の高齢者や認知症の方など普段は周囲に「支えられる」場面の多い方々が、地元クラブの“サポーター”となって応援することで、クラブや地域を「支える」存在になり、ココロもカラダも元気になることを目指す活動です。「いくつになってもワクワクしたい、すべての人へ」をコンセプトとし、普段は周囲に「支えられる」場面の多い方が「支える」存在になることを目指す活動で、日常に新たな生きがいや希望を生み出す取り組みを推進しています。
サントリーウエルネスでは、サステナビリティビジョンとして、“人生100年時代における「シニアステージ」の「豊かな生活文化」を提案し、ひとりひとりの「生きる」が輝く社会を実現する”を掲げており、このビジョンのもと、<地域環境の責任><ウエルネス社会の実現><人・地域社会との共生>の活動領域があります。<人・地域社会との共生>の活動のひとつとして、「Be supporters!」を推進しています。
サントリーウエルネス株式会社 経営企画本部の名古路実希が、その取り組みについてご紹介します。

「Be supporters!」が紡ぐ、人生100年時代の“幸せ”な物語──Jリーグの地元クラブを応援する力で、高齢者のココロとカラダが元気になることを目指す

高齢者施設に入ることが「その人らしさの終わり」ではない

私は入社後、スーパーマーケットへの量販営業やイギリスでの研修、人事採用など、さまざまな現場を経てサントリーウエルネスの経営企画本部へ着任しました。そして、この「Be supporters!」という取り組みに出会いました。
最初は「日ごろは“支えられる”場面が多い高齢者施設に住む高齢者の方々が、地元のJリーグクラブを応援するサポーター(“支える”存在)になる」、そしてその仕組みをサントリーウエルネスが作るという、ステークホルダーが複雑に絡み合う本プロジェクトを理解するのは容易ではありませんでした。ですが、全国の施設で高齢者の方々が推し活を通じて生き生きと変化していく姿や、そこに生まれる数々の物語を知ったとき「まさにこれこそが、社会の課題に真摯に向き合う取り組みなのだ」と実感したのです。

私自身、二世帯住宅で育ち、祖父母と身近に過ごしてきました。祖母の施設入所が現実的になったとき、家族にも本人にも葛藤があり、私もどこかで「施設に入ることは、その人らしい生活ができないのではないか」と考えていたように思います。
しかし、「Be supporters!」を通じてその考えは大きく変わりました。サッカー観戦に熱中し、仲間と喜びを分かち合う高齢者の方々の姿から、たとえ身体に“負”があっても、人はワクワクしながら自分らしく生きられることを教えてもらいました。また、同じクラブを応援する仲間として施設の内外につながりが生まれる様子を見て、暮らす場所に関わらず社会との接点や役割を持ち続けることの大切さを実感しています。だからこそ私は、「応援すること」や「誰かの力になれること」が高齢者の生きがいや幸福につながる社会をつくりたいと考えています。

「Be supporters!」誕生の背景と、サントリーがめざす『人間の生命(いのち)の輝き』

サントリーグループは「『人間の生命の輝き』をめざす」という理念を掲げています。人生100年時代といわれる高齢化社会を迎える中で、健康食品等によって健やかな毎日をサポートするのにとどまらず、たとえ病気や認知機能の低下があったとしても、その人が心豊かに自分らしく生きることに会社として向き合う必要があると考えていました。

健康食品だけでは行き届かない方々に対して、サントリーウエルネスとしてもっとできることはないか。施設に入ったり、認知症の状態になったりしても、一人ひとりが輝くことをサポートする、“共生”にチャレンジできないかという思いから、2020年12月、富山県のわずか1つの施設から「Be supporters!」は産声を上げました。

異動後に「Be supporters!」に出会い、現場の体験から大きな可能性を感じたと語る名古路さん。当時は複雑な仕組みに驚きつつも、一人ひとりの変化に深く心を動かされたそうです。

活動を通して高齢者の心身が生き生きと変化する姿

私が担当として関わるようになってからも、全国の施設を訪ねる中で数々の忘れられない場面に出会ってきました。
外国人選手を応援するためにスペイン語の勉強を始める方。推し選手に会いたい一心で、神戸から鹿児島まで飛行機に乗って試合観戦に出かけた方。日頃のリハビリにはあまり気乗りしないものの、応援の手拍子やタオル回しの練習となると自然と腕が上がる方。スタジアムで選手に会うことを目標に、日々熱心にリハビリに励む姿など、挙げればきりがありません。
特に心に残っている出来事があります。神戸の複数の施設が合同で試合の応援会を行った際、認知症のある方が参加されました。普段は少し前の出来事も思い出すのが難しい方だったのですが、翌日、施設職員の方に「昨日はみんなで応援したね。旗を振って楽しかった」と話されたのです。職員の方もご家族も大変驚かれ、「認知症になっても思い出は作れる。その場が楽しければそれでいいと決めつけてはいけないのだと気付かされた」とお話ししてくださいました。感情の動きや誰かと熱狂を共有した体験は、確かな記憶として心に残るのだと教えていただいた瞬間でした。

施設内では定期的にクラブカラーのユニフォームを着用し、それぞれの推しグッズを手にテレビの前に集まって試合観戦を楽しんでいます

こうした変化の波紋は、ご家族や介護現場の方々にも広がっています。ある参加者のご家族からは「母も私も素敵な思い出がたくさんできました。何もしていなかったら、2年前には弱って何もできなくなっていたと思います。」という言葉をいただきました。

また、施設の職員さん同士や高齢者の方との間で「今のクラブの順位」や「次の試合」といった共通の話題が増え、施設全体が明るくなったという声も届いています。さらに、スタジアムへ高齢者の方をお連れする活動に関わった介護実習生が「介護にはこんな広がりや可能性があるんだ」と感銘を受け、そのままその施設への入社を決めたという話を聞いたときは、この取り組みが介護に関わる方々にとっても仕事のやりがいを再発見するきっかけになっているのだと実感しました。

推しの選手からサプライズでサイン入りボールを受け取る「Be supporters!」参加者の方。スタジアム観戦を目標に過ごし、この日4年ぶりの外出を果たしました

前例がない取り組みを支える「やってみなはれ」や「利益三分主義」の精神

もちろん、前例のない試みだけに、ここまでの歩みは決して容易ではありませんでした。立ち上げ当初、施設へ活動のご案内をしても「高齢者の皆さんは野球や相撲の方が好きで、サッカーなんて興味を示さないと思う」と難色を示されることが多くありました。また、介護現場は人手不足や日々の業務で多忙を極めているため、負担をかけずにいかに持続可能な形で取り組んでいただくかという課題にも直面しました。

そうした壁を乗り越える原動力となったのは、富山の1施設で生まれた小さな変化の積み重ねでした。高齢者の方々が見せた生き生きとした表情や言葉を映像や事例として伝えることで、「うちでもやってみたい」と言ってくださる施設が少しずつ増えていったのです。

社内でも、成果の見えづらさや継続・拡大の方法について議論が重ねられましたが、現場の小さな変化を信じて進めてきたことが、乗り越える力になったと思います。

短期的な収益のみを求めるのではなく、「いくつになっても、どんな状態になっても、誰かを応援し社会と繋がることでその人らしく生きられる」という新しい価値観を社会に問いかけていく。そこにはサントリーに脈々と根付く「やってみなはれ」や「利益三分主義」の精神があったからこそ、富山の1施設から始まった草の根の活動が、全国約250施設、延べ1万5千人(2025年末時点)が参加する規模へと育っていったのだと感じています。

「『やってみなはれ』と『利益三分主義』の考え方が根付いているからこそ、ここまで継続し、拡大ができた活動です」。前例のない挑戦の中で、現場で生まれる小さな変化を信じ続けてきたと語ってくださいました。

科学が明かす「推し活」の力

「Be supporters!」は年間を通して、主に3つの活動をしています。1つ目は、施設内でサッカーの試合観戦やグッズ制作を通じて推しのクラブ・選手を応援する「応援プログラム」。2つ目は、全国の施設から集めた高齢者による熱い応援エールを大きな横断幕にしてスタジアムにお披露目する「人生の先輩からのエール企画」。そして3つ目が、活動を通じて生まれた心揺さぶる物語を施設職員の方々から応募いただき、表彰する「人生100年時代の物語大賞」です。

活動を続ける中で、高齢者の方の表情や行動、施設内の会話に確かな変化が生まれている実感がありました。ただ、その変化を単なる「心温まる良い話」で終わらせるのではなく、応援活動が人の心や行動、人とのつながりにどのような影響を与えているのかを客観的に裏付けたいと考えました。

そこで2023年からは、サントリーウエルネス生命科学研究所が京都大学や大阪公立大学などの研究機関と共同で、「Be supporters!」に参加する高齢者施設を対象にした研究を行いました。これまでの研究成果では、参加高齢者の「推し活度」(「推し活」にどれくらい熱中しているかを測る、本研究のために独自に作成した指標)と「生きがい」が連動して変化するという特徴的な様子が確認されました。また、高齢者だけではなく、施設職員の「生きがい」にも好影響を与えている可能性が示唆され、学会でも発表しました。

地元Jリーグクラブの“推し活”を一緒に楽しむ「Be supporters!」参加施設の介護職員と利用者さん

誰もが年齢を重ねることを前向きに思える社会へ

「Be supporters!」は5年目を迎え、大きな手応えを感じる一方で、まだまだ道半ばだと感じています。現場では素晴らしい変化が生まれていますが、これまでは熱意ある施設やスタッフの皆様の力に支えられてきた部分も大きいため、どの地域・どの施設でも無理なく続けられる仕組みにしていくことが今後の課題です。
そのためにも大手介護事業者との連携や、自治体・企業・地域団体との協働を通じて、高齢者の方がクラブや地域を応援し、その応援がまちの活力にもつながるモデルをつくっていきたいと考えています。

私たちは人生100年時代の今、いつまで健康でいられるかという「健康寿命」だけではなく、幸せを感じることができる期間である「幸福寿命」も大切な価値観と考えています。高齢化社会をネガティブなイメージで捉えるのではなく、年齢を重ねた方々の経験や言葉、応援する力そのものが、その方々自身が“幸せ”を感じるきっかけとなるとともに、地域や社会を元気にする原動力になっていく。「Be supporters!」をその最先端の事例として育てていきたいと思います。

「Be supporters!」の活動を通じて生まれた心揺さぶる物語を表彰する「人生100年時代の物語大賞」にて

「Be supporters!」 記録映像 2022 ダイジェスト版

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