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写真:芥川也寸志

「芥川也寸志サントリー作曲賞」は、戦後の日本を代表する作曲家、芥川也寸志(1925〜89)の功績を記念して創設されました。本公演では第29回の受賞作曲家・稲森安太己の新作世界初演と、今年の候補作品の演奏および公開審査を行います。明日を担う日本人作曲家の登竜門であり、まさに日本の「音楽の現在(いま)」を体感できるチャンスです。

第31回 芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会

第31回
芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会

8/28(土) 
15:00開演(14:20開場)大ホール

*有料オンライン(ライブ)配信詳細はこちら

第29回
芥川也寸志サントリー作曲賞受賞記念
サントリー芸術財団委嘱作品

  • 稲森安太己(1978 ~ )
    『ヒュポムネーマタ』ピアノとオーケストラのための(2020~21)世界初演
  • ピアノ:椎野伸一

【受賞記念委嘱新作について】
『ヒュポムネーマタ』は、私が東京学芸大学在学中にお世話になったピアニストの椎野伸一先生のピアニズムに触発されて作曲されました。ピアノが最初の音を発するまで、通常のピアノ協奏曲では考えられない長い時間を管弦楽だけが演奏します。物々しく展開する全合奏を制してピアノは最初に何を弾くのか、またピアノの初打の後、散乱した音楽を引き受けてピアノはどう展開するのか。ピアノの高貴な存在感に浸ることを願って作曲しました。

稲森安太己

第31回芥川也寸志サントリー作曲賞
候補作品

※曲順が下記の通り決定しました。

  • 杉山洋一(1969~ ):『自画像』オーケストラのための(2020)

【作品の特徴】
時間表現に於ける音楽という媒体と、オーケストラという演奏家集団と自分の関わり。1969年から2020年までの世界の紛争地域の国歌を並べると、現在すっかり病魔に侵食された、地球の姿が浮び上がる。

  • 原島拓也(1993~ ):『寄せ木ファッション』琵琶とオーケストラのための (2020)
  • 琵琶:原島拓也

【作品の特徴】
大正ロマン!

  • 桑原ゆう(1984~ ):『タイム・アビス』17人の奏者による2群のアンサンブルのための(2019~20)日本初演

【作品の特徴】
奏者の内的時間を揺さぶる、テンポとリズムの仕掛けにより定義された、三種の時間フィールド「入れ子の時間」「ねじれの時間」「傾斜する時間」は、個々に円環状に存在する。そのあいだを振幅しつつ形式を見出そうとした作品。

  • 指揮: 杉山洋一
  • 新日本フィルハーモニー交響楽団
  • 候補作品演奏の後、公開選考会(司会:沼野雄司)

選考委員(50音順):
近藤 譲、坂田直樹、原田敬子

協力:
(一社)日本作曲家協議会/
(一社)日本音楽著作権協会/
(特非)日本現代音楽協会

候補作品応援企画 非公式開催!

SFA総選挙
~あなたの清き、耳の一票を

恒例となった、聴衆による投票「SFA(S=サマー、F=フェスティバル、A=芥川)総選挙」を、今年も行います。

この選考演奏会を会場で聴いて、気に入った曲に投票してください。
観客による総選挙の結果は、作曲賞決定後に発表します。
写真は昨年の総選挙の結果。公演当日にロビーで掲示します。

■料金

  • 指定席 
    前売一般 2,000円/学生 1,000円
    当日窓口一般 2,500円/学生 1,500円
サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行発売: 5月11日(火)11:00〜17日(月)
一般発売: 5月18日(火)11:00〜

※先行期間中は窓口での販売はございません。

※5月17日(月)は休館日のため、電話での販売は休止、WEBのみでお買い求めいただけます。

※学生券はサントリーホールチケットセンター(WEB・電話・窓口)のみ取り扱い。25歳以下、来場時に学生証提示要。お一人様1枚限り。

サマーフェスティバル全公演セット券 20,000円

5月11日(火)11:00~ 一般発売開始
チケット取り扱い: サントリーホールチケットセンター(電話・窓口)のみ

※限定50セット

※大ホールS席/ブルーローズ(小ホール)前方中央寄りの良席。

※1回のお申込みにつき1セットまで。

有料オンライン(ライブ)
配信決定!

有料オンライン(ライブ)配信
「第31回芥川也寸志サントリー作曲賞
選考演奏会」 視聴券 1,000円

一般発売 : 7月30日(金)10:00~8月28日(土)
開演1時間後16:00まで
視聴期間 : 8月28日(土)15:00~終演まで
チケット取り扱い : デジタルサントリーホールサントリーホール・メンバーズ・クラブWEBチケットぴあ

※ご購入にはいずれも会員登録が必要です。
(登録は無料)

※公演途中から視聴した場合はその時点からのライブ配信となります。巻き戻しての再生はできません。

※リピート配信はございません。

作曲家プロフィール

※下線つきの氏名をクリックすると、
プロフィールがご覧いただけます。

第29回芥川也寸志サントリー作曲賞受賞

Heinz Wernecke稲森安太己

第31回芥川也寸志サントリー作曲賞候補

桑原ゆう
山之上雅信杉山洋一
原島拓也

出演者プロフィール

※下線つきの氏名・団体名をクリックすると、
プロフィールがご覧いただけます。

候補作品作曲家 メッセージ〜
「候補作品作曲家に聞く
素朴な質問」

質問1)
候補作品を作曲することになった経緯と聴きどころを教えてください。
質問2)
あなたにとって最も影響を受けた、あるいはお気に入りの「音楽作品」、「作曲家」、「演奏家」は何、もしくはどなたですか?その理由もあわせてお聞かせください。

桑原ゆう

質問1)
『タイム・アビス』は、インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミーの委嘱により、アンサンブル・モデルン国際作曲セミナー2020の一環として、Cresc…現代音楽ビエンナーレのために作曲しました。ビエンナーレのテーマが「ヒューマン_マシン」だったため、奏者の音楽的時間感覚を揺さぶる装置としての音楽を書くことを考えました。三種の時間フィールドを行き来する構造、音楽全体をつかさどる指揮者の働きが、聴きどころかと思います。
質問2)
影響を受けた作品、作曲家は数知れませんが、能との出会いは衝撃的でした。それまで、自分の現在地がわからないまま、漠然と作曲していた私に、奥底でほんとうに求めているのはこういう音楽だと気づかせてくれました。また、声明に長く関わってきた経験に創作観を鍛えられ、現在の私の音楽があることも間違いありません。大学入学の際、師匠の佐藤眞先生が、本に添えてくださった短い手紙に「読書とは自分を読むことです。作曲とは自分を聴くことです。」という一節がありました。当時は実感としてよくわからなかった、その言葉の意味を、いま、身にしみて感じています。

杉山洋一

山之上雅信
質問1)
一柳慧さんよりご紹介いただき、サントリーホールより委嘱をいただいたのが作曲の切っ掛けです。特に際立って聴いてほしい部分はありませんが、聴き手のみなさんが、それぞれ演奏を通して何かを感じたり、考えたりしていただければ幸いです。
質問2)

お気に入りの「音楽作品」
ジョン・ケージ自演による『Imaginary landscape no.1』『Fontana Mix』、高橋悠治『ローザスII』『たまをぎ』、ヤニス・クセナキス『Jonchaies』 子供のころから今まで、一番沢山聴いたと思しき作品をあげてみました。
小学生高学年のころは、朝から晩まで家のレコードを色々といじっては、素朴なテープ音楽を作っていました。

「作曲家」
三善晃、高橋悠治、フランコ・ドナトーニ、ニコロ・カスティリオーニ
三善晃、ドナトーニのお二人からは、直接音楽を学ぶ機会をいただいたので、自分にとって現在も影響は顕著だと思います。カスティリオーニ、高橋悠治の音楽にも、長年憧れを抱いてきましたし、明らかに影響はあると思います。

「演奏家」
指揮者では特にフェレンツ・フリッチャイの演奏が好きで、影響も受けていると思います。同じように、自分が教わったエミリオ・ポマリコの演奏、音楽観にも、大きく影響をうけていると思います。
家人の師匠だったピアニストのブルーノ・メッツェーナの音楽の影響は、今もとても大きいと思います。

原島拓也

質問1)
候補作品『寄せ木ファッション』は、第89回日本音楽コンクール作曲部門に挑戦したくて描きました。琵琶と邦打楽器群の醸し出す上品な東洋的テクスチュアと、オーケストラの時折和声的に、時折旋法的に反復する西洋的テクスチュアが、いわゆる「静」と「動」に分裂する訳でもなく、いわゆるジャポニズムとして融合する訳でもなく、琵琶の華やぐ弾法によって縫い合わされて程良く共存する音楽を、楽しんで聴いて頂けたら嬉しいです。
質問2)
私は元々、クラシック畑の人間ではありません。私が今も尚、音楽と共に生きている上で、重要な軸になっている「音楽作品」は、永遠の憧れであるミュージシャン、中島みゆきさんの言葉の実験劇場「夜会」シリーズです。創作にも表現にも携わるというスタイルが、私を作曲家と表現者の抱き合わせの存在にするよすがになったことは間違いありません。いつか「夜会」のように素敵な音楽が散りばめられた舞台芸術、「琵琶オペラ」とでも呼んでおきましょうか、開拓したいです!