連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2021年2月10日 2020年産ワインのアッサンブラージュ

シャトー ラグランジュの桜井楽生です。

ボルドーのシャトーで働いている私たちにとって、非常にエキサイティングな季節が年に3度あります! @9月から始まる収穫・醸造、Aちょうど今の時期に行うアッサンブラージュ、そして、B春のプリムールキャンペーン(前年収穫されて出来たばかりの樽熟成中のワインの試飲・販売)です。
今日は、この中のAアッサンブラージュについて書こうと思います。

昨年10月の収穫終了後、無事にアルコール発酵を終えた2020年産赤ワインは全て樽に移され、「樽熟成」の工程に入りました。私たちのファーストワイン「シャトー ラグランジュ」は約20カ月、そしてセカンドワインの「レ フィエフ ド ラグランジュ」は約13カ月の樽熟成を経て瓶詰めされます。

伝統的なボルドーのシャトーでは、ワインが樽に入ってまだ間もない年末から翌年春までの間に、「アッサンブラージュ(Assemblage)」と呼ぶブレンド作業を行います。この ≪Assemblage≫というフランス語は、「組み立て」や「集合」を意味しており、ワイン業界では「別々に醸造された原酒をブレンドして、一つのワインをつくり上げる作業」のことを指します。

2020年のシャトー ラグランジュとレ フィエフ ド ラグランジュのブレンドの配合を決めるため、私たちはワイン原酒のテイスティングとブレンドテストを繰り返しました。(写真1、2)

シャトー ラグランジュでは、シャトーを取り囲む118haの畑を103の小区画に分けて管理しており、使用可能な醗酵用タンクの数は100を超えます。つまり、年によって、ばらつきはありますが、アッサンブラージュ前には100種類近いワイン原酒があるわけです。私たちはこれらのワイン原酒を、まずは個別に注意深くテイスティングします。

一つひとつのワイン原酒に個性があります。アッサンブラージュというのは、単独でみたときに評価の高かったワインを単に足し合わせるだけの作業ではありません。それぞれのワイン原酒の個性を見極め、記憶し、頭の中で個性と個性のかけあわせを想像し、それを実際に試してみる作業なのです。想像以上にうまくいく時も、想像に反してうまくいかない時もあります。それを繰り返し、最後にはその年の最高のハーモニーを見いだすのです。
ハーモニーが生まれる瞬間は、口中で1+1が2や3のレベルではなく、一気に10にもなる非常にエキサイティングな感覚なのです。1983年にサントリーが経営権取得以降、確実に積み重ねてきた知見を活かしつつ、5人のエノログの創造性が問われ、そして発揮される、最も重要な作業の一つです。

1月19日、2020年産ワインのアッサンブラージュテイスティングが終了しました。現在、樽熟成庫では、一旦樽からワインを出し、タンクでテイスティングの時に決めた配合になるようにブレンドし、再び樽へ戻す作業が粛々と進んでいます。(写真3、4)
2020年のシャトーラグランジュ、そして、レ フィエフ ド ラグランジュ共に、自信をもって送りだせる非常に良いものができました。春のプリムールキャンペーンにて、世界中のワインのバイヤーや輸入業者の方々に披露できる日を楽しみにしています。

シャトー ラグランジュのインスタグラムでも、アッサンブラージュの様子を載せていますので、ぜひご覧ください。

▼シャトー ラグランジュのインスタグラムはこちら
https://www.instagram.com/chateaulagrange/

写真1:テイスティングはエノログ資格を持つ5人で行います。
写真1:テイスティングはエノログ資格を持つ5人で行います。
写真2:最後は1%以下の調整が続きます。
写真2:最後は1%以下の調整が続きます。
写真3:配合が決まると樽からワインが取り出されます。
写真3:配合が決まると樽からワインが取り出されます。
写真4:静かな醸造棟ではワインがブレンドされています。
写真4:静かな醸造棟ではワインがブレンドされています。
シャトー ラグランジュ
桜井楽生(さくらいらくさ)

登美の丘ワイナリー醸造責任者(2009〜2012)、ボルドー大学研究員(2012〜2015)、ワイン生産研究本部課長を経て、2020年よりシャトー ラグランジュCSO。ワイン醸造技術管理士(エノログ)

 
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