連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2008年6月26日

気温、降水量ともほぼ平年並みとなった4月に続き、5月は気温こそ平年を2℃近く上回ったものの、降水量は平年の2倍と雨の多い月となりました。月間で雨の日は17日もあり、日照時間は平年の10%減。これによりぶどうの生育にもブレーキがかかり、開花は例年より若干遅れる見通しです。特に5月末にはボルドー地方のはずれにあるカスティヨンで集中豪雨による床上浸水などの被害が見られ、荒れ模様となりました。例年の爽やかで晴れ渡る気候に早く戻ることが期待される今日この頃です。

そんな気候に合わせるかのように、ヴィンテージ2007プリマーも静かな進行となっています。当初VINEXPO香港の前にプリマー販売の山場が来ると見られていたのですが、まわりの状況を窺うシャトーが多く、本格的な開始はVIEXPO終了後の6月以降となりました。しかしラグランジュはひと足早く5月15日に開始し、希望数量を即日完売することが出来ました。前号でご報告させていただいたようにヴィンテージのイメージに疑問符のついた難しいプリマーでしたが、スムーズに完売出来たのは、ラグランジュというブランドへの皆さまの信頼があっての事ですので、大変有難い事だと思います。

今日は、5月27〜29日の3日間、香港で行われたVINEXPOについてレポートいたします。香港でのVINEXPOは、1998年、2006年に次ぐ3回目の開催で、私自身はアジアでのVINEXPOに参加するのは2000年の東京開催に次いで2回目となります。香港は、アジアで日本に次ぐ成熟したワイン市場として欧州では知られてきていますが、私が今回参加して感じたことは、『成熟』というイメージよりはむしろワインに対する『熱気』でした。今年よりワインの関税が撤廃されたというバックアップが大きく影響していることは間違いありません。近い将来、中国市場へのゲートウエイとしての更なる市場拡大の好機を迎えていることが、その熱気に如実に表れていました。また、VINEXPO後に立ち寄った上海では、あれほどの熱気を感じた香港がおとなしく見えるほどの更なるダイナミズムを目の当たりにし、アジアの将来性には改めて驚かされました。近年、ラグランジュへのアジアからの訪問者数も増加の一途なのですが、その背景を垣間見た気がします。

この熱気溢れるVINEXPO香港で、ラグランジュはドイツの銘醸、ロバート・ヴァイル醸造所との共同試飲会を企画しました。顧客の異なるボルドーシャトーとドイツの醸造所が共同で試飲会を行うのは珍しいことです。そのため今回どんな反応が得られるのかと興味津々だったのですが、香港、台湾、韓国などから参加した50名強のジャーナリストやインポーター(ワイン輸入業者)の方々からは、非常に好意的な反響を頂くことが出来ました。タイトルは”Duo d’ Elegance”。日本語なら『エレガンスの競演』という感じでしょうか。繊細なフィネスを特長とするリースリングの中でも抜きん出たエレガンスを有するロバート・ヴァイルと、ボルドーグランクリュの中でその果実味と繊細さを特長とするラグランジュには、日本人をオーナーとするからこその共通項があると思います。その共通項こそが、私たちの提供できる最大の価値でもあるのです。こういった企画を偏見なく受け入れてくれる市場では、今後もさまざまな企画を考えていきたいと思っています。

ルネッサンスホテルでの試飲会で熱くワインを語るラグランジュのエイナール社長
ルネッサンスホテルでの試飲会で熱くワインを語るラグランジュのエイナール社長
リースリングのフィネスを語るロバート・ヴァイルのヴァイル社長。
リースリングのフィネスを語るロバート・ヴァイルのヴァイル社長。
コマンダリー デュ ボンタン主催の晩餐会ではラグランジュのレイモン製造技師長がワインサーヴの総指揮を取り、壇上でその功績への慰労の言葉を受けた。
コマンダリー デュ ボンタン主催の晩餐会ではラグランジュのレイモン製造技師長がワインサーヴの総指揮を取り、壇上でその功績への慰労の言葉を受けた。
ぶどう栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
連載トップへ戻るバックナンバー一覧へ