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商品開発
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  • #商品開発
  • #15-20年

泰松 暁Akira Taimatsu

  • サントリーウエルネス株式会社
  • 健康科学研究所 商品開発研究
  • CAREER STEP
  • 2004年入社

トータルウエルネスの実現に向けて
新たな健康食品の開発に挑む。

入社後、健康食品事業部の商品開発研究部に配属される。大学時代にダイエットや肥満に有効な成分を研究していたこともあり、自ら志願しダイエットの商品開発プロジェクトに参加。プロジェクトリーダーのサポート役として、配合の設計から品質保証まで多くのことを学ぶ。その後、「グルコサミン&コンドロイチン」の顆粒化の開発を担当すると同時に、複数商品のリニューアルを手掛ける。ここで、サプリメントごとに適切な形にする製剤技術を習得、自らの得意分野となる。入社6年目に結婚、その2年後、産休を取得し、第一子が誕生。復職後すぐに、「ロコモア」の商品開発を任される。現在、海外向け健康食品の開発に携わりながら、2人の子育てと仕事を両立させている。

ロコモティブシンドローム対策に向けた、
新サプリメントの開発。

食の科学的研究や品質管理技術を活かし、30年以上にも渡って健康・サイエンス分野の事業を展開するサントリー。1993年のゴマの健康食品「セサミン」の発売を皮切りに、新しい商品群「自然のちから」シリーズを発売し、「セサミンEX」や「グルコサミン&コンドロイチン」、「オメガエイド」、「黒酢にんにく」など数々のヒット商品を世に送り出してきた。2011年、国の健康づくり政策が叫ばれる中で、運動器の障害‐ロコモティブシンドロームが注目を集めた。サントリーではこれまでの数々の素材開発をもとに、いち早く、ロコモティブシンドロームに向けた新サプリメントの開発に着手。2013年、軟骨成分に筋肉成分をプラスした「ロコモア」を発売した。現在、高齢化が急速に進む中で、ロコモティブシンドロームという新たなサプリメント市場を切り開く起爆剤となった。

膝関節のケア商品が飽和する中で、
新たなケア商品の市場を開拓せよ!

ちょうど第一子が誕生し、産休明けで復職した2011年頃、国が高齢化対策の一環として健康づくり政策を掲げていました。なかでもロコモティブシンドロームという運動器官の障害が注目を集めていました。年齢とともに脚が老化し、骨や関節・筋肉が衰え、歩行に支障をきたすというものです。当社でも膝関節のケア商品市場が飽和状態にあり、新たなケア商品市場の開拓を迫られていました。
そこで立ち上げられたのが、脚全体のケアを目的とする新しいサプリメントの開発でした。復職後、いきなりこの商品開発プロジェクトのリーダーに抜擢され、正直不安に思いながらも、自分の産休前のキャリアを評価してくれたんだと、上司の想いに応えようと「やってみなはれ!」精神が沸きあがってきたことを覚えています。
私をリーダーに、事業部の商品企画担当者や成分の組み合わせを考える研究担当者などでプロジェクトがスタートしました。当社にはすでに「グルコサミン&コンドロイチン」という商品があり、それをどう進化させるかが課題の一つでした。医学的情報を収集する中で、脚の衰えには、軟骨だけではなく筋肉の老化が深く関係していることがわかり、軟骨成分に筋肉成分を組み合わせるというコンセプトができあがりました

これまでにない2つの成分を組み合わせ、
特許取得に挑む。

グルコサミンやコンドロイチンという軟骨成分に組み合わせる、筋肉の強化に効果のある成分の検討が始まりました。これまでサントリーが研究してきたさまざまな素材の中からイミダソールペプチドやビタミンDが効果のあることがわかり、何度もラボでの実験が繰り返されました。その過程で、やはりサントリーが開発研究を行ってきたケルセチン配糖体が、筋肉成分や軟骨成分の効果を高めることがわかり、当社ならではの組み合わせが実現しました。
それぞれの成分は決して新しい素材ではないのですが、それらを組み合わせることで、新たなサプリメントが誕生したわけです。先人たちの力と私たちメンバーの知恵が結集した結果だと思います。軟骨成分、筋肉成分それぞれの組み合わせ技術は、2つの特許取得につながりました。しかし、成分の配合が完成し、製剤工程に入る際に、大きな問題にぶつかりました。

ラボレベルから量産レベルへの製剤工程へ。
長い試行錯誤が続く。

「グルコサミン&コンドロイチン」は、1日の摂取量が6粒だったのですが、2つの成分を組み合わせた今回のサプリメントは、筋肉成分が加わったために、1日の摂取量が8粒になってしまいました。社内から、8粒は量が多く、飲む際に心理的な負担がかかるという指摘が出されました。サプリメントは継続して飲んでもらうことが非常に大切です。少しでも負担を感じれば、飲むことをやめてしまいます。ここから私の戦いが始まりました。製剤は私の得意分野です。どのような形状のサプリメントが飲みやすいか、どのような形状のサプリメントをつくるか、それが製剤という技術です。有効成分の含有量をそのままに8粒を6粒に減らすには、どうしたらいいか。試行錯誤が続きました。剤型には有効成分をひとつに凝固させるためにさまざまな添加剤が使われます。
その添加剤を抑えることで、全体の量を減らすことにしました。しかし、添加剤を抑えれば、今度は凝固する力が弱まってしまいます。この矛盾を解決することが、まさに私の技術的な挑戦でした。何とかこの問題をラボレベルではクリアしたものの、今度は量産する工場では、そのままの条件ではうまくいきません。工場や原料メーカーの協力を得ながら、やっと量産レベルでの製造に成功。プロジェクトがスタートして約2年、予定の開発スケジュールぎりぎりの達成でした。この時はメンバーみんなで拍手をしたことを覚えています。

次なるキャリアアップは、
健康食品のアジア市場への展開。

その後、プラセボ(成分を含まない錠剤を飲ませること)も含めたヒトの臨床実験で、プラセボより有意な効果が認められ、他社が追随できない商品を生み出すことができたと、メンバー一同、安堵の胸をなでおろしました。これも、あきらめずやりとげたチームの結束があったからこそだと思います。「ロコモア」という商品名も、メンバーが意見を出し合って付けました。まさに自分たちの手で生み出した商品でした。当社の健康食品における商品開発の強みは、自社で研究所を持ち、自ら有効素材を研究・開発できるところです。今回の商品開発も、自社で研究・開発してきたさまざまな素材があったからこそのものです。発売されて6年余り経ちますが、現在、売れ行き好調で、生産もフル稼働しています。
現在、私はもとの業務を離れ、台湾やタイなど海外向け健康食品の開発や品質保証活動を担当しています。私の主な仕事は、各国の法規制の情報を収集し、現地のニーズに応じた配合の開発や工場での製造条件を設定し、海外向け商品をつくることです。今、当社では台湾やタイをはじめとして、アジア市場での健康食品の展開に力を入れています。これまで培った知見と経験を活かし、アジア市場でもサントリーの健康食品を広めていきたいと思っています。
* 内容・社員の所属は取材当時のものです。

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