DX戦略
私はアンクル・トリス。
1958年の誕生以来サントリーの挑戦を見続けている。サントリーのことなら現役社員の誰よりも詳しいんだナ。
グローバルトップを目指すサントリーの「らしさ」が現れている戦略を、私が領域別に解説するゾ。
この項では、サントリーが考えるDXとは、新しい顧客価値を創造するための「手段」であることを知ってほしい。
アンクル・トリスとは?
1950年代、日本が戦後の経済復興で活況づく中、サラリーマンの一日の疲れを癒すオアシスとしてトリスバー・サントリーバーといった大衆バーが雨後のタケノコのように日本全国に出現しました。
バーの止まり木で一杯のウイスキーを楽しむ人々の心情を、等身大で語る存在として産まれたのが「アンクル・トリス」であり、当時寿屋に在籍していた柳原良平氏の筆によって誕生しました。若い頃からお酒と言えばウイスキー、「とりあえずハイボール」が口癖。小心者だが時々思いきったこともする。
どこか憎めない多くの人から愛されるキャラクターとして、1958年の登場以来トリスブランドの象徴としてTVCMや広告でサラリーマンの気分を代弁してきました。現在は、バーテンダー姿に装いを代えるものの、親しみやすいキャラクターはそのままに、トリスハイボールの魅力を伝える存在としてTVCM・広告に登場しています。
サントリーはこれまで、飲料や酒類、サプリメントなどを通じて人々の暮らしに「潤いや活力」をもたらしてきた。そしてモノづくりだけでなく、心に刺さるクリエイティブ、飲酒文化を創る飲み場、イベント・プロモーションなどを通じて付加価値を生み出し他社と差別化してきた。
しかし働き方の変化や急速なデジタル化、サステナビリティの要請、ECの拡大、D2Cの進展など、私たちを取り巻く環境とお客様の意識・行動は大きく変わり始めている。そのため今後は店頭中心・販売中心の思考から、お客様にとっての価値をどう高めるかを考える「顧客起点」の思考へのシフトが必要になってきたんだナ。
こうした流れの中、未来にわたってお客様に選ばれ続けるためには、モノづくりの現場や売り方におけるデジタル活用を進めて、これまでのやり方を磨き上げ深化させることが重要だ。
そこで不可欠になるのがDXである。デジタルやデータを活用することで、今までの商品だけでは実現できなかった、「新しい顧客価値」を提供できるようになるからだ。
つまりサントリーにおいてDXとは、お客様にとっての新しい価値を生み出すための「手段」なんだナ。
サントリーが考えるデジタル活用は、大きく分けて2つの要素があるゾ。
1つは、テクノロジーを活用する力。最新のソリューションによって、インフラ基盤やビジネスプロセス、顧客とのコミュニケーションを強化・革新することだ。
もう1つは、データを読み解く力。データからお客様や物事をより深く理解し、新しい発見・価値を生み出すことだ。
そしてデジタルを活用するにあたって、サントリーにはこれまで築いてきた強いアセットがあるゾ。それはモノづくりの力とコトづくりの力(宣伝クリエイティブ力/デザイン力/強力な営業力/幅広い顧客接点など)によるリアルのアセットであり、「やってみなはれ」「利益三分主義」といった創業以来のDNAである。
こうしたアセットを活かし、さらにお客様が日々の生活の中で感じている様々な課題を理解すること。この「リアルのアセット」と「お客様の理解」の2つを起点に、新しい驚きと価値を生み出し提供し続けていくことが、我々のやるべきDXであり、そこに「終わり」はないんだナ。
サントリーは2000年代初頭にはデジタル人材の育成に取り組んでいた。早い時点で、あらゆるデジタル戦略を成功に導く鍵は「デジタル人材の社内育成」であると考えていたんだナ。
そして2017年、グループのマーケティングコミュニケーション業務を横断支援するサントリーコミュニケーションズ設立を機に、社内育成の定型化を仕上げにかかった。現在は、社員が次々と実務担当者→コンサルタント→社内講師へとステップアップしては、後進を次代の社内講師に育成するという”エコサイクル”がすでに整っているゾ。「デジタル未経験でも、しっかりした人材育成の仕組みがあり成長できる」と、異動希望者も増加中だ。
いずれサントリーのビジネス全体を新しいデジタルマーケティング・モデルに切り替えていくのだとしたら、ビジネスの数だけデジタル人材が必要になる。すなわち、それを実現する要は人材の質と量だ。すでに専門部署以外の部門でのデジタル人材育成もスタート。オールサントリーのデジタルトランスフォーメーションは、いよいよ最終ステップへと歩を進めているゾ。
デジタル人材のスキルレベル
LEVEL
1
知識がある
(実務担当者)
LEVEL
2
使いこなせる
(コンサルタント)
LEVEL
3
人に教えられる
(社内講師)
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