インターンシップ2019 参加者の声
Internship 2019
梓の森工場
化学工学専攻 成瀬さん

食品会社、特にサントリーという会社に興味があり、インターンシップに参加できれば内部から知ることができると考えたからです。また、多様な商品を生み出し続け、水を守り活かすものづくりに取り組まれている社員の方々の中で、自分の専攻を活かせる場所があるか知りたいと思いました。インターンシップを通じて自分の目的と向上させるべきスキルを明確にして研究や就職活動に取り組むことができると考え応募しました。
ポンプによる送液後、中味欠減(配管やタンクに液体が残ることで生じる製造ロス)削減のため配管内を気体や液体で押し出します。ワイン押しでは酸化を防ぐため単価の高いN2ガスを使い、その圧力・時間は経験値を使用しています。このためワイン押しは他製品より高コストです。ワインの需要増に応じ製造量を増やすとN2使用量も増えます。ワイン押しのN2使用量削減のため、最適な圧力と時間を算出しコスト削減に取り組みました。
最適な圧力と時間の算出に必要な係数を得るのに苦労しました。ワインの密度や粘度などの物性値、各機器の圧力損失、配管長など多くの値が不明でした。
ワインの物性値や各機器のデータは製造工程の方々にうかがい、コーチャーに計算結果を確認していただきました。
足場の悪い中で天井を見上げ、入り組んだ配管の中から目的の配管をたどり継ぎ手やバルブの数を確認しました。配管長はセンサーの出力データから求めました。流量計と管断面積から流速を算出、データのみではワイン送液開始時刻と到着時刻が不明なため現場の社員の方々からヒアリングして必要な値を積み重ねていきました。パズルのピースをそろえていく充実した感覚に変わりました。
エンジニアとしての意識・視点をどう持つべきかを学びました。まず製造プロセス上N2押し工程の目的を理解したうえで課題に取り組めば、2週間という短期間でも目標が定まり解決の糸口につながると実感しました。また自分の関わる製品と他製品を比較すると製造過程の違いは何に由来するのか明確になり、経済的メリットをもたらすヒントを見つけ出せるきっかけになるとわかりました。
技師長から「前提から疑う」ことが大切だとうかがいました。今回はN2押しを前提に改善策を練りました。しかし、実験結果から最適な押し時間を求められたため、この時間を適用すれば酸化防止のためにN2を使用する必要がなくなり、より低価格の空気を利用できる可能性があります。また、費用対効果を考慮すれば押し工程自体が不要になるかもしれません。「1つの物事を多角的にとらえる」ことで多くの場面で利益を生み出せる可能性を見つけられるとわかりました。
実習前、エンジニアはデスクでシミュレーションや計算を行うイメージを持っていました。しかしインターンシップにより、サントリーは現場が第一で製造工程の人々とエンジニアがコミュニケーションを密にしていることがわかりました。煮詰まっても現場を目にしたら閃いたり、現場の人が教えてくれたりするケースが多くありました。一人で全てを理解することはできません。それぞれのプロと情報・意識を共有する重要性を学びました。
有名な製品を持ち、マスコミに頻繁に登場する会社でも実際に働いてみると発見がたくさんあります。これはインターンシップに参加しないとわかりません。サントリーの原動力となっている社員の方々から刺激を受ける毎日でした。今後、身につけるべきものを自覚できる良い機会ですし、2週間とは思えないほど充実した大きな達成感を得られます。今後の学生生活をより密度の濃いものにするためにもぜひ応募することをお勧めします。