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  • 環境・共生

Q 日本の鳥で、絶滅危惧種はどのくらいいるの?

目次

A 日本で記録がある鳥のうち、約15%が絶滅危惧種です。

日本で記録されている鳥類644種(※1)のうち、環境省が指定する絶滅危惧種は98種(※2)で約15%にあたります。644種には迷って日本にきた鳥も含まれるため、実際の割合はさらに高いと考えられます。そして日本の絶滅危惧種の約40%は島に生息する鳥です。島の鳥の多くは固有種で、もともと個体数が少なく、外来種による捕食や環境破壊などの影響を受けやすいため、とくに絶滅の危機にあるのです。また、各都道府県でも行政区分内に生息する生物について、専門家が評価したレッドリストを作成し、公表しています。
※1 日本鳥類目録改訂第8版(日本鳥学会2024)による
※2 下記図の【CR】絶滅危惧IA類、【EN】絶滅危惧IB類、【VU】絶滅危惧II類の合計

そもそも「絶滅危惧種」とはなにか

絶滅危惧種とは、数が大きく減ってしまい、このままでは将来は絶滅する恐れがあると判断された生き物のことです。世界では国際自然保護連合(IUCN)が、日本では環境省が専門家と話し合いながら種類を選定し、それぞれ絶滅の危険度を評価した「レッドリスト」を公表しています。環境省のレッドリストは絶滅危惧種の深刻度を下記図のようにランク分けしています。このリストは、およそ10年ごとに更新され、現在の最新版(鳥類)は2020年版です。

出典:環境省レッドリストのカテゴリー

【画像付き】日本の絶滅危惧種に指定されている鳥たち

日本で絶滅の危機にある鳥は、トキやコウノトリのような珍しい種をはじめ、かつては東京でも見られた身近な鳥の中にも、深刻な状況にある種がいます。ここでは、代表的な絶滅危惧種をいくつかご紹介します。

【日本で一度絶滅した鳥】トキ

湿地にすむ中型の水鳥です。1980から1981年にかけて、新潟県佐渡島に生き残っていた国内最後の5羽が捕獲され、日本での野生下では一度絶滅しました。その後、中国から貰い受けた鳥を人工的に増やして放鳥を続けたところ、現在では野外で定着し、子育てもするようになっています。

  • 繁殖期のトキ。頭から体半分が暗灰色の生殖羽になっています。

【日本最大のフクロウ】シマフクロウ

魚を主食とする日本最大のフクロウです。日本では北海道東部の原生林に、100つがいが生息すると考えられています。1940年代には札幌にも生息していた記録がありますが、巣穴ができる巨木を伐採したことや、川の開発によって食べ物の魚が減ったこと、さらに近年では交通事故が原因で数が激減しました。しかし、国による保護増殖事業などで現在では増加傾向にあります。

【沖縄だけに生息する飛べない鳥】ヤンバルクイナ

1981年に発見された森にすむクイナです。沖縄島北部の「やんばる」と呼ばれる地域の常緑照葉樹林にだけ生息しています。人が放した外来種のフイリマングースによって捕食され、一時は約700羽にまで激減。その後、マングース対策などの保全活動により、徐々に数が増えてきています。

【上空から飛び込み小魚を捕る】コアジサシ

白くてスマートな水鳥で、空中から水中へ飛び込んで小魚を捕らえます。海岸の砂浜や埋立地、川の中州などに大きな群れで繁殖し、かつては東京都心でもごく普通に姿が見られました。しかし、近年は河川改修によって川の氾濫が少なくなり、繁殖地として適した“草があまり生えない”河原や中州が減ったことなどが原因で数が大きく減り、現在は絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

【日本で最も危機的な鳥のひとつ】シマアオジ

日本に夏鳥として渡来するホオジロの仲間で、かつては北海道の草原や牧草地で普通に見られました。しかし1990年代以降急速に数が減り、2021年には確認地点が1カ所のみになるほど深刻な状況です。日本で最も危機的な鳥のひとつとされ、国外の越冬地での乱獲が主な原因と考えられています。

鳥たちが絶滅の危機に瀕している3つの理由

理由①:乱獲や開発などの人間活動

人間の影響は、絶滅危惧種が減少する最大の要因です。トキやコウノトリ、アホウドリは、かつての乱獲で大きく数を減らしました。さらに、干潟や湿地といった水鳥に欠かせない生息地の開発による消失も、鳥たちに深刻なダメージを与えています。

理由②:外来種

外来種とは、本来の生息地から人間の手で別の地域に運ばれた生き物のことです。こうした外来種が、もともといた生き物を捕食したり、住処や食べ物を奪ったりして生態系に影響を及ぼします。特に固有種の多い島では天敵がいない場合も多く、外来種の影響を強く受けます。

理由③:地球環境の変化

地球温暖化による気温上昇は、鳥たちの暮らしに深刻な影響を及ぼす恐れがあります。たとえば、高山にすむライチョウは、温暖化によってチョウゲンボウやニホンザルなどの捕食者が高山帯まで容易に上がって来られるようになり、捕食の危険にさらされています。

絶滅危惧種の鳥を守るためにできることは

鳥をそっと見守る。特に、鳥の子育て中の撮影は控える
絶滅危惧種の営巣を撮影しようとカメラマンが多く集まり、鳥が営巣を放棄した例があります。

ゴミを捨てない
特にテグス(釣り糸)は、鳥の脚や翼にからまりやすく、大ケガや命を落とすことがあります。

野鳥保護・保全活動を応援する
寄付やイベントへの参加、市民調査に協力する。

地球に優しい暮らしを実践する

サントリー世界愛鳥基金は、国内外の野鳥保護活動を応援しています。

公益信託「サントリー世界愛鳥基金」では、これまでアホウドリやトキ、シジュウカラガンなど、国内外の絶滅の危機にある鳥の保全活動を支援してきました。とくに、シジュウカラガンは、日本への渡りが一時途絶えていましたが、再び渡りが見られるまでに回復するなど、大きな成果が生まれています。しかしながら依然として多くの鳥が現在も絶滅の危機にあります。
「サントリー世界愛鳥基金」は、今後も国内外の野鳥保護活動を継続して応援していきます。

シジュウカラガン

監修監修 藤井幹
監修藤井幹

(公財)日本鳥類保護連盟 調査研究室 室長

鳥類保護・保全、調査・研究、愛鳥思想の普及啓発

ライター監修 柴田佳秀
ライター柴田佳秀

科学ジャーナリスト・サイエンスライター

自然番組のTVディレクターとして「生きもの地球紀行」などNHKの自然番組を多数制作。2005年からフリーランスとなり、図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組監修、バードウォチング講師などをおこなっている。 著作は「街・野山・水辺でみかける野鳥図鑑」(日本文芸社)、「あした出会える野鳥100」(山と溪谷社)など。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。

トキ/コウノトリ/シマフクロウ/ヤンバルクイナ/コアジサシ/シマアオジ/アホウドリ/ライチョウ/チョウゲンボウ/シジュウカラガン

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