連載

ワイナリー便り:シャトーラグランジュ便り
2006年12月20日

平年より平均気温で3度も高い11月の余韻が残り、12月に入っても日中は15度前後に上がることがあるという異常な師走を迎えています。気象台の報告では1947年以来の暖かい秋〜初冬とのことでした。ようやく15日過ぎより寒波が訪れたボルドーですが、この気候が幸いしたのか、今年のマロラクティック醗酵は大変順調に進みました。

外はイルミネーションが街中に溢れ、巷では既にクリスマスモードですが、シャトーではゆっくり感傷に浸る暇もなく、2006ヴィンテージのアサンブラージュ作業が12/12に始まっています。 2005ヴィンテージでは高いアルコール度数の影響で醗酵・マロラクティック醗酵ともゆっくり進んだこともあり、今年の開始時期は昨年より2週間ほど早いスタートとなりました。作業はこれから一週間ごとに3-4回繰り返され、最終的に1月中旬にブレンド配合が確定します。

私のアサンブラージュへの参加は、2004年の着任以来、これで3回目となります。涼しい夏をベースにクラシックなスタイルに仕上がった2004ヴィンテージ、世紀のミレジムとなった2005ヴィンテージ、そして今年は…。一回目のアサンブラージュでは、各品種の畑ごと&樹齢ごとで約50に区分けされたサンプルを試飲し、シャトーものへ使うロットと、フィエフ用に使うロットとに区分けしていきます。このベースとなる骨格を固める作業により、大枠でのミレジムでの特徴が見えてきます。二回目以降は、このベースに磨きをかけていく作業となります。すなわち樽での熟成後に最も調和が取れるであろうブレンドをイメージしながら様々なロットの追加を検討し、所謂『入念な仕上げ』を行っていきます。

気になる大枠での今ミレジムの特徴ですが、一言で言えば、タンニンの質が非常に固いクラシックな年、となりそうな感じです。

タンニン自体は良く熟していますのでポテンシャルは十分あるのですが、シャープな酸も影響し、開くのには時間を要する、長期熟成向きのクラシックな年と言えるかもしれません。比肩する年としては、1986年のタンニンの質に非常に似ているという意見、2004年に厚みを加えた年という意見など、テイスターによって様々でしたが、スタイルがクラシックという点では共通の認識でした。

アサンブラージュもまだ緒についたばかりですので、皆様が先入観を持つことのないよう今日はここまでの報告とし、今後の作業進捗に併せ追加のご報告をさせていただきます。

さて今日は、ワインとはまったく関係ありませんが、変わった写真をお見せしましょう。
フランス語ではColoquinte(コロカント)と言いますが、一般的にはコロシントと呼ばれるウリ科の蔓性多年草です。熱帯アジア、アフリカ原産で地中海沿岸でも長く栽培されてきたようです。主に鑑賞用で、味は苦く乾燥したものは緩下剤として利用されるそうです。

これはシャトー ラグランジュの管理人でしかも腕の良い料理人でもあるコンボー氏が、過日ボルドーで催された、昔ながらの野菜品種の展示会で入手してきたものです。原産地呼称制度がきっちりしているフランスにあっても、作付面積が減り、消え行く運命の野菜は数多くあるようです。また、まさか農業国のフランスで?という信じられない話ですが、野菜の種類や姿を連想できない子供が増えていることが社会問題となりつつあるため、各自治体の主催で、昔ながらの野菜の栽培・展示が定期的に行われているとの事でした。

大きさ・形・固さともかぼちゃそのものですが、上半分はオレンジ色、下半分はグリーンでまったく異なる実のように見えます。家に飾っておいたら、遊びに来た小学生の息子の友達が、『日本のかぼちゃはどんぐりみたいで変わっているね』といって興味深そうに眺めていました(笑)。部屋の観賞用として、今年のクリスマスを彩ってくれそうです。

2006ヴィンテージのアサンブラージュ作業。
2006ヴィンテージのアサンブラージュ作業。
コロカントの実(上から)
コロカントの実(上から)
コロカントの実(裏返し)
コロカントの実(裏返し)
ぶどう栽培研究室、ガイゼンハイム大学留学、ロバート・ヴァイル醸造所勤務、ワイン研究室、原料部、ワイン生産部課長を経て、2004年6月よりシャトー ラグランジュ副社長。2005年3月より同シャトー副会長。  
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