サントリーホール Presents
伊集院光と行く! 奥深~いオルガンの世界 トーク&コンサート 第3回
1967年⽣まれ。84年に三遊亭楽太郎(六代⽬三遊亭円楽)に弟⼦⼊りし、落語家・三遊亭楽⼤として活動。87年ごろから伊集院光としてタレント活動をはじめ、ラジオ番組のパーソナリティとして人気を博す。「Qさま!!」(テレビ朝日)、「100分de名著」(NHK Eテレ)などに出演し、幅広く活躍。『のはなし』(宝島社)、『名著の話 芭蕉も僕も盛っている』(KADOKAWA)などの本も出版している。
東京藝術大学、同大学院修了。サン゠モール音楽院(仏)修了。マルシャル゠リテーズ国際オルガンコンクール入賞。所沢市民文化センターミューズ第4代ホールオルガニスト(2020年4月~25年3月)、国際基督教大学オルガニスト、明治学院オルガニスト。
フランス・ロマン派のオルガン音楽において、ヴィエルヌの作品はもっとも重要なレパートリーと言え、代表作として『6つのオルガン交響曲』と『24の幻想曲集』が挙げられます。『24の幻想曲集』は、6曲ずつからなる4つの組曲で構成されていて、本日は第2組曲 作品53を全曲演奏いたします。“幻想曲集”というタイトルがつけられたのは、ヴィエルヌがとても尊敬し、“最も偉大な音楽家”と思っていたロベルト・シューマンのピアノ作品『幻想曲集』作品12からだと言われています。シューマンの『幻想曲集』と同じように、ヴィエルヌも“人間”に関することや“自然”に関することを多くテーマに取り入れています。
例えば1曲目の「ラメント」は人間の感情、3曲目「鬼火」や4曲目「月の光」は自然現象からインスピレーションを得ています。そのほか、「シシリエンヌ」や「トッカータ」は伝統的な音楽の形式を使った曲です。
●前半3曲について
「ラメント」はタイトルの通り、嘆きや哀しみを表現した作品で、悲しく問いかけるような3度のモチーフで始まります。全体を通して半音階的な構造となっていて、終始哀愁を帯びた性格を保っています。
2曲目の「シシリエンヌ」は、“シチリア風の”という意味の舞曲のスタイルで、8分の6拍子、舟歌のように揺れる付点のリズムが特徴的です。ロンド形式(同じ旋律が、異なる旋律を挟んで繰り返される形式)で構成されています。とても美しいソロのメロディーが右手によってオーボエの音色で弾かれ、左手のアルペジオ(分散和音)とペダルが伴奏となっています。それから対照的な、半音階を使ったセクションがフルートの音色で弾かれます。そして終わりに冒頭と同じメロディーが再び登場しますが、伴奏の左手が今度は16分音符の3連符で、より細かく流れるように作られています。
3曲目の「太陽への賛歌」は、オルガン全体を駆使するような、とても力強く輝かしい作品です。始まりとは対照的な、教会で歌われる聖歌を思わせるような中間部を挟み、再び冒頭のテーマが出てきますが、そのメロディーはペダルで演奏され、壮大に終わります。
●後半3曲について
4曲目「鬼火」と5曲目「月の光」は、まさに印象派の絵画を音で表したような作品です。
「鬼火」は、自然現象からインスピレーションを受けた作品です。同じタイトルで、リスト作曲のピアノ作品『超絶技巧練習曲集』の「鬼火」という作品をご存知の方もいらっしゃると思います。ヴィエルヌは、まさに“鬼火”の不思議な、怪しい雰囲気を完璧にオルガンで表現していて、急速な変化や、多様な音型、アーティキュレーション(音の区切り方)を駆使しています。
「月の光」は、多くの作曲家が題材としているもので、ドビュッシーのピアノ作品が一番有名でしょうか。ヴィエルヌの「月の光」では、“フルート・アーモニック”という、とても優美な音色でソロのメロディーが、弦楽器の音色の伴奏の上で弾かれます。短い移行部を挟んで、新たなソロのメロディーがペダルで弾かれ、続いて右手でそのメロディーが弾かれるときは、伴奏のペダルは二重になっていて、つまり、ずっと両足を使って2つの音を重ねて弾いていくことになります。最後は、冒頭のメロディーが戻ってきて、静かに曲を終わります。
6曲目、最後の曲は「トッカータ」というタイトルですが、ヴィエルヌが自分の作品の中でこのタイトルをつけた唯一の作品です。非常に技巧的な作品で、変ロ短調(フラットを5個もつ調性)で書かれています。止まることのない激しい16分音符が常に緊張感を高める劇的な作品です。中間部は少し陰鬱な雰囲気で、旋律的なソロがペダルに置かれています。巨大なオーケストラの全員が演奏しているような、壮大な音色での燃えるようなトッカータでコンサートを終わります。
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