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世界の第一線で注目される作曲家に焦点を当て、作品を紹介します。サントリーホール開館当時に武満徹(1930〜96)が提唱した「ホールが創造空間となる」ことを目指し、毎年管弦楽作品を委嘱し、世界初演を行います。48作品目の作品となる今回は、ルカ・フランチェスコーニを迎えます。器楽から管弦楽、オペラ、電子音響まで縦横に創作するフランチェスコーニは、バークリー音楽大学でジャズを専攻後、シュトックハウゼンとベリオに学び前衛へ踏み込んだ異才。緻密な設計と多文化のインスピレーションがフュージョンする独自の世界観を多角的に紹介します。
8/29
(土)
18:00開演
(17:20開場)
大ホール
当公演は、初代監修を務めた武満徹の意向を受け継ぎ、下記のコンセプトで構成されています。
| サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行発売: | 5月12日(火)10:00〜14日(木) |
|---|---|
| 一般発売: | 5月15日(金)10:00〜 |
※先行期間中は窓口での販売はございません。
8/23
(日)
15:00開演
(14:30開場)
ブルーローズ(小ホール)
| サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行発売: | 5月12日(火)10:00〜14日(木) |
|---|---|
| 一般発売: | 5月15日(金)10:00〜 |
※先行期間中は窓口での販売はございません。
8/25
(火)
19:00開演
(18:30開場)
ブルーローズ(小ホール)
公募した採用作品を実演、フランチェスコーニ自ら作品を解析する特別なワークショップです。
[Part 1] Luca Francesconi×Toshio Hosokawa Talk Session
[Part 2] Call for Scores
| サントリーホール・メンバーズ・クラブ先行発売: | 5月12日(火)10:00〜14日(木) |
|---|---|
| 一般発売: | 5月15日(金)10:00〜 |
※先行期間中は窓口での販売はございません。
ルカ・フランチェスコーニは、傑出した筆力で一音一音に生命力を行き渡らせ、生気にあふれた直截性と緻密さのバランスを見事に両立させる音楽の書き手として、1990年代以降、世界の現代音楽シーンの第一線を走り続けている。
ミラノに生まれ、5歳でピアノを始める。ミラノ音楽院でアツィオ・コルギに作曲を師事。そのかたわらさまざまなジャンルの音楽に触れ、とりわけジャズに関心を深めたことから、バークレー音楽院に留学しジャズを学ぶ。故国ではシュトックハウゼンの講座も受けるが、ジャズの要素を採り入れたベリオの『ラボリントゥス2』(1965)に衝撃を受けたことをきっかけに、81年から84年にかけてベリオのアシスタントとして活動。ベリオのオペラ『本当の話』(1981)の初演時にはコレペティトゥールを務めた。90年、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習でクラニヒシュタイン音楽賞を受け、国外でも注目される。同年、ミラノにジャンル横断的な音楽研究センター「AGON」を設立。1992年にはIRCAMとの協働を開始し、以後ライヴ・エレクトロニクスを積極的に活用。初の大規模なオペラ『バッラータ』(1996~99)が大野和士の指揮によりベルギー王立モネ劇場で初演、また強靭な音響と推進力あふれるパルスが魅力的な管弦楽曲『コバルト、スカーレット―夜明けの2つの色』(1999)がマレク・ヤノフスキ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されて以降、国際的名声は確かなものとなった。
独奏曲からオペラに至る、約150におよぶフランチェスコーニの作品には、3つの主要なカテゴリーが認められる。80年代からラジオ・オペラを創作するなど、当初から声を重視していた彼は、声、エレクトロニクスとアンサンブル/オーケストラのための作品をたびたび書いてきた。「言語の起源と最初に対峙」したという『エティモ』(1994)において、彼は意味を持つ以前の「音声的」発話、意味を有する「意味的」言語、日常の言語を超えた詩的、神秘的側面を有する「詩的」言語を区別したという。この系統に属する『セイレーン/幽霊』(1996~97)、『エティモ2』(2005)、『シレーヌ』(2009)のエレクトロニクスには、すべてIRCAMが協力している。
フランチェスコーニがこれまでに創作した9つのオペラ(うち1つは、コロナ禍により初演が延期され未初演)のうち、ラクロの小説『危険な関係』にもとづくハイナー・ミュラーの同名の戯曲をフランチェスコーニ自身が翻案したスカラ座委嘱作『四重奏』(2010)は、21世紀に作曲されたオペラとしては最大のヒット作のひとつとなり、さまざまなプロダクションで再演が重ねられている。バルザックの小説にもとづき、やはりフランチェスコーニ自身が台本を作成したパリ・オペラ座委嘱作『死神騙し』(2017)も好評を博した。
2000年代以降からたびたび発表している、ヴィルトゥオジックなソロが際だつ協奏曲の数々も注目される。ベリオの思い出に捧げられた『安らかに』(2003~04)、ルツェルン・フェスティバル委嘱作『物は歌う』(2017、いずれもチェロ)、今回登場するリーラ・ジョゼフォヴィッツが初演したロイヤル・フィルハーモニー協会音楽賞受賞作『ドゥエンデ(鬼気迫るもの)―黒い音』(2013)、パトリツィア・コパチンスカヤが初演した『電流の走る身体』(2020、いずれもヴァイオリン)における血沸き肉躍るような急速な音型、圧倒的なエネルギーの奔出は、まさしくフランチェスコーニの面目躍如である。
指揮も行うほか、ヴェネツィア国際現代音楽祭芸術監督(2008~11)、ウルティマ・オスロ現代音楽祭監督(2011)を務めた。秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティバル講師(1996)。イタリアの複数の音楽院で20年、スウェーデンのマルメ音楽院で15年教鞭を執った。作品はリコルディから出版されている。
[平野貴俊]
ルカ・フランチェスコーニの音楽
イタリアの音楽文化は、本当に深く豊かだ。モンテヴェルディ、ヴィヴァルディ、ヴェルディ、プッチーニだけではない。20世紀に入っても、歴史に残る作曲家を次々と輩出し続けてきた。ノーノ、ベリオ、ドナトーニ、シャリーノのような前衛音楽を牽引してきた作曲家ばかりでなく、異端のシェルシのような作曲家もいる。そうした中で1956年生まれのルカ・フランチェスコーニはシャリーノの次の世代に属し、ベリオたちの遺産を豊かに受け継ぐ最も優れた作曲家の一人だろう。ベリオのアシスタントでもあったルカは、彼の強い影響を受けながらも、独自な生き生きとした想像力に満ちた音楽を生み出し続けてきた。器楽、合唱、オーケストラ、電子音響作品、そしてオペラといった全ての領域で、独創的な作品群を生み出している。彼のハイナー・ミュラーのテキストに基づくオペラ『Quartet』はミラノ・スカラ座で初演された後、ドン・ロイヤルオペラをはじめ、世界各国で上演され続けている。またオペラ『Ballata』はブリュッセル・モネ劇場において、大野和士の指揮で世界初演されている。
今回のサントリーホールでのオーケストラコンサートではヴァイオリン協奏曲『Duende』が、世界初演を受け持ったリーラ・ジョセフォヴィッツと、ルカの音楽に深い共感を持つ大野和士によって日本初演される。この協奏曲は、ヴァイオリン独奏の圧倒的な超絶技巧に、濃密なテクスチャーを持つオーケストラによってエキサイティングな音楽時間を味わえる21世紀ヴァイオリン協奏曲の傑作だと思う。
ルカの音楽の想像力、音響の豊潤さ、生き生きとした強烈な音楽性は、現代音楽に馴染まない聴衆にも、きっと刺激的な音楽体験となるだろう。そして彼がサントリーホールのために作曲している渾身の新作オーケストラ曲の誕生を、心から楽しみに待っています。
[細川俊夫]
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