サントリーホール ジルヴェスター・コンサート 2025
キユーピー スペシャル サントリーホール ニューイヤー・コンサート 2026
クリスティアーネ・カイザー(ソプラノ) インタビュー
ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団と共に年末年始のサントリーホールを華やかに彩るのはソプラノ歌手のクリスティアーネ・カイザー。
2004年からフォルクスオーパーの専属歌手として国内外で活躍し、『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ、『フィガロの結婚』伯爵夫人、『ラ・トラヴィアータ』ヴィオレッタ、『ラ・ボエーム』ミミ、『こうもり』ロザリンデ、『サロメ』タイトルロール、『死の都』マリエッタなど、幅広いレパートリーで多数のオペラに出演。2022年にはウィーン・フォルクスオーパーより「宮廷歌手」の称号を授与されている彼女ですが、フォルクスオーパー交響楽団との共演では初来日となります。待望の公演へ向けての意気込みや、ウィーンの年末年始について聞きました。
今回の公演で特に楽しみにしている曲や演目はありますか?
「ジルヴェスター・コンサート2025」(12/31開催)で歌う『ルサルカ』の美しいアリア「月に寄せる歌」と、「ニューイヤー・コンサート2026」(1/1-3開催)で歌う『チャールダーシュ侯爵夫人』の活気に満ちた歌が特に楽しみですね。それからジルヴェスター・コンサートでは『こうもり』の中でも特に有名な、第2幕フィナーレの「ドゥイ・ドゥ」のフレーズを日本のオペラファンの皆様と一緒に歌いたいと思っています。皆様とこの作品をともに楽しめることを心待ちにしています。
ウィーン・フォルクスオーパーで数多くのオペラやオペレッタにご出演されてきました。この劇場の魅力はどんなところでしょうか?
フォルクスオーパーには21年間在籍し、30以上の役柄を歌いましたが、常に世代や音楽的な好み・関心を問わずさまざまな方が集う場所でした。上演される作品は家族全員で楽しめるもので、客席も舞台裏もいつもアットホームで温かい劇場ですね。
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これまでの声楽家人生の中で最も印象深い出来事は何ですか?また、今後挑戦したい役柄や作品はありますか?
最も記憶に残る出来事の一つは、2016年のザルツブルク音楽祭でオットー・ニコライのベルカント・オペラ『神殿の騎士』に出演したことですね。オーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。ファン・ディエゴ・フローレスとの共演でした。今後は『ばらの騎士』(リヒャルト・シュトラウス)の元帥夫人や、マーラーの『リュッケルト歌曲集』などを歌ってみたいです。
日本の文化や音楽で、興味のあるものはありますか?
生け花と書道に深く魅了されています。黒澤明監督の作品も大好きです。現代の日本アートや作曲家についてももっと学びたいですね。今回も時間があれば、京都とその周辺をぜひ訪れたいと思っています。
ウィーンではどのように年末年始を祝うのでしょうか?
オーストリアでは家族や友人と共に大晦日を祝います。0時に近くなると花火が打ち上げられますが、これは日本でも同じかもしれませんね。新年を迎えた瞬間にラジオでシュテファン大聖堂の巨大な鐘の音が流れます。この鐘はヨーロッパの教会の中でも最大級で、特別な機会にのみ鳴らされるんですよ。鐘の音が鳴り終わると今度はヨハン・シュトラウスII世の『美しく青きドナウ』が流れ始め、人々は自宅や街中でワルツを踊ります。
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文:小宮正安(ヨーロッパ文化史研究家、横浜国立大学教授)
年末のウィーンで楽しめるクラシック音楽はどんなものがありますか?
オーストリアでは大晦日がカーニバル(謝肉祭)シーズンの幕開けとなります。つまり、この日を境に数多くの優雅な舞踏会が開催されるんです。ウィーンの舞踏会ではヨハン・シュトラウスや同時代の作曲家たちによるワルツなどのダンス音楽が演奏されるのが伝統なので、大晦日と新年は街のいたるところからクラシック音楽が聞こえてきます。
◆クリスティアーネ・カイザー(ソプラノ)Kristiane Kaiser, Soprano プロフィール
今回、SOVOPとの待望の初来日となるクリスティアーネ・カイザーは、2004年からフォルクスオーパー専属歌手として現在、第一線で活躍。レパートリーは幅広く、ドンナ・アンナ(ドン・ジョヴァンニ)、コンテッサ(フィガロの結婚)、フィオルディリージ(コジ・ファン・トゥッテ)、ヴィオレッタ(ラ・トラヴィアータ)、ミミ(ラ・ボエーム)、ジュリエッタ(ホフマン物語)、レオノーラ(イル・トロヴァトーレ)、ロザリンデ(こうもり)ほか多数出演。22年ウィーン・フォルクスオーパーより「宮廷歌手」の称号を授与されている。