主催公演

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ホール・オペラ®  
ヴェルディ:ラ・トラヴィアータ (椿姫)
出演者紹介

※チラシPDFをページ下部に掲載しています

心沸き立つヴェルディで、ホール・オペラが帰ってくる! 

香原斗志(オペラ評論家)


歓びの春に届いた吉報に、思わず胸が高鳴った。かつてはサントリーホールの“年中行事”で、いまも耳の肥えたオペラファンの語り草である、あのホール・オペラが帰ってくるのだ。
いつも適材適所で配された世界最高レベルの歌手と、作品を知悉した指揮者で最高の上演が約束されながら、まだ先があった。
客席と舞台を隔てるピットがないから、歌手の息づかいまでが客席に届く。舞台に上がったオーケストラからは作曲家渾身の音楽がすみずみまで伝わる。いきおい演奏にも熱が入り、音楽への深い理解に裏打ちされた演出がさらに盛り上げる――。私の胸は客席で高鳴り通しだったが、今度の『ラ・トラヴィアータ』は過去を超えている。マルコヴァ、デムーロ、ルチンスキー以上の歌手は思いつかないし、ヴェルディの熱い血潮が憑依したかのようなルイゾッティ以上の指揮も考えられない。
ヴェルディが思い描いた理想の上演は、これではなかったか。10月が待ち遠しい。

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出演を予定しておりましたガストン子爵役の小堀勇介は、健康上の理由で稽古への参加が困難となったため、出演を見合わせます。代わりまして、ガストン役には高柳圭が出演いたします。
なお、この出演者変更に伴うチケット代の払い戻しはございません。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

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ヴィオレッタ:ズザンナ・マルコヴァ(ソプラノ)

チェコ、プラハ生まれのコロラトゥーラ・ソプラノ。プラハ音楽院で声楽、ピアノ、指揮を学んだ後、ボローニャのオペラ研修所で研鑽を積む。2003年頃からチェコの声楽コンクールで優勝するなど頭角を現し始め、16歳で早くもチェコのモラヴィア・シレジア国立劇場にソリストとしてデビュー。その後、チューリヒ歌劇場、ボリショイ歌劇場、パレルモ・マッシモ歌劇場、メトロポリタン歌劇場、マルセイユ歌劇場、ボローニャ市立劇場などにプリマドンナとして登場。今、世界中の歌劇場で引っ張りだこのディーヴァである。ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』、ベッリーニ『清教徒』『夢遊病の女』などベルカント・オペラを得意としているが、なかでも『ラ・トラヴィアータ』のヴィオレッタは「当たり役」として各地で高い評価を得ている。また、シャリーノ『アスペルン』、ヘンツェ『若い恋人たちへのエレジー』、トマス・アデスの室内オペラ『パウダー・ハー・フェイス』、マルコ・トゥティーノ『Senso』などの現代オペラのプロダクションにも起用されている。

©J Henry Fair www.jhenryfair.com MED

アルフレード:フランチェスコ・デムーロ(テノール)

イタリアのサルデーニャ島出身。2007年、パルマでの『ルイザ・ミラー』のオペラデビューで、評論家、聴衆から熱狂的な称賛を受け、国内外の歌劇場でのキャリアをスタート。パヴァロッティを彷彿とさせる、イタリア的ブリリアントな声とその情熱的な歌唱で、とりわけ『リゴレット』『シモン・ボッカネグラ』『愛の妙薬』『ラ・ボエーム』などヴェルディ、プッチーニを中心としたレパートリーには定評がある。その活躍は、アレーナ・ディ・ヴェローナ、ロイヤル・オペラ・ハウス、ベルリン国立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、オペラ・バスティーユ、ウィーン国立歌劇場、テアトロ・レアルなど世界中にわたっている。サントリーホールでは、10年ホール・オペラ®『コジ・ファン・トゥッテ』フェルランド役で大成功を収め、11年「オペラ・ガラ」、13年には東日本大震災追悼公演ヴェルディ『レクイエム』に出演。

©Elena Cherkashyna

ジェルモン:アルトゥール・ルチンスキー(バリトン)

ポーランド、ワルシャワ出身。2002年ポーランド国立歌劇場の『エフゲニー・オネーギン』タイトルロールでのデビューが、ゲルギエフの目にとまる。その後、10年にバレンボイムの招きでのベルリン国立歌劇場デビューをきっかけに、ブレゲンツ音楽祭、ハンブルク州立歌劇場、アレーナ・ディ・ヴェローナなど世界中の名だたる歌劇場や音楽祭が次々とオファー。12年にはイギリス、アメリカでもデビュー。14年には、フェニーチェ歌劇場、ペトレンコとのバイエルン州立歌劇場でのプロダクション、ロイヤル・オペラ・ハウス、ザルツブルク音楽祭、そしてミラノ・スカラ座デビューと続いた。最近では、オペラ・バスティーユでの『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロール、メトロポリタン・オペラでの『蝶々夫人』シャープレス役、16/17シーズンの新国立歌劇場での『ランメルモールのルチア』エンリーコ役が記憶に新しい。オペラのスケジュールをぬって、ヘンデル『メサイア』、ペンデレツキ『ルカ受難曲』などコンサートへも頻繁に出演している。

©Andrzej Swietlik

指揮:ニコラ・ルイゾッティ

イタリア、ヴィアレッジョ出身。イタリア音楽を色濃く表現できる指揮者として、特にヴェルディとプッチーニの指揮には定評があり、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ボローニャ歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイエルン州立歌劇場など世界中の歌劇場で高い評価を受けている。特にサンフランシスコ・オペラとの関わりは深く、2005年にデビューした後、09年から18年まで音楽監督を務め、その間ドイツ・オペラも含め40演目以上のオペラを指揮してきた。18年にはその功績により同劇場より芸術褒章を授章。現在は、テアトロ・レアルの首席客演指揮者を務める。オーケストラとのコンサートも数多く行っており、フィラデルフィア管、クリーヴランド管、フィルハーモニア管、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管、マドリード響、パリ管、ベルリン・フィルなどと共演。サントリーホールのホール・オペラ®では、04年から10年まで毎年指揮を務め、ホール・オペラ®の音楽上の支柱となった。08~10年のモーツァルト「ダ・ポンテ3部作」プロダクションでは、チェンバロやハンマークラヴィーアの弾き振りを行い、多才ぶりを魅せた。

©Rita Simonini

フローラ(ヴィオレッタの友人):林 眞暎(メゾ・ソプラノ)

神奈川県横浜市出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業(アカンサス音楽賞、同声会賞受賞)、同大学大学院修了。2015年サントリーホール オペラ・アカデミー アドバンスト・コース第1期修了。その後文化庁新進芸術家海外研修員としてイタリアに留学し、数多くの国内外コンクールに入賞。16年ヴィルトバート・ロッシーニ音楽祭にて若手歌手のためのアカデミー・オペラの選抜歌手に抜擢。同年4月にスペイン、7月にドイツにてヨーロッパデビューを果たし、ドイツのオペラ雑誌『オーペルンヴェルト』にて「出演者の中で並外れた才能を持った日本人歌手」と評された。現在、イタリア各地の歌劇場を中心にパーセルから新作オペラまで幅広いレパートリーで活躍。ミラノ在住。

ガストン子爵(アルフレードの友人):高柳 圭(テノール) 

国立音楽大学声楽学科卒業、同大学院修了。第77回読売新人演奏会出演。二期会オペラ研修所第54期マスタークラス修了、修了時に優秀賞受賞。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト『蝶々夫人』ピンカートン役カバーキャスト、『フィガロの結婚』バジリオ役メインキャストで出演。千住明作曲の新作オペラ『滝の白糸』村越欣弥役を創唱。錦織健プロデュース・オペラ『後宮からの逃走』ペドリロ役など、その他多数のオペラに出演。イタリアのピエモンテ州ピネローロ市立劇場にてモーツァルト『レクイエム』のソリストを務めたほか、ベートーヴェン「第九」『ミサ・ソレムニス』、ハイドン『天地創造』などのソリストとしても活躍している。

アンニーナ(ヴィオレッタの小間使い):三戸はるな(ソプラノ)

国立音楽大学声楽専修卒業。東京藝術大学別科修了。二期会オペラ研修所第59期マスタークラス修了。サントリーホール オペラ・アカデミー プリマヴェーラ・コース第5期修了。多摩フレッシュ音楽コンサート2016入選。第8回東京国際声楽コンクール入選。オペラでは、これまでに『ラ・ボエーム』ミミ役、『ルサルカ』外国の王女役、『フィガロの結婚』伯爵夫人役、『イル・トロヴァトーレ』レオノーラ役などを務める。2019年、サントリーホール オペラ・アカデミー公演『フィガロの結婚』ではマルチェッリーナ役を好演。二期会準会員。

ドゥフォール男爵(ヴィオレッタのパトロン):宮城島 康(バリトン)

宮城県出身。国立音楽大学声楽専修、オペラ・ソリスト・コース、同大学院修了。声楽を高橋晶、山下浩司、黒田博に師事。『コジ・ファン・トゥッテ』グリエルモ役でデビュー後、『ラ・ボエーム』ショナール役、『愛の妙薬』ドゥルカマーラ役、『こうもり』フロッシュ役、『ヘンゼルとグレーテル』ペーター役、『ドン・ジョヴァンニ』マゼット役など多数のオペラやガラコンサートに出演、コミカルからシリアスまで表情豊かな演技には定評がある。二期会オペラ研修所マスタークラス修了、修了時に優秀賞を受賞。Chor stellaメンバーとしてBS-TBS「日本名曲アルバム」に出演中。びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー。二期会会員。

ドビニー侯爵(フローラの友人):的場正剛(バス)

兵庫県出身。東京音楽大学大学院修了、同大学院奨学生としてサンタ・チェリーリア音楽院にて声楽を学ぶ。豊中音楽コンクール声楽部門第1位および最優秀賞受賞。平和堂財団芸術奨励賞受賞。オペラには『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロール、『ラ・ボエーム』マルチェッロ役など、主要な役で出演。二期会オペラ研修所マスタークラス修了、修了時に奨励賞および優秀賞受賞。『アルチーナ』で二期会デビュー、二期会本公演『天国と地獄』マルス役などを務める。また「第九」などのソロでも高い評価を得る。びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー。二期会会員。

医師グランヴィル:五島真澄(バス)

京都市立芸術大学音楽学部卒業、同大学大学院修士課程修了。その後渡露しモスクワ音楽院にて研鑽を積む。全日本学生音楽コンクール大阪大会第1位、宝塚ベガ音楽コンクール第3位、飯塚新人音楽コンクール第3位。青山音楽賞新人賞受賞。オペラでは、びわ湖ホールにて『フィガロの結婚』伯爵役、『ドン・キホーテ』サンチョ・パンサ役、『ヘンゼルとグレーテル』ペーター役、『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロールなど、NHK音楽祭にて『エフゲニー・オネーギン』ザレーツキー&中隊長役に出演。ソリストとして佐渡裕指揮「第九」、秋山和慶指揮「第九」などのバス・ソロを務める。びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー。

東京交響楽団

1946年創立。音楽監督にジョナサン・ノット、正指揮者に原田慶太楼を擁する。文部大臣賞、毎日芸術賞、サントリー音楽賞などを受賞。サントリーホールで定期演奏会を行うほか、川崎市、新潟市と提携し、定期演奏会やアウトリーチを展開している。サントリーホールとの共催による「こども定期演奏会」も注目されており、サマーフェスティバルでは毎年出演を重ね、高い評価を得ている。新国立劇場ではオペラ・バレエ公演を担当。海外公演も58都市78公演を行う。音楽・動画配信サービスをスタートするなどITへの取組みでもクラシック音楽界をリードしている。

田口道子(演出)

国立音楽大学声楽科およびミラノ・ヴェルディ音楽院卒業。メゾ・ソプラノ歌手として活動するとともに演出助手として世界各地の歌劇場で経験を積む。以後、再演演出家としてミラノ・スカラ座、ヴェローナ野外劇場、フィレンツェ五月音楽祭などイタリア各地のほかヴァレンシア、テル・アヴィヴでも活躍、新国立劇場では『トスカ』『トロヴァトーレ』『リゴレット』の再演演出を手掛ける。近年は演出家として活動し、サントリーホール オペラ・アカデミー公演では『セビリャの理髪師』『コジ・ファン・トゥッテ』『愛の妙薬』『ラ・ボエーム』『フィガロの結婚』を演出。訳書に『リッカルド・ムーティ自伝:はじめに音楽 それから言葉』『リッカルド・ムーティ、イタリアの心 ヴェルディを語る』(音楽之友社)。字幕翻訳も多数。

  • ニコラ・ルイゾッティ(指揮)のメッセージ

  • ホール・オペラ® ワーグナー『ラインの黄金』(2016年)
  • ホール・オペラ® モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』(2009年)
  • ホール・オペラ® モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』(2010年)
  • ホール・オペラ® タン・ドゥン『TEA』(2006年)

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