
「ENJOY! 室内楽アカデミー・フェロー演奏会」は、サントリーホール室内楽アカデミーのフェロー(受講生)が日頃の研鑽の成果を発表するフレッシュな演奏会。フェロー自身による曲目紹介のトーク付きで室内楽が一層身近になります。
今回出演する第8期生は2024年に受講を開始し、CMGで1年目の締めくくりを迎えます。アカデミーの学びについて、そして今回のCMGでの公演に向けた意気込みについて、各グループからのメッセージをお届けします。国内外のコンクール受賞者やオーケストラ団員を多く輩出するアカデミーで、在籍中の2年間で大きな成長を遂げるフェロー達の更なる活躍にご期待ください。


クァルテット・イーリス(弦楽四重奏)
私たちは、グループを結成して3年目を迎えています。サントリーホール室内楽アカデミー8期フェローとしての1年間、特に充実した時間を過ごしてきました。
6月14日のフェロー演奏会では、ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」より第1楽章を演奏いたします。アメリカの自然や音楽をこよなく愛したドヴォルジャークが、新しい文化との出会いを経て作曲した本作。冒頭から広大な大地や汽車を連想させるこの作品は、ドヴォルジャークの代表作の一つとして知られており、今も多くの人々に愛されています。
6月21日のフェロー演奏会では、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番より第1、4楽章を演奏いたします。後にラズモフスキーや大フーガなど、カルテットにおける傑作を多く残したベートーヴェン。そんな彼が1番最初に作曲した弦楽四重奏曲である本作には、随所に若き天才の片鱗が垣間見えます。作品全体を通して広がる、とても穏やかで美しい世界をお楽しみください。
尊敬するファカルティの方々や同期フェローの皆さんと共に、たくさんの事を勉強できる素晴らしい環境に、心から感謝しております。今後も4人でますます精進していきたいと思います。
2023年4月に桐朋学園大学在学中の4名にて結成。「イーリス」はギリシャ神話の“虹の女神”の名前に由来する。第13回秋吉台音楽コンクール室内楽(弦楽四重奏)部門第3位および審査員特別賞受賞。ザルツブルク=モーツァルト国際音楽コンクールin Tokyo 2025第2位。これまでに磯村和英、山崎伸子に師事。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。
カルテット・シュトゥルム(弦楽四重奏)
私達は東京藝術大学在学中に結成したカルテット・シュトゥルムです。団体名は、ドイツで18世紀に起こった芸術における感情の開放と独創性を主張した運動「シュトゥルム・ウント・ドラング」を由来としており、4人でより良い表現とは何かを追求することを目標としています。アカデミーでは弦楽四重奏としてのお互いの音の聴き合い方や発信のしかた、作曲家の意図の汲み取り方など、室内楽において大切なことをあらゆる角度から素晴らしい講師の方々より教わっています。
今回私達が演奏するのは、シューマン:弦楽四重奏曲第3番より第1・3楽章と、シューベルト:弦楽四重奏曲第12番「断章」です。シューマンの第3番は、美しい旋律と時折顔を出す激情の炎がまさにロマン派という印象の名曲です。シューベルトの「断章」は悲劇的な運命に急き立てられる中で、ふと安らぎを感じる瞬間もありながら、最後はやはり短調の和音で激しく曲が閉じられるところがシューベルト自身の人生を象徴しているように感じます。
今回の演奏会では日頃のワークショップの成果が発揮できるよう、そしてお客様にシューマンとシューベルトの曲の魅力が伝わるようメンバー一同全力で取り組みます。楽しんでいただければ幸いです。

2019年に東京藝術大学の授業を機に結成。ヘンシェル・クァルテットのマスタークラスを受講。旧岩崎邸でのコンサート冬、春に出演。これまでに松原勝也、山﨑貴子、市坪俊彦、山本美樹子、植村太郎、大友肇に師事。シュトゥルムとはドイツ語で18世紀に起こった芸術における感情の開放と独創性を主張した運動「シュトゥルム・ウント・ドラング」を由来とし、4人でより良い表現とは何かを追求することを目標としている。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。
カルテット風雅(弦楽四重奏)
私たちカルテット風雅は、この1年間、サントリーホール室内楽アカデミーで学ぶ中で、多くの尊敬するファカルティの先生方から、音楽に真摯に向き合う姿勢を教えていただきました。また、唯一無二の仲間たちと共にリハーサルを重ねる中で、音楽に集中できる環境が、私たちにとっていかに大切でかけがえのないものであるかを実感してきました。
アカデミーにおける学びの集大成として、CMGフィナーレをはじめ、数々の舞台で演奏できる機会をいただけることに、心より感謝申し上げます。作曲家が作品に込めたメッセージを、時を経た今、私たち自身がどのように受け止め届けられるのか、また弦楽四重奏の醍醐味である豊かなハーモニーをお楽しみいただけるよう、心を込めて演奏いたします。
最後になりましたが、いつも熱意あるご指導くださる先生方、そして最高の環境を提供してくださるサントリーホール関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。
[演奏曲目]
シューマン:弦楽四重奏曲第1番より(6月14日、22日)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番より(6月21日)

2001年生まれの4人によって24年に結成。第13回秋吉台音楽コンクール室内楽(弦楽四重奏)部門にて第1位、あわせてベートーヴェン賞、山口県知事賞を受賞。24年キジアーナ音楽院夏期アカデミーにてクライヴ・グリーンスミスのクラスに全額奨学金を得て参加。プロジェクトQ・第22章に参加。25年6月、サルビアホール・クァルテット・シリーズに出演予定。24・25年度に松尾学術振興財団より助成を受ける。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。原田幸一郎、池田菊衛、山崎伸子、吉田有紀子に師事。
カルテット・プリマヴェーラ(弦楽四重奏)
私たち、カルテット・プリマヴェーラがCMGに出演させていただくのは3回目になります。今回のフェロー演奏会では、今までのCMGでは演奏したことのない、バルトークとブラームスの作品を演奏いたします。
バルトーク:弦楽四重奏曲第4番は、私たちにとって初めて取り組んだバルトークの作品です。全編ピチカートで演奏される4楽章、緊迫感のあるリズムが特徴的でありながら、民謡を思わせるメロディーの歌心もある5楽章。緊張感の先にある高揚感までお届けできればと思います。ブラームス:弦楽四重奏第2番は、昨秋のとやま室内楽フェスティバルでも取り組みました。毎日のレッスンと合わせでじっくりこの名作と向き合い、カルテットとしてまた新たな音を身につけられた思い出深い一曲です。
サントリーホール室内楽アカデミーのフェローとして学ばせていただくのも2期目を迎えました。音楽、カルテットを突き詰めるのは果てしないものがありますが、その道を歩まれてきた先生方のご指導やお言葉は、何にも代え難い励みになっています。
私たちの新境地である”2つのB”をお楽しみいただけたら幸いです。

2021年桐朋学園大学在学中に結成。「プリマヴェーラ」とはイタリア語で“春”という意味を持ち、元東京クヮルテットの磯村和英に名付けられる。第13回秋吉台音楽コンクール室内楽(弦楽四重奏)部門第2位。ベートーヴェン国際コンクール室内楽部門第1位。サントリーホール室内楽アカデミー第7・8期フェロー。プロジェクトQ・第20・21・22章に参加。ル・ポン国際音楽祭2024に出演。これまで磯村和英、山崎伸子に師事。
ほのカルテット より 岸本萌乃加、長田健志、蟹江慶行(弦楽三重奏)
第7期に続き、8期生としても参加させていただいています。日々、カルテットとしての精度や方向性、音楽性についてじっくり考える時間を過ごしています。ワークショップでは、今取り組んでいる音楽をさらに効果的かつ説得力のあるものにするため、多角的な意見をいただいています。
カルテットを人生をかけて探究するには、私たちが活動を続けることに加え、聴いてくださるお客様の存在が不可欠です。音楽を通して私たちの思いや考えを届けられるよう、今後も尽力してまいります。
そして、8月にブルーローズ(小ホール)にて第1回定期演奏会を開催できることになりました。活動の拠点であるこの場所で皆様と音楽を共有できることを心から楽しみにしています。
今回のチェンバーミュージック・ガーデンでは、メンバー3人でモーツァルト:弦楽三重奏《ディヴェルティメント》を演奏します(6月14日のみ)。演奏機会は多くありませんが、新たな発見のある時間になると信じています。

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カルテット・ルーチェ(弦楽四重奏)
今回のフェロー演奏会では、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》より第1楽章、ラヴェル:弦楽四重奏曲より第1楽章、第2楽章を演奏いたします。両曲ともファカルティの先生方にたくさんのご指導をいただきました。
昨年度からフェローとして様々な曲に取り組んできましたが、カルテットの名曲に取り組む喜びや四重奏曲の素晴らしさを感じるとともに、4人で表現することの難しさも学ぶことができました。その中でもラヴェルの弦楽四重奏曲は、私たちが初めて取り組んだ近現代の作品です。また今年はラヴェルの生誕150周年で節目の年ということもあり、特別なものを感じています。古典派を代表するベートーヴェンと印象派を代表するラヴェル、二曲の性格の違いを楽しみながら表現できたらと思います。
今回は、ルーチェにとって初めてのCMG出演になります。このような素晴らしい演奏の機会をいただくことができ、大変嬉しく思います。一年間学んだことをしっかりと発揮できるよう、また本番では演奏を存分に楽しみたいと思います!

2021年に東京音楽大学付属高等学校に在学する4人により結成。現在は東京音楽大学、桐朋学園大学在学の4人で構成する。「ルーチェ」とはイタリア語で“光”。輝かしい音楽を奏でられるようにという意味を込めて名付けた。21年東京芸術劇場にて開催された、東京音楽大学付属高校チャリティーコンサートに出演。22~24年プロジェクトQ・第20・21・22章に参加。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。これまでに、原田幸一郎、小栗まち絵に師事。
トリオ・フィデーリス(ピアノ三重奏)
室内楽アカデミーが始まってから、早くも1年が経ちました。素晴らしい環境の中で音楽と真摯に向き合えたことを、とても幸せに感じています。これまで毎月ファカルティの先生方からレッスンを受ける中で、毎回多くの学びがあり、トリオとしても少しずつ成長できていると実感しています。今回、初めてトリオでCMGのコンサートに出演させていただきます。
6月14日のコンサートでは、隠れた名曲であるシューマン:ピアノ三重奏曲第2番より、歌曲のような親密さと繊細な抒情性に満ちた第2楽章と、生き生きとした推進力とロマン的情熱が融合した、躍動感あふれる第4楽章を、6月21日には、ベートーヴェンの誰もが知る名曲、ピアノ三重奏曲第7番「大公」より、威厳とあたたかさを兼ね備えた、スケールの大きな第1楽章を演奏いたします。
この1年間の集大成として、私たちらしい音楽を皆様にお届けできればと思っております。一期一会の演奏会を、どうぞお楽しみください。

桐朋⼥⼦⾼等学校⾳楽科からの同級⽣3⼈により、桐朋学園⼤学在学中に結成。これまでに3回のトリオ・リサイタルを開催し、個々の技術⼒はさることながら味わい深い⾳⾊と表現⼒の⾼さで⼀躍注⽬を浴びる。「Fidelis」とはラテン語で“誠実、忠実、信頼できる”といった意味であり、信頼するメンバーと誠実な演奏をするトリオという意味が込められている。これまでに⼭崎伸⼦、練⽊繁夫に師事。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。