森づくり最前線
荒廃した針葉樹林を
健全な森林へ誘導

より豊かな生産林への誘導と
針広混交林への誘導

撮影地:鳥取県日野郡江府町 他

いま、日本の山には戦後に広葉樹を伐って杉やヒノキを植林したものの、その後外国産材の輸入で国産材の価格が暴落し、採算が合わないために放置されてしまった荒廃林がいたるところに広がっています。

間伐などの適正な手入れが遅れた荒廃林

杉やヒノキを健全に育てていくためには、下の図のように、定期的な整備が必要です。
整備が遅れた林は、満員電車のように窮屈になり、林の中は真っ暗で、下草も生えなくなり、雨が降ると表面の土が流されてしまいます。そして、ひどい場合には根が浮き上がって土砂崩れを起こすことさえあります。
雨が土にしみ込まず、表面を流れてしまうのですから、当然、地下水のためにも良くありません。

図:杉、ヒノキの標準的な整備サイクル

サントリー「天然水の森」の中にも、そんな場所が少なくありません。
そういう場所で、私たちは2種類の整備を行っています。

より豊かな生産林へ

杉、ヒノキの生長が良く、しかも将来収穫が可能ななだらかな地形の場所では、適正な間伐・枝打ちを繰り返すことで、健全な生産林へと誘導していきます。
林内に光が入るようになると、地面にはさまざまな草や広葉樹が生えてきます。

  • 適正な間伐作業
  • 地面を覆う草や背の低い広葉樹

いま、日本では、通常、伐り捨て間伐という方法がとられています。読んで字のごとく、伐った木を林の中に捨ててしまうわけです。材の価格よりも、運び出す手間賃の方がはるかに高いからです。
でも、伐ったまま林の中に放置された木は、草や背の低い広葉樹などの下生えの回復を邪魔して、森の健全化を遅らせます。
その上、捨てられた木は、わずか10年ほどで腐り、木というカタチでせっかく固定されたCO₂も、大気に戻ってしまいます。

サントリー「天然水の森」では、そういうわけで、使える木はできるだけ運び出し、残った木も、遊歩道や階段の整備、急斜面の土留め、作業道に敷くチップなどに利用しています。

  • 間伐した木の搬出
  • 育ちの悪い木や切り落した枝を再利用した作業道に敷くチップ

針広混交林へ

杉、ヒノキの生長が明らかに悪い林では、植林された針葉樹を思い切り多めに伐って、針葉樹と広葉樹が混じり合う針広混交林へと誘導していきます。

  • 放置林
  • 針広混交林

さまざまな生命(いのち)を育む針広混交林

ちょっと意外に思われるかも知れませんが、生物多様性という意味では、広葉樹林よりも、針広混交林のほうが優れています。たとえば、鳥ひとつとってみても、混交林のほうが、たくさんの種類を観察できます。

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