荒廃した針葉樹林を健全な森林へ誘導。生産林化と針広混交化

1:生産林化

撮影地 鳥取県日野郡江府町他
撮影時期 2008年3月~2010年10月

サントリー「天然水の森 」にも、
放置されてきたヒノキやスギの林があります。
そんな人工の針葉樹林で、私たちが行っている
森林整備活動の一例をご紹介します。

荒廃した針葉樹林を健全な森林へ誘導

生産林化と針広混交化

いま、日本の山には、
戦後に広葉樹を伐って杉やヒノキを植林したものの、
その後、外国材の輸入で国産材の価格が暴落し、
採算が合わないために放置されてしまった荒廃林が
いたるところに広がっています。

杉やヒノキを健全に育てていくためには、
左の図のように、定期的な間伐が必要です。
間伐が遅れた林は、満員電車のように窮屈になり、
林の中は真っ暗で、下草も生えなくなり、
雨が降ると表面の土が流されてしまいます。
そして、ひどい場合には根が浮き上がって
土砂崩れを起こすことさえあります。
雨が土にしみ込まず、表面を流れてしまうのですから、
当然、地下水のためにも良くありません。

サントリー「天然水の森」の中にも、そんな場所が少なくありません。
そういう場所で、私たちは2種類の整備を行っています。

1.より豊かな生産林へ

杉・ヒノキの生長が良く、しかも将来収穫が可能な
なだらかな地形の場所では、適正な間伐・枝打ちを繰り返すことで、
健全な「生産林」へと誘導していきます。

林内に光が入るようになると、
地面にはさまざまな草や広葉樹が生えてきます。

いま、日本では、通常「伐り捨て間伐」という方法がとられています。
読んで字のごとく、伐った木を林の中に捨ててしまうわけです。
材の価格よりも、運び出す手間賃の方がはるかに高いからです。
でも、伐ったまま林の中に放置された木は、草や背の低い広葉樹などの
下生えの回復を邪魔して、森の健全化を遅らせます。
その上、捨てられた木は、わずか10年ほどで腐り、木というカタチで
せっかく固定されたCO₂も、大気に戻ってしまいます。
サントリー「天然水の森」では、そういうわけで、使える木は
できるだけ運び出し、残った木も、遊歩道や階段の整備、
急斜面の土留め、作業道に敷くチップなどに利用しています。

2.針広混交林へ

杉・ヒノキの生長が明らかに悪い林では、
植林された針葉樹を思い切り多めに伐って、針葉樹と広葉樹が混じり合う
「針広混交林」へと誘導していきます。

  • 間伐などの適正な手入れが遅れた人工林。木の育ちも悪く、林の中は真っ暗で、下草なども見られません。日本の全国で見られる荒廃林の姿です。
  • 図:杉・ヒノキの標準的な整備サイクル杉やヒノキの人工林を健全な状態に保ち、材として収穫するには、本来、定期的な手入れが欠かせません。
  • 手入れが遅れた遅れた人工林にまず必要なのは、適正な間伐です。
  • 間伐によって林の中に光が入るようになると、草や背の低い広葉樹が地面を覆うようになり、地下水を育むのに欠かせない“ふかふかの土”も再び育っていきます。
  • 間伐した木も、育ちが良ければ材として利用できますから、林内に放置せず、きちんと搬出していきます。
  • 材として利用できない育ちの悪い木や、切り落した枝なども無駄にはしません。作業道に敷くチップになどに利用していきます。
  • 放置林
  • 針広混交林

さまざまな生命(いのち)を育む針広混交林

ちょっと意外に思われるかも知れませんが、
「生物多様性」という意味では、広葉樹林よりも、
針広混交林のほうが優れています。
たとえば、鳥ひとつとってみても、混交林のほうが、
たくさんの種類を観察できます。