森づくり最前線
ワシ・タカ子育て支援
プロジェクト
ワシやタカが、子育てできる森づくり
各地の天然水の森には、様々な猛禽(もうきん)類、ワシやタカ、フクロウやハヤブサの仲間たちの姿が見られます。
姿が見られるだけではありません。巣作りをし、子育てをする様子も数多く確認されています。
そのような環境をずっと守っていきたい。そう考えて私たちはワシ・タカ子育て支援プロジェクトをはじめました。
猛禽類=猛々しい鳥類というくらいですから、ワシやタカの仲間には、ちょっと恐いイメージがあるかもしれません(だからこそ、かっこいい、美しいとも思えるのですが…)。でもそのヒナたちときたら、モフモフの最たるものです。例えば下の写真を見てください。とある天然水の森での一コマ。巣箱から姿を現した、巣立ち目前のフクロウのヒナたちです。
フクロウは本来、大きな樹の幹に自然にできる洞(ほら)などを利用して子育てをします。けれども、フクロウが営巣できるほど大きな洞はめっきり少なくなりました。そこで私たちは、樹洞の代わりになる巣箱を設置してフクロウの子育てを支援する「フクロウProject」を推進しています。写真は、そうした巣箱で育ったヒナたち。カワイイでしょ。どうか無事に大きくなりますように。思わず応援したくなります。
私たちがワシやタカの子育てを支援する理由
〜 棲んでいることと子育てができることの大きな違い 〜
私たちがワシやタカの子育てを支援するのは、ワシやタカがそこに棲んでいることと子育てができることの間に、とても大きな違いがあるからです。その違いとはどういうものなのかお話しする上で、まず下の図をご覧いただきたいと思います。
これは、森の生き物たちを食物連鎖の関係性から描いた、「生態系ピラミッド」と呼ばれる概念図。 “食べる・食べられる”という関係性で見た時、食べられる側にあるものが、食べる側にあるものよりもたくさんいることで生態系が成り立っていることを示しています。では、この生態系ピラミッドをヒントに、ワシやタカが子育てできることの意味を考えてみましょう。
ワシやタカが個体として生きていくことだけを考えれば、食料は自分が食べる分でこと足ります。棲んでいた場所でエサが不足したら、あちらこちら移動しながら、生きるのに十分な食料を得ることもできるでしょう。でも子育てとなると話は別です。
食欲旺盛な愛しいヒナのために、親鳥は日々たくさんの食料を運び続けなければなりません。巣は動かせませんから、巣からそれほど遠くない範囲に、エサとなる小動物が、いつでも獲れるだけたくさん生息している必要があります。ワシやタカが子育てできる場所には、ワシやタカのエサとなる小動物がたくさん生きていて、そしてワシやタカのエサとなる小動物がエサとする生き物も、さらにその生き物のエサとなる生物もたくさん生きていることになります。
ワシやタカが子育てできることは、その場所が生物の多様性とにぎわいに満ちた豊かな環境である証。ワシやタカが子育てできるかどうかは、環境の豊かさを知る重要なバロメーターです。だからこそ私たちサントリーは、ワシ・タカ子育て支援プロジェクトを進めています。水と生命(いのち)の未来を守る森づくりの一環として。
「天然水の森」で子育てをしないワシやタカにも
「天然水の森」の豊かさの恵みを
日本で繁殖する猛禽類には、春、日本にやってきて子育てをし、秋になると越冬のために遠く南の島々へ旅立つ種がいます。いわゆる“渡り”をするタカの仲間。ハチクマやサシバが、その代表です。
そんなハチクマやサシバの渡りの様子を見てみると、ルート上に「天然水の森」が点在することがわかります。
渡りの際に、栄養補給のためにエサを獲る場所として「天然水の森」を利用していることは予測できることですし、事実そうした調査報告もあります。ワシ・タカ子育て支援プロジェクトの豊かな森づくりは、「天然水の森」ではないところで子育てをするタカにも、恵みをもたらしているはずです。