森づくり最前線
マツ枯れ対策

松が森にもたらす役割を知り
見きわめを大切にしながら適切な対策を

撮影地:京都府乙訓郡大山崎町 他

松が集団的に枯れていく「マツ枯れ」。その被害は、温暖化の影響か、より北へ、より標高の高い方へとますます広がる傾向にあります。

「マツ枯れ」のメカニズム

マツ枯れは、「マツノマダラカミキリ」という昆虫を介して「マツノザイセンチュウ」と呼ばれる寄生生物が松に侵入することで起こります。 マツノマダラカミキリは、もともと日本にいたカミキリムシの仲間です。枯れたり弱ったりした松に卵を産みつけますが、集団的なマツ枯れを起こすことはありませんでした。 一方、マツノザイセンチュウは、海外から輸入された松材と共に日本に上陸した外来種。日本の松は、マツノザイセンチュウへの抵抗力を持っていません。マツノマダラカミキリを介してマツノザイセンチュウに侵入され感染されると、抵抗するすべもなく枯れてしまいます。

こうして今、日本全国の森が共通して抱えるこの問題に、サントリーはどう向き合い、どのような対策をとっているのか。ご紹介したいと思います。

松は、森の先駆者。

松は、いわゆる先駆種=パイオニアツリーです。
崩壊地や荒れ地など、他の木が生きていけないような痩せ地にもいち早く根を下ろし、すくすく育っていくことできます。

崩壊地や荒れ地を好んで芽生える松

松が生長しながら地面に松葉を積もらせていくと、栄養素の乏しかった場所にも、徐々に豊かな表土ができてきます。すると、松以外の木々も生きていけるようになり、崩壊地や荒れ地だった場所もやがて広葉樹の森になっていきます。

そしてその過程で、先駆者としての役割を終えた松は姿を消していきます。そうした松の生き方、役割を考えると、松が他の木々に場所を譲って姿を消していくのも自然の遷移です。たとえマツ枯れが発生しても、既に他の木々が育っていれば、その森は、豊かな地下水や生物の多様性を育むために必要な健康を保っていけます。
だから私たちは、マツ枯れ対策を行う上で、松を守るべき森と、自然な遷移にまかせていい森をきちんと見きわめることを大切にしています。

里山の多様性を未来に手渡すために、「天王山マツ山再生プロジェクト」

「サントリー山崎蒸溜所」の水源涵養エリアにあたる、天王山。頂上付近の尾根筋には、今も、赤松の林が残っています。薪炭林、あるいは田畑の肥料にする腐葉土をまかなう里山として、長年にわたって人々が利用してきた名残です。

天王山頂上付近に残る赤松の林

これまでも、この天王山でさまざまな森林整備を行ってきた私たちは、地元の方々のご要望に応え、地元の方々と共に、この赤松林を守って行くことにしました。

マツ山再生プロジェクト・別名マツタケ再生プロジェクト
松が元気に生きていける環境を整える地掻きの様子

赤松の保護に欠かせない地掻きによって得られた腐葉土を、周辺の雑木林の再生・育成に利用できるなど、尾根筋の赤松を守って行くことが、天王山一帯の里山再生、里山としての生物多様性の保全、さらには、水と生命(いのち)の未来を守ることにつながっていくからです。

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