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  • 環境・共生

Q 身近な野鳥「スズメ」が減っているって本当?

目次

A スズメの数は全国的に減少傾向にあります。

身近でかわいい鳥のスズメですが、数が少なくなっていることが明らかになっています。たとえば、1997~2002年と2016~2021年に行われた全国鳥類繁殖分布調査の記録を使ってスズメの数を解析した研究(※1)では、2000~ 2018年の18年間でスズメの個体数は62.1%になったと推測されています。ここから単純に計算すると、毎年、前年の2.61%が減少し、おおよそ26年間で半減すると予測されました。また、環境省の「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書」でも、2008~2022年の間は、スズメの数が1年あたり3.6%のペースで減少していることが、報告されています。
※1 Bird Research 19巻(2023) による

スズメが減っている2つの主な理由

スズメ減少の原因は、まだはっきりとしたことがわかっていません。一般的には、生き物の個体数が減る原因のひとつとして、子どもの数が十分に増えないことが考えられ、スズメについても、繁殖の状況が個体数の減少に関係している可能性が指摘されています。

理由①:巣を作る場所の減少

スズメは家屋の隙間や木の樹洞を利用して巣を作りますが、近年は隙間が少ない気密性の高い住宅が増え、営巣場所が減っていると考えられています。実際、古い住宅が多い地域のほうが新しい住宅が多い地域より営巣密度が高いことが明らかになっており(※2)、新しい住宅はスズメにとって巣を作りにくいことが示されています。
※2 Bird Research 9巻(2013) による

屋根瓦の下の隙間にあるスズメの巣。巣材の枯れ草が垂れ下がっています。

理由②:昆虫をとる場所の減少

スズメは主に植物の種子を食べますが、繁殖期には、タンパク質が豊富な昆虫をヒナに与えます。ところが、スズメが繁殖する市街地では、昆虫が生息する未舗装路や公園、空き地が減ってしまい、ヒナに与えるための十分な昆虫が捕れないのではないかと考えられています。実際、農村部に比べて都市部では巣立つヒナの数が少ないことがわかっており(※3)、都市部での子育てがうまくいかないことが、スズメ減少の一因になっている可能性があります。
※3 Bird Research 7巻(2011) による

ヒナに与えるカマキリをとらえた親鳥

意外と知らないスズメの生態

都市では道路標識や電柱の部材に巣をつくる

現在、都市にすむスズメは、道路標識のパイプの内部や電柱に取りつけられた腕金などのさまざまな部材の穴を利用して巣を作る姿がよく見られます。

夏から冬は農耕地で大きな群れをつくる

春の繁殖期が終わると、晩夏から冬にかけて多くのスズメは繁殖地を離れ、農耕地や河川敷などに集まって大きな群れになります。そこで、イネ科を中心としたさまざまな植物の種子を食べながら暮らします。

サクラの花の蜜をなめる

サクラの花が咲くと、花をくちばしで丸ごと取り、付け根の部分を噛んで蜜をなめる習性が見られます。次々と花を取って蜜をなめるため、地面になめ終わった花が数多く落ちていることもあります。

【クイズ】どれが本物のスズメ?

日本には、スズメに似た鳥がいます。「あの鳥、スズメに似ているけど、なんか違う?」と思ったことはないでしょうか?では、この中で、スズメはどれでしょう?




答えは、6です。頬に黒斑があるのがスズメの特徴です。
その他の鳥をご紹介します。

1の鳥は、ホオジロ

茶色と黒い縦縞模様の体はスズメと似ていますが、オスの顔は白黒模様なので見分けられます。メスもオスより淡い色合いですが同じ模様です。地鳴きは小さな音で「チチッチチチッ」と2~3声ずつ鳴くのが特徴です。繁殖期になるとオスは目立つ場所にとまり「チョッピー、チリー、チョ」とさえずります。

2の鳥は、ニュウナイスズメ

同じスズメの仲間ですが、オスは、スズメの頬の黒斑がありません。また、メスの顔には眉斑があり、スズメとは違う顔です。日本では本州中部以北の山地の林、北海道では平地の林で繁殖し、冬は主に西日本の農耕地で越冬をします。冬はとても大きな群れとなります。

3の鳥は、アオジ

背中の黒い縦斑がスズメに似ていますが、喉から腹にかけて黄色なので見分けられます。日本では本州中部以北の山地や、北海道では山地の明るい林や低木林で繁殖し、冬は積雪の少ない地方で越冬します。やぶの中にいることが多い鳥です。

4の鳥は、オオジュリン

日本では、北海道と本州北部で繁殖し、冬は関東以南の本州、四国、九州などのヨシ原に生息しています。オスの夏羽は頭が真っ黒でスズメに似ていませんが、冬羽は地味な褐色でスズメに似ています。しかし、顔には眉斑があり、脇腹に褐色の縦斑がありスズメとは違います。

5の鳥は、カシラダカ

冬鳥として日本の農耕地や川原、林縁などに渡来します。地鳴きは小さく「チッ」と高く聞こえる声です。褐色と黒い縦斑が並ぶ色あいはスズメと似ていますが、頭に冠羽がある点が違います。緊張すると頭(かしら)が三角に高くなるので頭高(かしらだか)という名前がつきました。

サントリーは「愛鳥活動」に取り組んでいます。

現在の日本では、スズメに限らず、身近な野鳥の多くが減少しています。野鳥は環境の変化にとても敏感な生き物のため「環境のバロメーター」と呼ばれています。今回取り上げたスズメの数が減っているという事実も、私たちが暮らす環境に何らかの変化が起きているサインかもしれません。
野鳥が安心して暮らせる環境は、人にとっても安心して暮らせる環境です。サントリーは、野鳥を保護することが人や自然環境を守ることにつながると考え、愛鳥活動に取り組んでいます。

監修監修 藤井幹
監修藤井幹

(公財)日本鳥類保護連盟 調査研究室 室長

鳥類保護・保全、調査・研究、愛鳥思想の普及啓発

ライター監修 柴田佳秀
ライター柴田佳秀

科学ジャーナリスト・サイエンスライター

自然番組のTVディレクターとして「生きもの地球紀行」などNHKの自然番組を多数制作。2005年からフリーランスとなり、図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組監修、バードウォチング講師などをおこなっている。 著作は「街・野山・水辺でみかける野鳥図鑑」(日本文芸社)、「あした出会える野鳥100」(山と溪谷社)など。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。

スズメ/ホオジロ/ニュウナイスズメ/アオジ/オオジュリン/カシラダカ

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