- 水
“フィールド”で紡ぐ、地域との絆・水の未来
──「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」AWS認証取得への挑戦
サントリーグループは世界各地域の水課題の解決に貢献する取り組みの展開に向けて「サントリーグループ『水理念』」を掲げ、「水循環を知る」「水を大切に使う」「水源を守る」「地域社会と共に取組む」の4つの柱に沿って取り組みを進めています。
2021年5月より「サントリー天然水〈北アルプス〉」の生産を開始した「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」(以下、北アルプス信濃の森工場)も、理念に基づく取り組みを着実に進めるとともに、地域の一員としてさまざまな活動を行っています。2025年には、水の国際認証である Alliance for Water Stewardship(AWS)の取得に取り組み、認証レベルの最高位である「Platinum」認証を取得しました。そこで、今回はAWS認証取得のプロジェクトで中心的な役割を担ったサントリープロダクツ株式会社 北アルプス信濃の森工場工務部門の伊賀大輔が、水と自然を地域とともに未来へつないでいく活動をご紹介します。
北アルプスの森と共に生きる工場として
北アルプス信濃の森工場は、標高3,000m級の山々が連なる北アルプスに囲まれた、長野県大町市の静かな森の中にあります。四季折々の色彩に包まれ、澄みわたる空気が満ちるこの場所で、地域の豊かな自然と命を育む清らかな水を源に、サントリー天然水〈北アルプス〉がつくられています。私たちはこの場所を“フィールド”と呼んでいます。山々に降り注いだ雨や雪は大地にしみ込み、地下水となり、川へつながり、やがて海へ。そして再び雨や雪となりこの地に戻ってくる──水はつながっていて、その循環の中に工場が存在しています。そのつながりを守り、100年先もこの恵みの水を人々に届けるために、ここは単なる生産拠点ではなく、自然との共生を目指す“フィールド”なのです。
工場がある長野県大町市は、「水が生まれる信濃おおまち」。古くから水が地域の発展に大きく関わってきた歴史があり、地域の人たちも、水をかけがえのないものとして大切に守り続けています。こうした水への向き合い方は、サントリーグループの『水理念』──「水循環を知る」「大切に使う」「水源を守る」「地域社会と共に取り組む」と重なります。
水を大切にする地域の文化の中で、サントリーは北アルプスの水を未来へ引き継いでいくため、水源涵養(かんよう)機能の向上と生物多様性の再生を目的とした「天然水の森」活動、地元の小学校では、子どもたちが水の大切さを学ぶ「水育」、そして企業・大学・行政が協力して地下水の状態を継続的にモニタリングする「信濃おおまち みずのわプロジェクト」など、さまざまな活動をしています。いずれも地域で暮らす方々とのつながりが欠かせない取り組みです。
北アルプス信濃の森工場について「北アルプスで育まれた恵みの水を多くの人へ届けるための単なる生産拠点ではなく、その水を未来へ引き継ぐために、水・自然・人々がつながる“フィールド”なのだ」と語る伊賀さん。自然の一部として工場があるのだという気持ちで、日々の業務に取り組んでいるのだそう。
“当たり前”に続けてきた行動こそ、本当の価値
大町市に豊かな地下水が育まれてきたのは、自然の恵みによるものだけではありません。流域に住む地域の人たちが山や森を守り、水と共に生きる取り組みを“当たり前のこと”として今に受け継いできました。工場の活動も同じで、従業員が日々の業務として自然に行っていることが、目には見えにくいけれど、確かに未来の水を守る力になっています。しかし、私たちが「しっかり取り組んでいます」と言葉で説明しても、その価値が十分に伝わらないこともあります。だからこそ、自分たちの活動がどれほど価値のあるものかを、きちんと見える形で示すことが大切です。地域のみなさんにも、一緒に働く仲間にも、これまでの取り組みに誇りや意義を実感してもらい、「これからも続けていこう」と思ってもらえるように──。そのために第三者の客観的な評価を得ることができる、世界的な水のサステナビリティ基準であるAWS(Alliance for Water Stewardship)国際認証に挑戦することにしました。
最高位「Platinum」を目指す挑戦
私は入社後、神奈川綾瀬工場で7年間設備管理業務に携わり、その後、北アルプス信濃の森工場に着任して、今は4年目になります。現在はエネルギー管理や井戸設備の管理を担当しながら、環境保全部会のメンバーとしても活動しています。そして今回、AWS国際認証の取得を担当することになりました。
AWS国際認証とは、世界で300以上の事業所が取り組む、水資源のサステナビリティ基準で、「Core」「Gold」「Platinum」の3段階があります。サントリーのほかの天然水を製造する工場がすでに最高位のPlatinumを取得していたこともあり、北アルプス信濃の森工場では初めての申請から最高位を目指すことになりました。「Core」からでなく、いきなり「Platinum」から、というチャレンジングな目標に、正直なところ戸惑いやプレッシャーもありましたが、「この地域で続けてきた活動を、国際的な評価で認めてもらえるのなら、挑戦する価値がある」、そう決意して、約1年にわたる取り組みを進めてきました。
AWSが大切にする「企業と地域社会の共生」
AWSは、企業と地域社会が“共に水を守る”姿勢を重視する認証です。中でも特徴的なのが、監査員が地域のステークホルダーに直接インタビューを行うプロセスで、地域の方々からいただく率直な声が評価の基盤となります。
北アルプス信濃の森工場にとっては、流域に暮らすすべての人が「水」でつながる大切なステークホルダーです。自治体、水利権者、農家さんや神社の神主さん、近隣企業や商店、学校や大学の皆さん、大町に暮らす人々など…、こうした方々とのつながりを強めること、そして「サントリーがいてよかった」と思っていただける存在になることが、認証において欠かせない土台となるのです。
年に1度、工場の近隣地域の方々が参加する「サントリー信濃の森工場連絡協議会」が行われています。サントリーの取り組みをお伝えするとともに、地域の方々との意見交換をする場となっています。25年の8月に実施された協議会では、伊賀さんがサントリーの取り組みやAWS国際認証について説明をしました。
Platinum認証取得は長年の地域連携の成果
AWS認証の監査では、求められる情報量が膨大で大変な作業でした。とはいえ、私がしたのは、これまでの取り組みをまとめ、“形として整理し直す”ことだけです。Platinumを取得できたのは、地域の皆さんとのつながり、信頼関係を育みながら、ともに歩んできた長年の取り組みがあったからこそ。形式上は北アルプス信濃の森工場として申請して認証をいただきましたが、これは工場だけでなく、地域と共に評価された証しですから、本当にうれしいです。
自然と地域への意識を変えたAWSでの経験
AWS認証取得の取り組みを通じて、私自身の意識にも変化があり「この地域とサントリーで何ができるか?」を考えながら行動することが増えました。社会科見学に訪れる子どもたちへの案内役を務めることもありますが、子どもたちの素朴な疑問や感想を聞くことで、サントリーとしてどういったことにチャレンジしたらよいのかのヒントをもらえることもあります。そして、この工場が地域にとって誇れる存在でありたい、という思いもより一層強くなりました。大町市の皆さんに「サントリーがいてよかった」と感じていただけるよう、地道な活動を積み重ね、地域と共に価値を育てていく。AWS認証はその成果のひとつにすぎず、私たちが目指すのは“地域と共にある工場”であり続けることだと思っています。これからも、特別な何かをするのではなく、当たり前のことをひとつひとつ、地道に続けていく。そんな積み重ねこそが、未来への確かな一歩につながると信じています。
北アルプス信濃の森工場は、太陽光発電設備やバイオマス燃料を用いたボイラーの導入、再生可能エネルギー由来電力の調達、オフセットの活用により、CO2排出量実質ゼロ工場を実現しています。「サントリー北アルプス工場フェスティバル in 信濃の森工場」で、地域で生まれた間伐材を活かすバイオマスボイラーの仕組みを来場者に自ら伝える伊賀さん。お客様と直接会話できる貴重な機会を体験できたこと、また皆さんが熱心に耳を傾けてくれたことが本当に嬉しかったそうです。
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