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サントリーグループのサステナビリティ

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サントリーの「水」の知見とノウハウを社会全体の「チカラ」へ
──未来へ水のある景色を引き継ぐために

水は人々の生命や生活を支える貴重な資源です。
サントリーグループにとっても、最も重要な原料であり、企業活動の源泉です。水を未来に引き継いでいくために、サントリーグループでは「水」への理解を深め、「水資源」を守り続ける活動に長年取り組んできました。2003年に設立したサントリーグローバルイノベーションセンター(株)水科学研究所では、水を育む森の涵養研究をはじめ、科学的なアプローチに基づいた水の研究を国内外で幅広く進めています。
2025年4月には、この水科学研究所の研究を通じて得られた技術や知見を活かし、「水のサステナビリティの実現」に向けた取り組みとして、サントリーグループの新会社「Water Scape(株)」がスタートしました。そこで、今回はWater Scape(株)に込められた想いや今後の目標について、新会社代表取締役社長であるサントリーホールディングスの川﨑雅俊がご紹介します。

サントリーの「水」の知見とノウハウを社会全体の「チカラ」へ──未来へ水のある景色を引き継ぐために

大切な資源、だからこそ、「水」への理解を深めることが不可欠

水は、すべての命を支える大切な自然の恵みです。
サントリーグループでは、企業活動で使う水だけでなく、社会全体の持続可能な水利用についても、真摯に向きあい続けています。水を大切に使い、きれいにして自然に還すことはもちろん、水を育む森を守るなど、自然界における水の健全な循環に貢献する──それが「水のサステナビリティ」を実現することであり、私たちの企業活動の継続に不可欠です。
私は、入社してから約20年間、水科学研究所の研究員として、水資源に関する研究に取り組んできました。サントリーグループは「水理念」を策定しており、その「水循環を知る」という項目は、私が長年経験を積んだ水科学研究所のミッションそのものであり、私たちがとても大切にしている考え方です。

サントリーグループ「水理念」

  1. 1.
    水循環を知る
    使用する水の循環について科学的アプローチに従って流域を調べ、理解を深めます。
  2. 2.
    大切に使う
    水の3R(Reduce/Reuse/Recycle)活動を通じて節水に努め、浄化した水は自然に還し、環境インパクトを軽減します。
  3. 3.
    水源を守る
    サステナブルな未来を実現していくため、ステークホルダーと協力しながら使用する水の水源保全に努めます。
  4. 4.
    地域社会と共に取り組む
    社会が豊かになるように、水課題の解決への貢献を通じて地域コミュニティを支援します。

水を理解して守っていく、そのカギは水循環を知ること

水循環とは、雨が降り、川に流れ、海に注ぎ、やがて蒸発して雲となり、また雨となって大地に戻る──そんな自然の中で水がめぐるサイクルのことです。私たちは、工場の周辺に広がる水源エリアに実際に足を運び、森の中を歩いて観察したり、水を採取したりしながら、水がどのように循環しているのかをきめ細かに調べています。こうした地道な活動を重ね、集めた情報をもとに、工場の上流で水がどう流れているのか、どのくらいの量なら自然に負担をかけずに使い続けられるのか、そしてどうすればより健全な水の循環が実現できるのかを考え、水源の環境保全に活かしています。
また、サントリーが新しい工場を計画する際に、どこに建設するのか、新しい水源はどうやって見つけるかといった「水源調査」にも取り組んでいます。これらの調査は、人間で例えると“健康診断”のようなもの。水源という複雑な「体」について、さまざまな方法で情報を集め、現在どのくらいの水を使っているのか、地下水など目に見えない水の流れや水量がどうなっているのかを予測しています。

水源の調査では、実際にフィールドを歩いて観察しながら情報を集め、そのデータをコンピューターで整理・分析します。さらに、気候変動による降水量の変化などを想定したシミュレーションをすることで、将来の水循環の変化を予測することができるという。

社会全体の「水のサステナビリティ」の実現をめざして、新会社設立

サントリーに限らず水資源を利用する多くの製造業の現場では、「今使っている水源をいつまでも使い続けることができるのか」「新しい工場を建てる時、水源はどうやって探せばいいのか」といった課題を抱えています。
私は、こうした水に関する課題の解決に、サントリーグループがこれまで培ってきた知見やノウハウを活かすことができるのではと思ったのです。そこで、社員の新規事業創出のチャレンジを応援する社内制度「FRONTIER DOJO(フロンティア道場)」を通じて、水科学研究所に研究員として約20年間積み上げてきた成果をベースに、水資源に関するサービスの事業化に挑戦しました。
この挑戦の中で、水源の“健康診断”を「地下水の見える化サービス」として、試験的にお客様企業へ提供を開始し、手ごたえを感じました。特に、「自社で使い続けられる水の量を把握したい」というニーズはとても高く、サントリーグループが長年培ってきた技術や知見は、お客様企業が自ら取り組む「水のサステナビリティ」を支える“チカラ”になると確信しました。

この事業案は、コーポレートメッセージである「水と生きる」の実践につながるものとして、FRONTIER DOJOにて新規事業として認定されました。そして、2025年4月に新会社「Water Scape(株)」を設立。社名は、水とランドスケープ(景観)を組みあわせたもので、水のある景色を引き継いでいくという想いを込めています。

  • 社員が新規事業のアイデアを立案・エントリーし、社外の起業家のメンタリングなどを通じてブラッシュアップしていく社内ベンチャー制度。

社内制度「FRONTIER DOJO」でプレゼンテーションを行う川﨑さん。1年間で約100件の応募から選ばれた数件の企画の中で、最終的に認定(免許皆伝)を得て新規事業を立ち上げることができるのは、ほんのわずか。「最終的に認定をもらえるのは3~4件程度でしょうか。研究所のみんなが応援してくれたおかげで、ここまでくることができました」と振り返る。

人と自然が響きあう流域社会の実現に貢献していきたい

普段の生活では意識することはないかもしれませんが、水は限りある大切な資源です。日本では、水は蛇口をひねれば出てきますが、水インフラの老朽化による災害や水道料金の高騰、担い手不足による水源涵養林の荒廃などの課題に直面していますし、世界各地では、地球温暖化などによる環境の変化により、水資源の枯渇や汚染などの水課題に人々の生活が脅かされつつあるのが現実です。
新会社「Water Scape(株)」は、ミッションとして「人と自然が響きあう流域社会の実現」を掲げています。サントリーグループで培った技術や知見を活かし、世界中の一人でも多くのお客様の取り組みを支援し、社会全体の水のサステナビリティの実現に寄与していきたいと考えています。自然の営みと私たちの生活が共存できる社会へ、そして水のある景色を未来につなげるために、歩みを止めることなく進んでいきたいと思います。

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