考え方・方針
社会貢献活動方針
サントリーグループは、創業精神「利益三分主義」のもと、地域社会への貢献や文化、芸術、スポーツ振興、被災地支援活動、環境活動などに積極的に取り組み、社会・自然との共生を図ってきました。サントリーグループの社会貢献活動はさまざまな社会的課題の解決に貢献するとともに、サントリーグループが展開する事業の持続的な発展にも寄与すると考えています。
取り組み
サントリーグループは、豊かな生活文化の発展に寄与するため、サントリー美術館、サントリーホールの運営をはじめとして、多様な文化貢献活動に取り組んでいます。また人文・社会科学の学術研究助成や、生物有機科学の研究活動の推進も行っています。こうした活動を通じて、次代を担う国際的人材の育成も目指しています。
公益財団法人 サントリー芸術財団
サントリーは、1961年開館のサントリー美術館と、創業70周年記念事業として1969年に設立された鳥井音楽財団(1978年にサントリー音楽財団に改称)を通じ、ほぼ半世紀にわたって芸術分野で活動を積み重ねてきました。2009年、この二つの組織の活動を一つに束ねるとともに、21世紀にふさわしい新たな形に革新すべく、公益財団法人サントリー芸術財団を設立しました。2012年にはサントリーホールの運営を事業領域に加え、ユニークかつ多彩な事業を通じ、日本の音楽・美術のさらなる普及と発展への貢献を目指しています。
サントリー美術館 ― 「美を結ぶ。美をひらく。」
サントリー美術館は「生活の中の美」を基本理念に1961年に開館し、日本美術を中心とした企画展と作品の収集活動を展開しています。2007年3月には六本木の東京ミッドタウンに移転。ミュージアムメッセージ「美を結ぶ。美をひらく。」のもと、国宝1件、重要文化財16件をはじめとする約3,000件の収蔵品を核に多彩な企画展を開催し、日本人の“美への感性”を後世に継承していく活動を続けています。「都市の居間」をテーマに建築家・隈研吾氏によって設計された美術館には、ショップやカフェ、さまざまなプログラムを開催するホール、茶室なども整っています。
サントリー美術館
サントリーホール — 世界一美しい響きを目指して
サントリーホールは、1986年に東京初のコンサート専用ホールとして開館しました。偉大な指揮者である故カラヤン氏に「音の宝石箱」と評されたヴィンヤード形式の大ホールと、ブルーローズ(小ホール)の2つのホールで、国内外の一流アーティストによる演奏が繰り広げられ、例年、年間約600公演に約60万人のお客様が来場されています。音楽を通じた心豊かな生活の提供と、音楽文化を牽引し社会に貢献することを使命に取り組んでいます。2021年9月には、開館からのご来場者総数2,000万人を達成しました。
2021年には、デジタルサントリーホールを開設し、距離や時間を超えて世界中でサントリーホールの施設やコンサートを楽しんでいただいています。
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サントリーホール
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来場者2,000万人達成
サントリーホール、サントリー美術館電力切り替えでCO2削減
サントリーグループでは、2022年4月より、国内すべての自社生産研究拠点30ヵ所で購入する電力を100%再生可能エネルギー由来のものに切り替えています。同様に、文化施設であるサントリーホール、サントリー美術館でも購入電力を再生可能エネルギー由来の電力100%に切り替えました。
この取り組みにより、2つの施設で、それ以前と比べて年間でCO2を約800t削減することが可能になりました。
「世界一美しい響き」も「都市の居間」も、人や社会と響きあうとともに、自然と響きあうことを大切にすることで実現できると考えています。
音楽事業 ― 音楽振興のための先進的な取り組み
日本における洋楽の発展と文化の向上に寄与することを目的として、幅広い活動を展開しています。洋楽の分野で優れた業績をあげた個人または団体を55年にわたり毎年顕彰し続けている「サントリー音楽賞」や、チャレンジ精神に満ちた公演を対象とした「佐治敬三賞」の贈賞を行っているほか、日本人の新進作曲家による優れた作品を公開演奏で選考する「芥川也寸志サントリー作曲賞」、洋楽の新作初演作品を論評する『日本の作曲』出版などを通じて、日本の音楽創造活動をサポートしています。2014年からは、財団が所蔵する世界的文化価値のある弦楽器名器の保全とともに、若手演奏家育成を目的とした貸与活動を行っています。これまでプロフェッショナルとして活躍する演奏家だけでなく、『サントリー芸術財団名器特別賞』を受賞した15人以上の中高生へ無償で貸与され、その多くが世界に羽ばたいています。
「サントリー音楽賞」「佐治敬三賞」
贈賞式
ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とサントリーホールディングス(株)は、2011年の東日本大震災をきっかけに、音楽を通して被災地はもとより日本全体に活力を与えることを目的として、2012年、「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金」をサントリー芸術財団に設立しました。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と協働で被災地のこどもたちやその家族のために行う「こどもたちのためのコンサート」や、次世代の音楽愛好家と演奏者育成のための音楽指導にも取り組んでいます。
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ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金
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石川県珠洲市中学高校生のためのコンサート @らぽるとすず
吹奏楽部生との交流、音楽指導
公益財団法人 サントリー文化財団
サントリーホールディングス(株)創業80周年を記念し、「社会と文化をめぐる国際的、学際的な探求の深化をめざして、広い分野に亘って有能な人材を発掘援助し、独創的で冒険的な研究を助成し、あわせて世界と日本との文化的な交流の飛躍的な発展に寄与する」との趣旨を掲げ、1979年に設立されました。
「学芸文化振興事業」として人文学、社会科学の領域における研究助成と調査研究、「サントリー学芸賞」の贈呈、海外出版助成など、「地域文化振興事業」として「サントリー地域文化賞」の贈呈と地域文化活動の支援などに取り組んでいます。
若手研究者への支援にも積極的に取り組んでおり、これからの社会を担う人材のサポートに加えて、研究者と社会の橋渡しとしてアカデミズムとジャーナリズムの交流の場を設ける取り組みなども行っています。
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「サントリー学芸賞」贈呈式
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「サントリー地域文化賞」贈呈式
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「若手研究者のための
チャレンジ研究助成」報告会
公益財団法人 サントリー生命科学財団
サントリー生命科学財団は、国民の健康と栄養の向上を目的に財団法人食品化学研究所として1946年に設立、1979年に財団法人サントリー生物有機科学研究所への名称変更を経て、生命科学と有機化学の融合領域である生物有機科学を基盤とする研究活動と学術振興を推進し、大学教授など第一線で活躍する研究者を輩出してきました。
自らの研究所を「構造生物学」「有機化学」「分子生物学」の異分野融合拠点として位置づけ、大学などの研究機関との共同研究を推進しながら、「代謝」「生体膜」「シグナリング」をキーワードに「分子を中心に据えた生命現象のメカニズムの解明」を目指した研究活動に取り組んでいます。また、大学などの研究を支援する解析センター事業、若手研究者への研究助成、大学院生への奨学金、学術集会助成などの研究奨励助成事業、ならびに大学院連携講座の開設による研究・教育支援、博士客員研究員制度などの研究人材育成事業を行っています。
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財団の歴史を紹介する展示
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800MHz超伝導核磁気共鳴分析装置
ゴマの健康成分「セサミン」とともにゴマ種子に含まれる抗酸化物質「セサモリン」および「セサミノール」の生合成酵素遺伝子を世界で初めて発見、葉の縁の凹凸の形を制御する遺伝子の解明、花の色素とフラボノイド配糖体との相互作用による青色形成メカニズムの解明、穀物や野菜などの鉄分を吸収する新しいメカニズムの発見など、多くの研究成果が著名な学術論文に掲載されています。また、年度ごとに共同研究者や第一線の研究者を招いて報告会を開催しています。
研究所年度報告会
(大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホール)
サントリー SunRiSE 生命科学研究者支援プログラム
日本の基礎研究において、これからの日本を担う若者の大いなるチャレンジを支援するため、「サントリー SunRiSE 生命科学研究者支援プログラム」を設立しました。
2020年度に募集を行い、500人近くの応募の中から10人の若手研究者(SunRiSEフェロー)が採択され、2021年度4月より5年間、1人あたり5,000万円(年間1,000万円×5年間)を支援するとともに、さまざまな活動を通して支援を行っています 。毎年度末には研究討論会が開催され、2024年度末には各フェローから1年間の研究進捗状況および残る1年間の研究方針に関する報告がありました。本プログラム運営委員およびSunRiSEアドバイザーの先生方からは色々な観点からのアドバイスがあり、今後の研究の発展が期待されます。
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SunRiSE設立記者会見
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SunRiSE授与式
ともに「歌う」歓びを広げる「サントリー1万人の第九」
1983年、大阪城ホールのオープニング記念イベントとしてスタートし、2024年に42回目を迎えた「サントリー1万人の第九」。サントリーグループは、師走の風物詩である本コンサートに第1回から協賛しています。
1万人がともに「歌う」歓びやクラシック音楽の素晴らしさを感じられる機会として、レッスン会場を拡大し、幅広い年代・国籍の方々が参加するなど、世代を超え、地域・国境を越え、ますます広がりをもったイベントとなっています。
また東日本大震災復興支援活動の一環として、2011~2013年は東北会場を設け、大阪城ホールと中継を結んで開催し、2014年には岩手県・宮城県・福島県から150人を大阪城ホールへ招待しました。2017年からは、TV放送に加え、より多くの方にご覧いただくためにLIVE配信<LINE LIVE>も展開しています。
2020年からは新たな挑戦として、全国各地から動画投稿(オンライン含む)で本コンサートに参加していただく試みもスタートし、2022年の40周年記念コンサートでは3年ぶりに大阪城ホールに合唱団(感染症対策のため2,000名)が集うほか、全国10ヵ所からの中継合唱、さらに世界中から寄せられた歌声動画など、1万人以上の歌声により全国各地・世界とつながった大合唱を響かせました。2023年は4年ぶりに1万人の合唱団が復活し、47都道府県からの参加者が大阪城ホールより歌声を届けました。
サントリー1万人の第九
延べ1万人による歌唱動画で実現した
第38回サントリー1万人の第九の様子(2020年)