日本フィル&サントリーホール 
とっておき アフタヌーン Vol. 11

<マエストロと新星が紡ぐストーリー>

鳥羽咲音(チェロ) インタビュー

日本フィルとサントリーホールが贈る、エレガントな平日の午後『とっておきアフタヌーン』、
2019-20シーズンのコンセプトは「マエストロと新星が紡ぐストーリー」。
10月8日(火)開催Vol.11のソリストは、まさに輝く新星、サントリーホール大ホールデビューを飾る14歳のチェリスト・鳥羽咲音さんです。
咲音(さくら)という美しい響きのお名前のように、初々しく清潔感溢れるオーラ。ひとたびチェロを構えればキリリと凛々しい表情に。
舞台上でどんな音色を花開かせてくれるのか、今から期待が高まります。


10月8日のコンサートに向けて、どんなお気持ちですか?

サントリーホールデビューさせていただけるなんて、とても感謝していますし、沢山練習して頑張っていきたいと思います。どういう気持ちになるかは、当日になってみないとわからないですけれど、大雨や嵐にならないことを願っております。
サントリーホールには、小さい頃からよくオーケストラを聴きに来ていました。いつも客席側から聴いていたので、ずっと、あの舞台に立ってみたいという思いはありました。

  • 指揮:沼尻竜典

    指揮:沼尻竜典

多くの聴衆に新星・鳥羽咲音さんの演奏を聴いてもらいたいというサントリーホールの希望と、日本フィルからの共演希望によって、今回の『とっておきアフタヌーンVol.11』が企画されました。日本フィルとも沼尻竜典マエストロとも、初共演ですね。

沼尻さんとはまだお写真を拝見するのみでお会いしたことがないのですが、共演させていただくのがとても楽しみです。

  • 指揮:沼尻竜典

    指揮:沼尻竜典

演奏曲は、チャイコフスキー『ロココ風の主題による変奏曲』。この作品を選ばれた理由は?

私はもともとチャイコフスキーの作品、とくにバレエ音楽『くるみ割り人形』や『白鳥の湖』などが大好きで。『ヴァイオリン協奏曲』も好きです。『ロココ風の主題による変奏曲』は、ちょうど1年前から弾き始めました。

昨年モスクワで行われたシェルクンチク国際クラシック音楽コンクール(第3位「銅のシェルクンチク」受賞)のファイナルでも、この曲の中から演奏をされましたね。

はい、そういう意味でも私にとって特別な曲です。

ここが聴かせどころ、こういう風に聴いてほしいというところはありますか?

そうですね、お客様によっていろいろな解釈や感じ方は違うと思いますので、皆様がいろいろな思いをもって聴いていただきたいです。
私にとってはチャイコフスキーといえばバレエ音楽なので、『ロココ〜』も、踊っているシーンというか、そういうイメージを思い浮かべながら弾いています。技巧的に難しいところもありますが、歌うところもたくさんあります。

日本フィルは、現在ロシア人のアレクサンドル・ラザレフが芸術顧問を務めているということもあり、伝統的にロシア作品を徹底的に取り組んできました。チャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフ……今はグラズノフの交響曲を。金管が華やかで、弦楽器もぶ厚くて、重くてゴージャスな音がするオーケストラです。きっと、鳥羽さんが想像されているロシア風な音色で共演できるのではないでしょうか。

楽しみです。私も、好きな作曲家はチャイコフスキーとショスタコーヴィチなんです。チェロを始めたばかりの頃に、たまたまyoutubeでミッシャ・マイスキーが弾いているショスタコーヴィチの『チェロ協奏曲第2番』をみつけて、ものすごく格好よくて、自分もいつかこういう曲を弾けるようになりたいと思ったんです。ショスタコーヴィチのトリオの曲も大好きですし、最近は『チェロ・ソナタ』を弾いています。

ロシアには、昨年のモスクワでのコンクールのときに初めて行かれたのですか?どんな印象を受けましたか?

12月に行ったので、雪が降っていて、すごく寒かったです。あの寒さは楽器にとってあまりよい状態ではないので、楽器に毛布を巻いている方もいました。初めての国ということもあり、最初はちょっと怖かったんですけれど、コンクールの舞台は、装飾や照明効果などもすごくゴージャスで、びっくりしました。演奏している最中も後ろの方で光が動いたりしていました。お客様も熱心に聴いてくださりましたし、実際に行ってみて、ロシアっぽい雰囲気というのが少しわかったような感じがしました。

ウィーン生まれで、幼少期をウィーンで過ごし、5歳からは東京暮らし。お父様もお母様も音楽家とのことですが、咲音さんがチェロを始められたきっかけは?

5歳からピアノを母に習い始めたのですが、教え方が厳しすぎて……(笑)。6歳の頃、オペラを観に行ったときに、オーケストラ・ピットをのぞいてみたんです。そうしたら、チェロが格好よく、しかも人数が少なかったので、目立てるかなと思いました。それで、なんとなくチェロをやりたいと言って始めて、だんだんチェロの魅力がわかってきました。

今弾かれている楽器とは、どのぐらいのお付き合いですか?

2018年2月から、宗次コレクションより貸与されて、このMiremont1872 ex-Pierre Fournierを弾いています。その前は3/4の分数楽器を弾いていたので、これが初めてのフルサイズのチェロです。

最初から名器を貸与されるとは! 相性はどうですか?

この楽器のまろやかな音がとても好きです。
最初はチェロの音に向き合うというのがちょっと難しかったのですが、練習や演奏会を重ねるうちにどんどん慣れていっていると思います。

8歳から今までずっと毛利伯郎先生(元・読売日本交響楽団ソロ・チェロ奏者)に師事されているとのこと。毛利先生は、サントリーホールとも縁が深い方です。3年前から「サントリーホール室内楽アカデミー」のファカルティ(講師)として、若い音楽家に室内楽のご指導をいただいており、恒例の室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」でも毎年演奏いただいているんですよ。どんな先生ですか?

毛利先生は、例えの表現などが素晴らしいです。お稽古はいつもとても楽しく、一番尊敬している大好きな先生です。

  • キジアーナ音楽院内(イタリア・シエナ)のレッスン室。美術館のようなお部屋もあります。

    キジアーナ音楽院内(イタリア・シエナ)のレッスン室。
    美術館のようなお部屋もあります。

そしてこの夏はイタリアで、アントニオ・メネセス、さらにはダーヴィド・ゲリンガスという、
現代を代表するチェリストたちの講習を受けられるとのこと。

イタリアでの夏期講習は昨年初めて行きまして、今年2回目です。英語を聴き取るのが大変なのでちょっと緊張しますが、沢山の外国人のチェリスト、先生と生徒さんにもお会いできるので楽しみです。イタリアは人々がとてもフレンドリーです。
9月頃まで2カ月滞在します。その間に、ヴェローナのアレーナでオペラ『アイーダ』や『椿姫』なども観たいと思っています。

*世界的チェリストから鳥羽咲音さんへのメッセージ

  • キジアーナ音楽院内(イタリア・シエナ)のレッスン室。美術館のようなお部屋もあります。

    キジアーナ音楽院内(イタリア・シエナ)のレッスン室。
    美術館のようなお部屋もあります。

  • 世界遺産の街シエナ。坂が多いそうです。

    世界遺産の街シエナ。坂が多いそうです。

イタリアで英気を養い、さらなる磨きをかけられて、『とっておきアフタヌーン』に臨まれるということですね。私たちもとても楽しみにしています。
『とっておきアフタヌーン』は、指揮者やソリストとナビゲーターとのトークも織り交ぜながら、お客様にリラックスしてクラシック音楽に親しんでいただこうという趣向です。トークはお得意ですか?

トークはあまり得意ではありませんが、克服して頑張りたいと思います。

  • 世界遺産の街シエナ。坂が多いそうです。

    世界遺産の街シエナ。坂が多いそうです。

みなさんきっと、咲音さんのことをもっと知りたいと、トークも楽しみにされていると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
平日13時半からのコンサートなので、その前後にランチやお茶など、コンサートに向かう華やいだ気分や余韻を楽しんでいただければと、特別なおもてなしも色々と用意されているのも、このシリーズの特徴です。

マチネ(昼の公演)は、私にとっても演奏するのにとてもよい時間帯です。夜公演だと帰る時間も遅くなってしまいます。
気分や体調も、お昼の時間帯がいちばんノレると思います。

普段、中学校に通われているんですものね。どのような毎日ですか?

朝は4時に起きて、夜は8時頃に寝ます。8時間の睡眠時間を取るようにしています。

卓球と書道が趣味とプロフィールにありましたが。

中学に入ってから卓球を始めました。指や身体にいちばん負担のないスポーツと思って選んだのですが、今はラリーが100回ぐらい続きますし、試合で簡単な技が使えるぐらいです。
書道は小学3年生から始めていて、今は毛筆七段で、ペン字が六段です。

“とっておき”アフタヌーンにちなんで、咲音さんにとっての“とっておき”の時間を教えてください。

おしゃれをすることです! 流行りの洋服をお店で見たり、普段できないネイルを、オペラなどを聴きに行くときにしていくのも、特別な時間です。普段は演奏のために爪もすぐ切りますし、ネイルも塗れないのですが、ネイルは20本ぐらい持っています。最近は、青とか紺が好きです。今年のラッキーカラーが青なので、今回の衣装の色もそうしようと思います。

ラッキーカラーは、占いかなにかで?

いえ、直感です。去年は、ラッキーカラーが紫と黄色だったので、黄色いドレスや薄紫のドレスをよく着ました。

舞台に出る前の験かつぎ、落ち着くためのおまじないなど、なにか決めていることがありますか?

以前はディズニーキャラクターのデイジーのぬいぐるみを両手で握りしめていました。でも、最近はしなくなりました。たくさんのコンクールや舞台での経験を積み重ねてきて、自分でどういうふうに気持ちを抑えられるのか、だんだんわかってきたので。コンサートが始まる直前は、あまり練習はせず、自分の心を静かにする時間にしています。

これからご活躍の場を広げていくことと思いますが、どのようなチェリストを目指されますか?

自分特有の音色を持ち、お客様の心を豊かにできるようなチェリストになりたいと思います。

世界的チェリストから鳥羽咲音さんへのメッセージ

鳥羽咲音さんはこの2年、日本とキジアーナ音楽院(イタリア、シエナ)で私のマスタークラスに参加しています。鳥羽さんの演奏を聴いた瞬間に、彼女はとても特別な才能に恵まれているのが分かりました。そのとき、彼女はまだ13歳でしたが、既にチェロのためのいくつかの有名な楽曲を弾きこなしていました。
鳥羽さんが今回、日本フィルハーモニー交響楽団のような素晴らしいオーケストラとサントリーホールで演奏する機会に恵まれたと知りとても喜んでいます。また私は、彼女の技術的に成熟した美しい演奏でお客さまが公演を楽しまれることを確信しています。
私はこれからも彼女の技術と音楽性が成長するのをできるだけサポートしていきます。

心をこめて
アントニオ・メネセス
メネセス氏についてはこちら

若きチェリスト 鳥羽咲音さんが東京のサントリーホールでデビューすると聞き、大きな関心をもっています。
このコンサートは、咲音さんのこれからのキャリアにとって、間違いなく大きな節目になるはずです。
咲音さんが、豊かなインスピレーションやたくさんの勇気、そして大いなる成功をえられることを祈っています。
彼女の自然に湧き上がる音楽性は、多くの音楽ファンに音楽の素晴らしさを気付かせてくれることと思います。
そして素晴らしき東京の聴衆の皆さま、咲音さんという若き日本人チェリストの誕生が大きな喜びとなりますことを祈っています。
トイ・トイ・トイ!

心をこめて
ダーヴィド・ゲリンガス
ゲリンガス氏についてはこちら

【The Okura Tokyoから特別なおもてなし】

大倉集古館 入館特別価格&来場特典プレゼント

大倉集古館は2019年9月12日に開業するThe Okura Tokyoに隣接し、多彩なコレクションを誇る日本最初の私立美術館です。
公演当日の10月8日(火)に限り、特別価格にてリニューアル記念『桃源郷展』をご覧いただけます。
来場特典として、大倉集古館オリジナルグッズまたはThe Okura Tokyo限定スイーツのいずれかをプレゼント。

  • *個数には限りがあります。予定個数に達し次第、終了いたします。

特別価格1,000円(通常価格1,300円、来館時にチケット提示で割引)
開館時間:10~17時(最終入館16時30分)
お問合せ:営業企画部 03-3505-6110